私が2016年に受けた、文科省主催でBritish Cousil が実施した研修(正式名称は「英語教育推進リーダー中央研修 Leaders of English Education Project Teacher Training Course ) は以下の内容でした。

① 1週間生徒として, Reading, Writing, Speaking, Vocabulary, Speech and Pronunciation , Authentic Materials, Classroom English のセクションに分かれた授業を、基本的に生徒の立場で受ける

② 研修後各所属校で研修の成果を生かした授業を実施し、その録画を2回目研修までに提出

③ 今度はもう1週間教員として、同じ分野の授業を、同じ題材で授業を計画実施する研修を実施。

④  研修終了後、習得した全てのセクションの研修を同内容で各地で英語教員対象に実施、その報告を各都道府県担当窓口に提出して、「英語教育推進リーダー」の認証を受ける。

 というものです。私立中高英語教員でこの研修を受けた教員は5年間でのべ50名ほどになります。

 研修の内容はさすがに良く練られた具体的な工夫にあふれたもので、感心することしきりでした。仮定法ならば生徒に If you had 10,000,000 yen , what would you do? と、条件を各自で考えさせた疑問文を作り、グループ内で相手を交換して練習する、Writingならば自分の毎日の学校生活を、先ずtimetable で概要を整理し、段階的に essay を組み立てて行くなど、なるほど生徒が context  で学ぶとはこういうことか、「自分のこと」に引き寄せて練習すると確かに定着度は高いだろうなあと実感としてよくわかりました。

 そしてこの研修と、全国各地での研修参加で学んだこと、考えたことは、自分の英語教師生活にコペルニクス的変換を迫るもの、といえば大げさですが、根本から「英語を教える」ことを考え直さざるをえないものとなりました。

 「予備校の人気講師」みたいな授業を目指して以来、「良い授業」とは生徒kが聞いてよく分かる授業、勝負は自分が、教師がどれだけ生徒に分からせるか、どううまく語るか、説明するかだ。というのが基本でしたが、この研修で自分が生徒の立場になって、さまざまなactivityに参加して、「あ、なるほど。」と色々な気づきの経験を通じて、実は授業で一番大切なのはこれ、つまり「教師が何をどう説明するか」ではなく、「生徒が何をして何に気づき、どうそれを身につけていくか」であり、授業の組み立てを考える中心は「自分が何を語るか」よりも「生徒が何をするのか、生徒になにを考えさせるのか。」だったという、ごく当たり前の大原則をあらためてというか、初めてはっきり気づかされました。

 もちろん教員の説明が大切じゃないわけはありません。しかし「英語の授業とは何か」「どう授業を組み立てるか」を考える根本の軸足が、自分は間違っていたと思わざるを得ませんでした。

 でも、多くの先生方にとってはこれは「今更何を、当たり前じゃない。」ということでしょう。

 というわけで、多くの収穫があったこの研修ですが、だからといって文科省の言うようにやっぱり「英語の授業は英語で」となったかというとそれは.......。については次回のブログで。