■主題:太ることが不可避の時はどうする
■メインキャスト:浦埼美咲


 

美咲に今まで体験したことのない仕事が舞い込んできた。
韓国韓国の取引先が日本に来ているから接待をしてほしいというものだ。

ただ、複数の会社にあいさつ回りするということなので、美咲のところでは昼食ラーメンの接待だけでよいという話だった。

日本人日本は海外旅行で現地のスーパーマーケットを訪れたり、地元の人に愛されているレストランに行ったりするとちょっと嬉しくなるものである。

なぜ嬉しいかといえば、現地の生活に触れられたような気がするのと、周りの人は知らないであろう穴場を見つけたような気がするからである。

これは日本日本を訪れる外国人地球にとっても同じである。

有名観光地だけでなく、ほとんど日本人だけが利用しているような場所を訪れたくなるのである。

インターネットの発達によってそんな日本人だけの場所もあっという間に外国人だらけになってしまうものであるが・・・。

韓国韓国からのお客様は地元の知られざるラーメン店ラーメンを訪れたいというのだ。

美咲は自分なりに韓国韓国にあるラーメン店ってどういうものか調べてみた。
韓国でラーメンといったらどうやら日本で言う袋麺のインスタントラーメンを指すらしい。
韓国人はそれをラミョンと呼んでいる。

 

 

さらにまとめサイトを使って、日本のラーメンラーメンについての韓国人の意見も集めてみた。
すると、日本のラーメンはしょっぱいだけでおいしくないというのだ。
韓国人の口には合わない可能性もありそうだ。

そして混ぜて食べるものが好きだということもわかった。

『う~ん。どうしよう・・・。』

ネットを検索していたら近所に「まぜそば担々麺」というのがあることが分かった。

 

 

『これならいいかもしれない。』

美咲はまぜそば担々麺を提供するお店に座席予約できるか連絡してみた。
ネットで見つけられた人気店だ。
連日大賑わいで行列もできる店だったことから想像はしていたが、予約できなかった。

美咲がぶつぶつ独り言を言いながら探していると、陽菜が気づいた。

「近所でよさそうなお店ありますよ。ここなら穴場だし、喜ばれるかもしれないですニコニコ

「ほんとびっくり

「はいニコニコ

「でも、よく私がラーメン店探しているってわかったね。」

「えっガーンまあ、みんなに聞こえる独り言だったので・・・汗

「あ~、ごめんごめんごお願い

美咲の口から昭和の言葉が飛び出した。
普段からケーブルテレビで昭和の番組の再放送を見まくっているせいだ。

「でも、ちょっとニンニクがきついですけど大丈夫ですかねはてなマーク

「ふ~ん。ネットで調べたところによると韓国人はニンニクが大好きみたいだからいいと思う。で、おいしいのはてなマーク

「実は、行ったことないですてへぺろ女子にはかなり敷居が高いです。」

「そうなんだ・・・。でも一応候補に入れておきましょう。」

そう言って、陽菜が検索してくれたパソコン画面をスマホで撮影した。

すると、翔太が呼びに来た。

「美咲。お客様来たぞ。」

美咲は資料を持って会議室に入った。
ほどなく、韓国からの取引先が来た。

阿倍部長のリードで、WEB企画に必要なコーデの画像を伝えた。
美咲が何を言っても先方は「ダイジョブ、テキマスヨ。」とちょっとたどたどしい日本語で答えた。

打ち合わせはあっという間に終わり、お昼時になった。

「では、イムさん。私は、今日はちょっと別のお客様のところへ行かないといけないので、うちの浦埼とお食事に行ってください。」

「アペさん、イチュモ、アリカトコジャイマス。キョワ、ラミョン、タペルネ。」

「そうですか。私もどこへ連れていくのかわかりませんが、楽しんでいってくださいニコニコ

すると翔太が横から美咲に問いかけた。

「どこ行くんだよ・・・決めてあるのかはてなマーク

「うん。地元っぽいラーメン屋がいいっていうからここにしようと思うんだけど・・・。」

美咲は翔太にさっき撮影したスマホの画面の画像を見せた。

「マジではてなマークここやばいよえー

「そなのはてなマーク

「あっ、でも韓国人は好きかもしれない笑い泣き

どうやら翔太はこの店を知っているようだった。
美咲は翔太についていくだけでよいとわかるとちょっとほっとした。

韓国の取引先を入れた3人は会社を出てラーメン店まで歩いて向かった。
少し裏路地を進むとその店はあった。

『元祖池麺』

「ガ・ン・ソ・イ・ケ・メ・ンガーン

なんてふざけた名前なんだと思った。

3人は入店した。
いかにもラーメン店という感じで、赤い色のカウンターに壁にはぎっしりと短冊に書かれたメニューが並び、星占いになっているルーレットおいてあった。

 

