心房細動と心房粗動は、同じコインの両面と言われます。
心房細動の患者さんの心電図を記録すると、75%に心房粗動も記録されるとされます。
心電図では、心房細動は心拍が不規則であるのに対して、心房粗動は規則的な心拍を示します。
心房粗動は、心臓の上部(心房)で発生した数多くの電気刺激が心臓の下部(心室)に伝わり、典型的なケースでは心電図上は規則的でノコギリの歯に似た波形(心房粗動波)を示します。心房から心室へ伝わる電気刺激の頻度によって、心拍数も変化します。
心臓の上部の心房などで発生したリエントリーという電気刺激の旋回が起こると、電気刺激が心臓の下部の心室へ伝わり、
心房粗動が発生します。
心房での興奮は、房室結節で間引かれて心室に伝わりますが、心房と心室の興奮の比(伝導比)が4~2:1で伝導することが多いですが、伝導比が高く1:1で伝導することもあり、心拍が早くなると、動悸や心不全による息切れ、ひどい場合には失神をきたすこともあり、電気的な除細動が必要になることもありえます。
心房粗動が起こる背景には、なんらかの構造的心疾患(心臓弁膜症や心筋梗塞などの虚血性心疾患やなんらかかの心筋症など)が多いですが、心房中隔欠損症などの先天性心疾患の手術後や、心房細動のカテーテルアブレーション手術後に起こることもあります。
心房粗動がある場合には、心房細動と同様に心臓の内部に血栓という血液のかたまりができて、これが脳梗塞の原因となるリスクがあるため、心房細動の場合と同様に抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)の服用が必要です。
心房粗動の速い心拍数を薬による治療で遅くして心臓への負担を軽減する治療も可能です。
心房粗動の脈不整を薬による治療で洞調律へ正常化することは、一般的には容易ではないことが少なくなく、薬の副作用により心房粗動を悪化させるリスクもありえます。
心房粗動の治療には、根本的な治療法としてカテーテルアブレーションによる治療が有効であることも多く、典型的なケースでは90%程度の根治が期待できる不整脈です。特に心拍数の速い心房粗動が続いて心臓の機能が低下していて心不全による症状が強い場合にはカテーテルアブレーションによる根治術が強く推奨されます。



