2017年、アメリカではトランプ大統領が選出され、続いてイギリスがEU離脱を決定した。
ついに欧米では、反グローバリズムの思想が堰を切って流れる始めた。目下、世界各国はその奔流に飲み込まれつつある。いや、もう飲み込まれているのだ。
一方、グローバリズムを支持する側はこれらの動きに対して、冷やかな批判を浴びせかけ、愚かな人たちだと馬鹿にしている。
しかし、そういう人たちはなぜ反グローバリズムやナショナリズムが台頭してきたかは決して言わない。とにかく反グローバリズムやナショナリズムは駄目だという好き嫌いでものを言っている。つまり、彼らにとって、グローバリズムとは自明に正しいものであって、反グローバリズムは自明に誤ったものだという単純な善悪二元論で捉えられているのである。これは余りにも浅薄な分類法と言わざるを得ない。なぜなら、この世には全き正しいイデオロギーもなければ全き間違いのイデオロギーもないからだ。つまり、どちらが正しいか間違っているかという問題の立て方自体がおかしい。
常識の立場から問いを立て直すとすれば、グローバリズムに問題があるから、反グローバリズム及びナショナリズムが台頭していると考える。ではグローバリズムの問題点とは具体的に何であるか。これこそがさしあたって問われるべきことである。