「もしもし 久しぶり」
お互いのこの一言で一気に時が戻った。
何年ぶりだろうか。
学生時代は毎日のように隣で聞いていた。
少し大人になっただけで変わらないな。
声とか話し方とか話す事とか。
何年も話していなかったから、
その間に起きたお互いの事知らない事がたくさん
あるけど、質問に答えただけで彼女が私の心情を察する。
察したり見破ったり、今になって友情の厚さを再確認する。
学生の頃の私達はちゃんとお互いの性格を知っていたんだね。
そんな彼女がふと私の傷口に触れた。
ように感じて焦った。
そんな私が放った言葉の本音と強がりをまた見破る。
だから余計に強がる。つもりはないけど強がっている。
やりとりをしているうちに彼女に溶かされ体の力が抜けていく。
そして底の方に埋まっていた感情が溢れだす。
彼女は結局傷口を消毒して絆創膏をしてくれたんだとわかった。
あえて傷に触ったんだと思う。
自分が本当に持っていた感情にその時初めて気が付いた。
自分の悪い所も。
心に触れてくれてありがとう。
私も人の痛みがわかる人になりたいな。