黄昏時…
雪が降り、
見慣れた街も一時 装いを変え、
白とグレーに覆われていたからか…
今日の 赤の混じった夕空が
妙に 私を惹きつけた。
そして、懐かしさも一緒に連れて
来た・・・
以前住んでいたことのある部屋は
マンション最上階で、窓から見える
景観を遮るものは何も無かった。
空が、それはそれは広くて…
自分の頭上は 空だけ。
外は一面 空。
手が届きそうな空。
空ばかり見て暮らしていた。
毎日繰り広げられる天文ショーに 驚き、感動の毎日だった。
日暮れ時は、空が 次々 色や表情を変えて、見事だった。
満月の日は、部屋の灯りを消して
月光浴…
流星群の日は、ホットココアを持って
何時間も星を眺めて…
見た事も無い大きな虹が、頭の上に架かった…
そんな事もあった・・・
大好きな空だった。
でも、地面が遠くなり、
自分が宙に浮いているような感覚に
不安定感を覚え、
そこを離れる事を決めた・・・
新しい住まいは、二階。
上ばかり見上げて暮らしていた毎日
から、地の緑や人の流れを見て暮らす
日々に変わった。
安心感があった。
でも…
小さくなった空は、同じ空の
はずなのに、趣を変えていた・・・
地面に近くなった場所から見上げる
空は、建物に囲まれ 小さく切り取られていて、電線が架かっていた。
電線は空の五線に見えた。
遠くに光る月が音符。
夕月夜、
茜色の空に 架かる五線と 月の音符…
小さな空は、小さな空の輝きで
私を励ましてくれた・・・
今は その住まいからも離れて
しまったが、
そう、 今日の空の赤は、
最上階で見た空が恋しくて、
小さな空を見上げてばかりいた
あの時の空によく似ていたんだ…
また、お天気下り坂
気をつけてね
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