千歳空港に行くと、「らーめん道場」に行くことが多い。お店によってはハーフラーメンもあったりするので、確認してなるべく違うラーメンを2杯食べるようにしている。千歳往復で4食はいろいろなラーメンが味わえるというわけだ。やはり札幌ラーメンというと、味噌味を食べたくなるのだが、「らーめん 空」では醤油味も美味しいという情報を聞きつけ、本店に行ってみることにした。






 札幌で僕の好きな場所の一つが狸小路商店街だ。映画館、ジャズ喫茶、食べ物屋さん…。時間が他よりも少しゆっくり進んでいるような気がして、それも魅力の一つだ。
 その狸小路商店の中にあるわけではないのだが、ほぼ商店街といっていい近くに「らーめん空」の本店がある。建物の雰囲気もとても良い。多分、カウンターだけの店内にコロナ対策が施されており、雰囲気からして美味しそうだ。僕は、他のお客さんが味噌を注文する中、「醤油チャーシュー」をお願いした。じーっと様子を見ていると、お客さんの味噌ラーメンをつくった後、僕の醤油ラーメンを作る番になると、丁寧に中華鍋を洗っている。同じ鍋で作っていることと、その鍋の丁寧な取扱いに見とれていると、やってきました、「醤油チャーシュー麺」。スープをのんでみると、深いコクのある醤油味。もちろん、しょっぱくはなく麺やチャーシューとの相性も抜群だ。相手がどんな無理難題を言ってきても優しく受け止め、なんだかんだ言っているうちに、実はスープが全体をしきって、物語を紡いでいる、という感じだ。このスープのような人が近くにいたら、友達になりたい…。
 大満足のらーめんで満たされたあと、狸小路を歩く。時間が合わずに、映画を見ることはできなかったが、それでも行ってみたくなるのが、「シアターキノ」。券売所に行ってチラシをゲットして、雰囲気を感じるだけでも幸せになれる空間。お客さんも従業員さんもみんな映画愛に満ちた表情をしている。併設されている喫茶店でコーヒーを飲む時間もなかったが、行っただけでやはり大満足。


 狸小路には、かつて「富公」というラーメン屋さんがあった。大将がややぶっきらぼうなのだが、本当は細やかな気遣いをしている、大好きな人だったが、もうだいぶん前に亡くなったときいた。「富公」のラーメンは本当に美味しくて、今でも僕のラーメン美味しさ度チェックの指標は、間違いなく「富公」のラーメンに依っている。「ごちそうさまでした」といって店を出る時、大将の「おうっ」という声が、僕たちへの返事。その「おうっ」に「ありがとうございました!」の意味が込められていることに、僕たちは気がついていましたよ!「富公」のラーメンに出会うことはないが、豚骨をつかったラーメン屋さんの前を通るとき、一瞬だけ「富公」の香りがすることがある。においに惹かれて店内に入ることもあるが、例外なく「富公」とは別の味だ(それはそれで美味しいのですが…)。
 「富公」のラーメンが無性に食べたくなってきた。