 

韓国韓国の取引先はこれを見ただけで大喜びだった。
おそらく、彼の思い描くラーメン屋そのものの絵だったのだろう。

3人は小上がりになっているお座敷に席に座った。
ラッキーなことに床は掘ってあり、正座の必要はなかった。

座布団も厚手で助かったが・・・。

ラーメン店でありがちなことがあった。

座布団が油まみれでべとべとしたのだガーン

陽菜の言う通り、ちょっと女子にはよくなさそうな店だった。

美咲はメニューを眺めた。

そこには・・・

血の池麺、地獄の池麺、貯水池麺、電池麺などよくわからないものが並んでいた。

「翔太、ここは普通のラーメンはないのえー

「ない笑い泣き

翔太があっさりと答えた。

「イムさんは、どんなのがいいですかはてなマーク

「ワタシワ、ソネェ~。トレカナァ。ワカナイナァ。オススメ ニ シマショ。」

そう言うと地獄の池麺を指さした。

横に書いてある説明を読むと、ジョロキアとハバネロを入れた激辛ラーメンだそうだ。

「イムさん、これ滅茶苦茶辛いですよはてなマーク
「タイジョプニコニコゲンチャナヨ爆  笑

韓国人は辛いものには強いと聞いたことがあるからきっと平気であろう。
美咲と翔太は納得した。

翔太はヘドロ池麺という食欲が失せそうなものにすると言った。
ヘドロ池麺はドロドロのスープがヘドロのようになっている味噌ラーメンだった。

美咲はかなり不安になってきた。

お腹に巻いているコルセットも、美咲の大好きなアニメであるド根性ガエルのぴょん吉のように語りかけてきている気がした。

 

 

『ここのラーメン絶対やばいよ』

しかし、近所のラーメン店といえど、これは接待だ。
コルセットがきつくなるから食べませんというわけにはいかない。

「翔太、ここにはあっさり系はないのはてなマーク

「ないよ。全部恐ろしいほどこってり系。家系に対抗して、池系って呼んでいるらしいから爆  笑

美咲は、きっと、このラーメン店は絶対に味よりもダジャレとインパクトに熱心なんだと思った。

美咲は縦書きのメニューをよく見ていると、メニューの最後の最後、ライスよりも左側に見つけた。

『澄んだ池麺』

そこには、「麺少な目。カロリー控えめ。ダイエットにもどうぞ。女子専用。男性は注文できません。」と書いてあった。

「私、これにする。麺少な目だし、これなら何とかなりそうニコニコ

翔太が注文を入れた。

しばらくすると山盛りのラーメンが運ばれてきた。

「澄んだ池麺、お待ち~!!

そこにはどう見てもカロリー控えめではないラーメンがいた。
見るだけでゲップが出てきそうな勢いだった。

続いてまっ茶色のラーメンが運ばれてきた。
「ヘドロの池お待ち~!!

美咲はこれを見て悟った。
確かに翔太の頼んだものと比較すれば美咲の澄んだ池麺は麺も少なめでカロリーは控えられているであろう。
ここの店主の常識を疑いたくはなったが、確かに元祖池麺の基準では嘘偽りはなさそうだった。

