■主題:くびれの高さ
■メインキャスト:本庄歓波(わいは)



会社の仕組み上、美咲が率いることになった新しい部署WEB営業課WEB企画チームは、元居たWEB営業課本体で実質画像加工が仕事のところに、画像加工を社内下請けに出すような感じになっていた。

画像加工担当は古参の三人だ。
須賀谷メロ、森掛(もりかけ)桜、倍賞泉花(せんか)である。

それに対しWEB企画チームは、主任の美咲は古参の3人より1年先輩なだけで、中途採用の新入社員の歓波(わいは)、専属社員という特殊な契約になっていることは伏せられていて表向きは派遣社員の陽菜の3人だ。

組織図上は、WEB営業課直属の古参の3人よりも下の位置にWEB企画チームがある。

古参3人組にとって、美咲のWEB企画チームはどこまでも面白くない存在だった。

とりわけ、ガテン系の雰囲気のある歓波(わいは)を彼女らは目の敵にしていた。

歓波(わいは)はある企画を作ってまさか採用されていた。

とうとう3人は歓波(わいは)を目の敵どころか今では悪の枢軸とみなすようになった。

歓波(わいは)の考えた企画とは『2021年のママリン』というものだった。
このタイトルを見ただけで本田美奈子の1986年のマリリンとオーバーラップする。

 

 

会社の役員連中にはドはまりの世代だ。
楽しく過ごせたバブル絶頂の華やかな学生時代を思い出したのであろう。
80年代のテイストを取り入れた原色主義の肩で風を切る感じのファッションが見事に突き刺さったようだった。

そんなわけで歓波(わいは)のイメージしたコーデでモデル撮影が行われた。
その画像加工の下請けに回ったのが古参3人組だった。

3人はボディコン要素を取り入れた大人カジュアルの画像を好き勝手にいじくりまわし歓波(わいは)へ提出した。

令和っぽく穿いていたハイウエストデニムのアクセントはゆるふわ系のルーズパンツのようにベルトラインの上にまで股上が飛び出しぴったりしたはずの太もも部分はルーズな感じになっていたガーン

 

どちらかといえば自然な感じで可もなく不可もなく、悪く言えば印象に残りづらいコーデが特徴の一般的な日本のコーデに、自己主張の強い韓国ファッションが入ってきたせいでウエストラインを上へ上へと上げ
その分トップスの丈が短くなる傾向がある。

2021年のマリリンではその傾向を生かしたまま、80年代風のシルエットを織り交ぜていたのだ。

80年代といえばハードロック系ミュージシャンのファッションが幅を利かせていた。
ローライズのベルボトムジーンズに、ホルターネックのトップス、ショートジャケット、ライオンのたてがみのようなヘアスタイルだ。
足元はヒールアップしたワークブーツやコンバットブーツで決める。
アクセサリの基本はロザリオだった。

 

 

 

 

 

