【ご挨拶】
はじめてこられた方、はじめまして。
二度目以上の方、いつもありがとうございます。
このブログのメインであるオリジナル小説は、ほぼ毎日更新していますので、ごひいきにしていただければ嬉しいです。
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それでは、どうぞごゆっくりしていってくださいませ。
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【今後の予定】
更新に関する今後の予定です。
・CAPRICE 第一部は、10月中で完結予定です。
・メノリアの誓い、魔術部へようこそ! は、隔週交互に週末アップ予定です。
・第四作目「タイトル未定」は、CAPRICE 第一部終了後にアップ予定です。内容は、とある国家に産まれた王子の成長を描いたものです。
・以前書いた短編、10月中にアップ予定です。
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しばらく休止のお知らせ
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そのため、しばらくの間、ブログの更新を休止させていただきます。
作品が書きあがれば再開する予定です。
それでは失礼します。
CAPRICE 第二章(2-5)
「国王だと?」
「はい。私に依頼した男は、確かにそう言いました。陛下直々の依頼であると……そして、アレス=フォウルバルトは天下の大罪人の息子。罪は免れたが、何をしでかすかわからない。だからその行動を常に監視し、逐一報告するようにと……」
「なるほどな……」
アレスの反応は、実に冷めたものだった。
監視や尾行は覚悟しており、今更そんなことを知ったところで微塵も驚くことはない。ただ、どうせならもっと有能な人物を監視につけてほしかったものだと思う余裕さえあった。
「もう行っていいぞ」
アレスは手で追い払う仕草をして、自分もその場から立ち去ろうとした。すると、モルディルがもじもじしながら話し掛けてきた。
「あのぉ……」
「なんだ」
「これからも、報告を続けていいですか?」
「はぁ……?」
アレスは素っ頓狂な声を上げた。なんとも間の抜けた質問だが、尾行の失敗が国王の耳に入るのが怖いのだろう。
尾行がばれたことを伏せておくことを条件に、アレスは頼みを聞き入れた。モルディルが自分の口で不手際をばらすはずもないが、釘を刺しておく意味でも条件として提示するのは当然の判断であった。
モルディルは何度も頭を下げて、駆け足でその場から姿を消した。
「いいのか、あのまま帰して」
「これでいい。お互い何もなかったように振舞うのが、一番都合がいいんだ。むしろ気になるのは、誰が奴に命じたかだ」
「国王ではないのか?」
「奴の言葉どおりならな」
「その口振り……貴様はルヴァロフの処刑はラドニスの本意ではないと考えているのだな」
「あぁ。処刑の時は頭に血が上っていて冷静に物事を考えられなかったが、今にして思えば、ラドニスが本当に処刑を命じた張本人であるなら、国民の前で俺へ罪が及ばないと明言する必要はないし、尾行をつけるような回りくどいことをする必要もない。つまり、俺に尾行をつけたのは、奴の名を利用して俺の行動を監視したがっている輩の仕業だ」
「目星はついているのか?」
「まぁな。確たる証拠はないが、他に思い浮かぶ奴もいない」
「誰だ。もったいぶらずに教えろ」
ロアが催促すると、アレスは一呼吸置いてその名を口にした。
「宰相のノーラだ」
「フッ、あの女狐か……」
予想の範疇を超えない人物の名は、ロアを落胆させると同時に得心もさせた。
元々先王の妾であった人物だが、寵愛を受けていることをいいことに先王を裏から操っていたとの噂がある。その真偽はともかく、事実として、先王は時折理解に苦しむ施策や命令を下したことがあった。心ある忠臣たちはその度にノーラを疑ってかかったが、それを立証するには至らなかった。
その後、先王はノーラに宰相の地位を与え、彼女をますます寵愛するようになった。次第に忠臣たちの言葉に耳を貸さなくなり、挙句の果てには、ノーラの言葉だけを信じるようになってしまった。
そんな折、唯一彼女に対抗しうるであろう人物が、絶大な推挙を受けて王宮に招かれた。
誰あろう、ルヴァロフ=フォウルバルトである。
宮廷魔術師に就任するや、彼は国内外で次々と功績をあげ、先王の信頼を勝ち取っていった。
やがて先王は病死し、ラドニスが国王の地位に就いた。ラドニスは先王と違い、ノーラだけを特別扱いしなかったが、宰相の地位を剥奪することもなかった。
ルヴァロフとノーラの対立は水面下でなおも続いていたが、青天の霹靂ともいえるルヴァロフの処刑によって終止符が打たれた。これにより発言力を取り戻したノーラは、事実上国内ナンバーツーの権力者として今日に至っているのである。
「まぁ遅かれ早かれ、貴様も一度は顔を合わせることになるだろう。その時までに確たる証拠とやらが見つかっていればいいがな」
【次へ】
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