最後にイムさんの地獄の池麺がきた。

さっきはゲップだったが、今度はむせ返りそうになった。
真っ赤に染まったラーメンからはカプサイシンガスが容赦なく放たれ、食べてもいないのに涙がボロボロ出てきた。

恐怖に苛まれながら、食べ始めた。

味は悪くなかった。
ただ、量が尋常じゃなかった。

麺もふざけたネーミングとは裏腹にまじめに作られた感じがしてもちもち感がたまらなかった。
スープも確かにあっさりだった。

食べ始めてから5分もしないうちに、コルセットがきつくなった。

「ちょ、ちょっと、手洗ってくる。スープが顔にはねちゃったてへぺろ

そう言って、狭いトイレに駆け込み大急ぎでコルセット外した。

『これ、絶対、やばいやつだ。』

ヒミツ天からのAbooの囁きヒミツ

コルセットダイエットでラーメンは本当にきついから避けたいところです。
特に、個性豊かな有名店のラーメンは味付けが濃く、麺も強腰で密度が高いことが多いため危険です。
むしろ、世界の埼玉が誇る日高屋のしょうゆラーメンや、大都会埼玉でしか食べられないなぜか店名になっている「うどん」よりもおいしいあっさりした山田うどんの昔ながらの醤油ラーメンの方がおいしく食べられます。
Aboo的には、実は、敵地千葉の東関東自動車道の湾岸市川パーキングエリアの醤油ラーメンいいと思いますけど・・・。
今回のように食べる前から想像つくだろってときはもちろんですけど、接待とかパーティとかそういう理由があるときは潔くコルセットを外して臨んだ方がいいです。
もちろんカロリー制限をオーバーすること間違いないので、元に戻るまで時間をかけて減量しないといけないです。
ただ、一度の大幅にカロリーオーバーした場合、消化しきれなかった分はうんちになって出て行ってしまうので、思ったほどリカバーに時間はかかりません。
雑な言い方かもしれませんが、中途半端なカロリーオーバーを繰り返すなら、思い切り振りきるくらいカロリーオーバーして、そうでないときにきっちり減量した方がはるかに理にかなっています。


席に戻り再び食べ始めた美咲だったが、やっぱり量が多すぎて食べきることはできなかった。
するとイムさんが言った。

「スシ日本 オンナ ワ タペナイネェ。キムチ韓国 オンナ ワ イパイ イ~パイ タペル ヨ。」

そして、なんの躊躇もなく美咲の丼に箸を突っ込み、自分の激辛スープに麺を突っ込んだ。

美咲は固まったガーン

これこそ文化の違いであろう。
韓国人韓国は他人の食べていたものを食べるとかそういったことを行儀が悪いとか感じないようである。

他人の食べ残しに箸をつけることにもまったく抵抗がないようだ。


イムさんは超大盛の激辛ラーメンを食べ尽くしただけでなく、美咲の残したものも全部辛くして食べてしまった。

ただ、幸いなことにイムさんは大満足のようで、接待としては成功だったのかもしれない。

食事が終わると、何の躊躇もなく店外にイムさんは出た。

日本人の場合は、「ここはうちが払いますよ」という応酬が何度か繰り返されるところだが、初めからおごってもらう気満々だった。
この辺りも文化の違いであろう。

翔太が会計を済ませて外に出てくるとイムさんが翔太に見慣れない名刺を渡した。

「おぅ、美咲。先帰っていていいよ。イムさん送ってくから。」

「あっ、一応阿倍部長から私が言われているから、私も付いてく。」

「じゃあ、陽菜ちゃんに、1時間くらいかかるって電話しとけよ。」

「う、うんもやもや

美咲にはなぜ1時間もかかるのかわからなかった。
翔太は社内でパシリの天才と異名をとるだけあって、あっという間にタクシーを捕まえてきた。

イムさんは助手席に乗り込み、翔太は後部座席に座った。

座る位置も文化の違いである。

日本以外では後部座席よりも助手席を好むことが多いのだ。

 

「ほら、美咲も、乗れよ。」

翔太は、さっきイムさんから渡された名刺を運転手に見せた。

「翔太、送っていくって、まさか?」
「そうだよ、次の取引先まで送っていくんだよ。」

イムさんは美咲の会社まで、自力で来たのではなく、その前に打ち合わせをした会社の人に送ってもらってきていたのである。
このロジックで行けば、次の取引先のところまで送っていかなくてはならない。

おそらくこれもまた文化の違いであろう。
『恐るべし、韓国ガーン
美咲は初めて文化の違いというものを学んだ気がした。


To Be Continued...


