母は2017年末にステージIVの診断を受けました。
遠隔転移がある場合、膵癌は手術することは(日本では)基本的に無く、平均5年生存率は1.8% (1993-2011年)となっています。



実際、癌専門のハイボリュームセンターで診断を受けた時には、最短で3か月、もって1年程度だろうと言われました。そして、最初の選択肢として、最強の抗がん剤であるFOLFIRINOXを受けるか、治験の抗がん剤を受けるか、が提示されました。治験は魅力的でしたが、セカンドライン+αで、その後により強い抗がん剤であるFOLFIRINOXを受ける体力があるのか、そもそも最短3か月なら、最初に試すのは最強のものが良いのでは、といった思考で、最後は勘でFOLFIRINOXに決めました。


時間は殆ど残されていません。主治医に、長期生存はまず無いから期待するなと言われたこともあり、母本人はアルバムを整理し、服も捨てて、アカウントを父に全て共有し始めました。

一方、私も後悔しないように、様々な行動を起こしました。


1, セカンドオピニオン・友人のツテ

まず情報が肝。正確には覚えていませんが、数多くセカンドオピニオンに行きました。

はじめは、スイスでは膵癌はステージIVでもとりあえず切るらしい、という情報もあり、ハイボリュームセンターの外科などを中心に手術の可能性を探りました。しかし、外科の先生にたどり着く前に門前払いを食らったり、主治医の先生の言う通りにしていればよく自分が言うことは無い、と突き放した対応ばかり。

ハイボリュームセンターでは、医者同士の関係性が強く、選択肢は増えない、と考え、次第に地方の大学病院やクリニックを巡るようになりました。CTや血液データを持って、放射線治療や、遺伝子治療、免疫治療、緩和医療など様々な専門家を訪ねると、この検査をしてみたら良い、とか、新たな治療の可能性など、色々情報をもらえました。その中には現在の主治医に繋がる縁もありました。

クリニックの中には利益重視のぼったくりも多いと聞いて構えて行ったのですが、私が訪問した所は、強く勧められることもなく、標準治療があるならまずそちらを優先、あるいは併用、といったアドバイスが多かったように思います。


2, やりたいことをする

診断を受けてから、最初の抗がん剤であるFOLFIRINOXを始めるまで、約1か月ありましたが、ステントやポートを入れたり、黄疸があったりでずっと入院でした。

最短で3か月と言われた後の1か月は随分長く感じるものです。とびっきりのお茶を買ったり、親戚からコメントカードをもらったり。FOLFIRINOXの最初の投与は、曰く"毒を盛られている感じ"だそうで数日はかなり具合も悪い。宣告以来本人が感じたストレスは計り知れません。退院して回復してきたな、と思ったある日、母は突然家を飛び出しました。本当に突然だったので、私も靴下も履かず、何事かとコートをはおって飛び出し尾行したのですが、どんどん電車に乗り、最後は新幹線に!!・・・北海道に着きました。本人は"ずっと行きたかった。今じゃなきゃ行けないと思った"などと供述していましたが、東北にいた妹も合流、何はともあれ温泉旅館に一泊の電撃旅をしたのでした。その後も関東各地で行ってみたかったレストランや、高級温泉旅館も予約しました。これが温泉マイスターへの道のスタートです。


3, 最新研究を知る

私自身研究者なので医学系の関連学会に参加したこともありました。

外科のお医者さんが多く参加する学会では、非常に多くのトライアルを知ることができ、ハイボリュームセンターでの通り一辺倒の対応の裏にある流れ、を知ることになりました。


その中で得た情報を集約すると以下のようなものでした。


・FOLFIRINOXはやはり良い

 抗がん剤が奏功し手術できる例、あるいは、手術後に再発しない例、それぞれの予測に関わるファクターとして、FOLFIRINOXの奏功率が指摘されていました。この情報の時点で母はFOLFIRINOXがかなりよく効いていたので、期待を持たせる情報でした。


・手術はかなりリスクが高い

当初は手術しか治る手段は無い、と言われ、外科を訪問しまくったのですが、学会ではいくつか実際にステージIV遠隔転移有りの患者にメスを入れた例が報告されていました。しかし長期に追った時の長期生存例は見当たらず。外科を訪問した時の冷たい対応の裏にはこのような知見の積み重ねがあるのでしょう。


・超ロングサバイバーは存在する

奇跡のロングサバイバーがいるかどうか聞いた時、ハイボリュームセンターでは"例外はまずありません"と突き放されてしまいましたが、内科系のお医者さんの発表で驚いたのは、結構多くの施設で、1人2人は数年生きているロングサバイバーがいたことです。統計からは例外として除かれてしまっていたりしたのですが、ロングサバイバーの存在を確認して、随分気持ちが前向きになりました。


・新しい選択肢は殆ど無い

新しい治療の話もあるにはあったのですが、治験は大体"効きそうな所"から始まります。治りやすい癌、治りそうなステージ。新しい薬が承認されるのに、リスクが少ない、ということなのでしょう。最も選択肢を必要とする膵癌ステージIVの患者に新しい選択肢が与えられるのは、最後になってしまう仕組みがありました。


個人特定の危険性や、仕事への影響などを考えると、全てを公開することはなかなか難しいのですが、また続きを書きたいと思います。


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