
こんな形で活きるとは・・・
学び多きこの1年、ある日私は授業で精神障害者のリカバリー(回復)について先生から講義を受けていました。さらっと、たった90分の中で聴いただけの言葉でした(そのクセにテストにはよく顔を出す)。それが~WRAP(Wellness Recovery Action Plan:元気回復行動プラン)~です。単に「ラップ」と呼ばれています。
精神障害をもちながら生活することは、多くの社会的な弊害が生じます。最近でもまだ、「精神を病むのは心が打たれ弱い証拠だ」とか「相手に構ってほしいから、甘えたいからそう振る舞ってるだけだ」とか、そういう風に考えている人がたくさんいるはず。でも、病気を抱えている人は「違う!」って叫びたいですよね。
いつだって障害を持つ人はマイノリティ。社会では弱い立場に置かれてしまいます。そうした方たちが、どうしたら全人的復権を目指せるのか、これは全世界で議論が絶えない課題です。
「自分はどんな治療が向いているだろう?」と考えるときが必ずあると思います。
・薬物治療

・カウンセリング

・気合い

様々な手法の中に、そのWRAPがあります。これは、精神障害を持つ方々の困難さといった情報をもとにアメリカで生まれた方法で、意訳すれば「落ち込んだ時に元気になるための自分自身の行動計画」といっても良いでしょう。
WRAPの真髄
元気回復行動プランを生み出すキッカケとなった人物が、メアリー・E・コープランドさんです。彼女自身もまた、長年精神疾患で苦しんだ経験があり、主治医からも「回復の見込みはない」と匙を投げられました。あるときコープランドさんが「元気である為にはどうしたらよいか」という探究をはじめ、いろいろな精神障害を抱える方から『元気回復(リカバリー)』の手段を調査しました。それを彼女が実践していくと、次第に元気でいられることの安定性を見出すことができました。
このことを周囲の仲間とともに「リカバリーをすすめるツール」として世に誕生させたのがWRAPというわけです。さらにコープランドさんが行った調査から明らかになったリカバリーに欠かせない《5つの法則性》が、WRAPの真髄となっていきます。
1.希望
元気になることは、不可能ではないという事です。その希望を持ち続けることが、目標を達成できる原動力になり得るのです。
2.責任を持つこと
自分の体調は、自分が一番良く知っていますよね。ですから、自分自身が自分の専門家になり、生活の仕方などに責任を持ちましょう。気分の変調をうまくコントロールできなくなった自分の力を取り戻せるようになります。行動を起こすのはあくまで自分自身です。
3.学ぶこと
様々な知識を蓄えることは、自らをもっと良い方向へ昇華させます。本を読んでみたり、このブログをよんでみたり(笑)、あるいは同じ体験をしている人のお話を聴いてみる・話してみることも重要です。
4.自分をアドボケイトすること
アドボケイト、つまり自分には何かをする権利が当然あります。それを自覚し守ること。
5.サポート
自分の元気は自分で作り出す努力も必要ですが、一人ではどうすることができない場合は、お互いにサポートし合うこともまた、必要なのです。
WRAPの実践
先程WRAPは「行動計画だ」と綴りましたが、例えば「自分はこういう時に、調子が悪くなる」「気分が悪くなった時、こうするとリラックスする」「一人で解決できないとき、誰を頼れば良くなるか」というような事柄を、いろいろ思い出しながらまとめていきます。いつかその時が来たら、すぐに対処できるようになります。
そこでようやく明かされる、昨日の私の行動。私は横浜のWRAP活動へ参加したのです

神奈川県民活動サポートセンター
活動はまず“チェックイン”から始まります。旅館などで受付をするときに使う、アレです。つまり言うと、自分はWRAPという宿に入ります。参加者は他の参加者をお出迎えします。呼ばれたい名前など簡単な自己紹介をして、「ようこそ~」と迎え入れます。
この日行ったのは、①自分が大切にされていると思う瞬間、②普段の生活の工夫を発表することでした。皆さん、思い思いの意見を語り合います。
みんなの思いがつまったホワイトボード
次に、これらの発表から自分の感じた事を紙に書きだします。
「絆」とか「いらない存在じゃないんだ」とか「存在感」など、感じたことを共有します。みんな考えることは違って、新たな視点に気付くことができます。
最後はもちろん“チェックアウト”でしめます。イスを持ち寄って円になり、今感じている事、家に持って帰りたい事、ここに置いていきたい事(卒業したい事)を発表し合います。
こうして私は治療の一環として、横浜WRAPのクラスへ仲間入りすることができました。先々就職のことも考えなければなりませんが、今の私に必要なのは、無理をしないこと。それに尽きます。こういった活動を通して、私は自分の「回復」をしつつ活躍できる場を探そうと思いました。
位置付けとしては「就職(に役立つ)活動」ということで(・・;)
☆次回の横浜WRAPは4月7日(日)です。どなたでも、参加してみませんか