■登場人物紹介■

浦埼 美咲 (うらさき みさき)

主人公28歳。独身。彼氏あり。
恵比寿のアパレルメーカー(エンジェルスシンジケート)でネットやカタログ向けの画像加工を行う部署でお仕事中。
自宅は大都会埼玉の大宮駅から少し先のJRの駅からすぐのところに家賃8万円の1LDKに乗り換えなしで職場に通えるというだけの理由で一人暮らし。
性格は周りから周りからちょっとちやほやされてみたい気もするけど、目立つのは苦手という結構ありがちなタイプ。
案外見栄っ張りな一面もある。


大関 萌華(おおぜき もか)

美咲と同じエンジェルスシンジケートで経理課に勤める。
Hカップの巨乳の持ち主といえば聞こえがよいが、肥満の家系に生まれ育つ。
子供のころのあだ名は横綱。
コルセットで急にカッコよくなった美咲にいち早く気づきコルセットダイエットを決意する。
美咲と同じ電車で通勤している。
美咲より数駅遠い町で祖父母と両親、兄3人と暮らす。

大関一家(年齢順)

 祖父:寅(とら)
 祖母:桂(かつら)
 父 :健人(けんと)
 母 :貴理子(きりこ)
 長男:塁(るい)
 次男:コナン
 三男:三斗(さんと)
 長女:萌華(もか)

本庄 歓波(ほんじょう わいは)

エンジェルスシンジケートの珍入社員でどこまでも問題児。
自分の気に入ったものにはとことん固執するのにそれ以外はとことんずぼら。
早合点で超短絡思考でおバカを絵にかいたよう。
自分勝手な性格と誤解されやすく取りつきづらいイメージを持たれ孤立しがち。
しかし本当は・・・。

岩槻 陽菜

23歳。
美咲の勤める会社で派遣社員をしている。
社内ではかなりイケているルックスの持ち主。
美咲は彼氏さんの「陽菜ちゃんってかわいいよね」の一言でやきもち持ちを焼いたことから、勝手に美のライバル視している。
陽菜本人はどう思っているかは定かではない。
というかまだ未設定。

阿倍 沃(あべ よう) 商品開発部長

会社で一番の美人で、モデルもこなし、仕事もできる。
社長の愛人という根の葉もない噂もある。
女子社員は陰で「倍沃」(べよう)と呼んでいる。
本人はそれに気づいているが、そのことはまんざらでもないらしい。
なぜなら倍沃(べよう)はコルセットダイエットの一番人気のバーヴォーグ(Burvogue)の漢字名だからである。
そして今では美咲にとってのコルセットの師匠でもある。

戸田 由喜枝

正社員なのになぜか不定期出勤で誰もが一目置く存在。
ミシンの達人であっという間にあらゆる服のお直しをしてしまう。
ミステリアスな存在である。

秋ヶ瀬 翔太

美咲の彼氏で同僚。
お人好しで頼まれたら断れない性格。
美咲にだけはなぜかやたら強気。
それ以外は未設定。

水判土 迦皇(みずはた かのん)

元フリーのSE。
萌華(もか)の兄の塁の友達の弟。
萌華(もか)が片思いを寄せている。

須賀谷メロ、森掛(もりかけ)桜、倍賞泉花(せんか)

WEB営業部WEB企画課の三人組
リーダー格で意地悪な須賀谷メロ
嘘付きの森掛(もりかけ)桜
強欲の倍賞泉花(せんか)
社内ではいわゆる腫物だが、本人たちは・・・


神園社長

美咲が務める会社(エンジェルスシンジケート)の社長。
高校生の娘がいる。

妻沼WEB営業課課長

美咲の直属の上司風。
課付きの課長なので実際には部下はいない。
理屈っぽく行動力はない。
ハゲデブで脂ぎっている

川里経理課長

萌華(もか)の直属の上司。
寡黙でなんでも他人事の態度。
貧相なガリガリ出っ歯。

トリサミットソン社(やしろ)先生

旧姓は小川。
両親が経営する白蓮総合病院の内科医。
ダイエット外来を担当している。
大関一家に毎週土曜日ダイエットレクチャーを実施。


■作者紹介■

)プロクビレイター(のAbooです。
世界中のウエストを くびれ させることが野望のプロのクビレイターです。
クビレイトに欠かせないものといえばコルセット!
コルセットで肋骨を引き締めることでアンダーバストからヒップにかけて整形級のボディラインを作っちゃおうっていう痩身術です。
世間ではコルセットダイエットなんて呼ばれています。