1996年 12月25日
1996年 12月25日
「どっから、涌いて出てくんだよ」
立花 音斗は吐き捨てるようにつぶやいた。
普段、駅前でさえ人影がまばらなこの町に
クリスマスというだけでそこら中に、まるで蛆の様に増える人。
音斗は普段から幸せそうな人の顔を見るのが嫌いであったし、
なにより特別な日という理由と、人がやるから自分もやるという性根が気に入らなかった。
自分のいえば、いつもの如く学校をさぼり、
駅前のゲーム・センターで2時間暇をつぶし、
そこから歩いて2分程度のファーストフード店に向かっていた。
しばらく家に帰っておらず、学生服はよれよれになっており、
3ヶ月前に誕生日という事で先輩に頼み込んでもらった短ランも今は面影が全くない。
裏地の龍も泣いている様に見えた。
(そういえば3日前と全く同じスタイルだな)
さぼり→ゲーセン→マック
特別な日であろうと無かろうと音斗の日常は全く変わらなかった。
今日の様な日は周りの連中と自分が比較されているようで気にくわない。
半ばいらつきながらも足は既にマックに到着していた。
店員のバカバカしいスマイルと
お世辞にも健康そうとは言えないセットメニューを頼むと
2階の左端の席に座り、窓から人々の行き交う姿を眺める。
その店は主に2階がメインとなっており、50席あまりが用意されている。
1階にも席はあるが、完全に禁煙席となっていた。
学ランの裏ポケットからタバコを取り出すと、
少しばかりのリラックスを与えてくれるタール8mgをイライラと共に煙を吐き出す。
それもいつも通りのスタイルだった。
ポテトとコーラを同時に口に含んだその時、
「よう!」
耳元で上機嫌な声が聞こえた。
そこには中学からの親友である龍矢がチーズバーガーセット(ポテトL)を持ち立っていた。
「なんだ。おまえか」
こいつ来る事もまさにいつも通り。
