火葬を終えて精進落としをしてから、
親戚一同で菩提寺を訪ねた。
そこには檀家の位牌が所狭しと並べてあり、
うちの一族の位牌もあった。
「もうすぐおじいさんもここの仲間入りを
するからね」と和尚から声かけがあった。
回ってきた位牌を見ると、うちの一族は少なくとも江戸時代は名字を持っていたらしい。
家紋も初めて見たが、有名な家紋であり、
どうやらウチは教科書にもドラマにもなっている家系になるのだそうだ。
しかしながら、
この時は和尚の話を鵜呑みにしていたが、
後々考えれば、
先祖とされる一族が活躍したのは全く別の地域で、例えるなら日本海と太平洋くらい違うのに、あんな有名な一族の流れを汲んでいるとは到底考えられない。
こんな山奥の全く活躍したところと違う地域に、あの有名な一族が住んでいる訳がないのであり、本当のところはよく分からない。
平家の落人のように、各地に散らばり潜伏していたのか?
一族の落人で、この地に潜伏していたのならば何となくこの秘境にこの先祖ありという感じがするのであった。