お腹も大きく露出されていた。

アメカジなんて呼ばれていた。

お金のある若者はボトムスもレザーパンツにして上から下まで牛革で固めていたびっくり


歓波(わいは)はローライズのデニムをハイウエストに変えて、ジェネレーションX的な不良っぽさを取り除き、写真投稿サイトで映えて見えるようにしたのだ。

コルセットダイエットに目覚めた歓波(わいは)のこだわりはウエストラインにあった。
ここのシルエットをいかに際立たせるかがこだわりだった。

ところが

古参3人組に加工された画像は歓波(わいは)のイメージとは程遠く、しかも、誰がどう見ても加工しすぎで背景がエラいことになっていた。

「主任、これヤバいっすえー

美咲は歓波(わいは)の画面を覗き込んだ。
歓波(わいは)のスマホの待ち受けに使われているいじくりまくりの自撮り画像を思い出した美咲は言った。

「歓波(わいは)ちゃん、こんなにしちゃったのはてなマーク

「してないっすむかっこれが送られてきたっすムキー

確かにミーティングで歓波(わいは)が力説していたイメージと大きく異なり、こんな風に加工した理由も見つからなかった。

「ああ、そゆことか・・・。困ったねガーン

美咲はあきれ返りながらも古参3人組のところへ行った。

「ちょっと、いいですかはてなマーク

「何ですかはてなマーク美咲ちゃんはてなマーク
「だめだよ、美咲ちゃんじゃないよ、ちゃんと浦埼主任って呼ばないと」

美咲は無視して続けた。

「この画像なんだけど、ちょっと加工が過ぎるように思えるんだけど・・・。」
「そうですかはてなマーク歓波(わいは)ちゃんのセンスに合わせてみたつもりですけど、問題あるなら、直しますがはてなマーク
「あのねえー
「もしあれだったら、本人から直接言ってもらった方がいいですニヤリ
「でも、歓波(わいは)ちゃんの言うことっていつも意味が分からないから通じないよね笑い泣き
「外人と話してるみたいだもんね爆  笑
「外人じゃないだろ、あの待ち受け見たら、宇宙人じゃんはてなマーク
「宇宙人に失礼でしょ、怪物だよね笑い泣き

「あのね・・・汗

「私たち、歓波(わいは)ちゃんがいるならもうこれ以上続けるの無理なんで、3人で一緒に退職願出そうと思っているんですよ。」
「そうなったら困りますよねニヤリ
「歓波(わいは)ちゃんのこと何とかしてくださいよむかっ

美咲はあたりを見回した。
幸いにも阿倍部長は外出中のようだった。
阿倍部長がいたら間違いなく、すぐに退職届を提出するように脅迫されていたであろう。

「あんまり、そういうこと言わない方がいいと思うけど・・・汗

「美咲ちゃんって主任になってから本当に人が変わっちゃいましたよね。」
「今まではいい人だと思っていたのに、ほんとに人ってそこまで変われるんだなって。」
「ねえ、信じらんないよねぇ。」

美咲はどっと疲れて、もう放置プレイでいいやって気持ちになった。
3人を見限って席に戻ると、歓波(わいは)がウケまくっていた。

「どしたのはてなマーク今度は急にはてなマーク

「この画像よく見ると和田アキ子っす笑い泣き

「はあはてなマーク

最近のWEBのモデルの着用画像らしくモデルの身長が記載されている。
身長156㎝。
若干小柄だ。
しかし、確かに歓波(わいは)の言う通り和田アキ子のようだ。
歓波(わいは)は身長が高くどころか威圧感があるほどの長身に見えるということを言いたいのだろうと気づいた。

「確かに、和田アキ子みたいだねニコニコちょっと待って。」

美咲は歓波(わいは)の後ろから手を伸ばし画像加工アプリを操作した。

操作履歴にどんな操作をしたのか残っていた。
どうやら途中まではきちんと仕事をし、最後に背景が歪むほどの変形加工を行ったようだった。

美咲は不要と思われる操作をアンドゥした。

すると一気に和田アキ子感は消え去って背景の歪みもなくなった。

古参3人組は大がかりな加工をしたのではなかった。
ただ単に、脚を伸ばし、ウエストラインを下げる加工をしただけだったのだ。

「でも不思議だね、たった2つの操作でこんなに印象が変わっちゃうんだね。」

ヒミツ天からのAbooの囁きヒミツ

韓国系韓国のコーデは寸胴で低身長で細身とまでは言えないながら決して太っているわけではない程度の体型がどれだけ綺麗に見えるかという点に着眼点があるようです。
つまり、一般的な韓国人の体型です。
ネットなどで見かける静止画だけでなく、加工されていないはずの動画でも、日本人と比べると足が長くスタイルがよく見えることが多いです。
それはコーデそのものがすでにハイウエストとショートジャケットでウエスト位置を思いきり上に上げて、低い位置から仰るカメラワークと、広角レンズを使用し接写することで立体感を強調していることが多いからです。
男性アイドルになるとさらにそれが顕著に見えます。
ただ男性モデルの時はウエストラインを落とします。
こうすると一気に身長が高く見えます。
韓国韓国では高身長は美男美女の重要な条件で、特に男性では背が低いだけでアウトです。
だから、少しでも背が高く見える効果を狙います。
中にはPSYのようにそれを逆手にとって見下ろしのカメラワークでぽっちゃり感と短足感を利用したものもありますが・・・ニコニコ
いずれにしても、普段の生活の中で常に周囲を仰りで見ることなんて子供でないとできないですから、それ以外の要素であるウエストラインは重要です。
ウエストラインを示すマークとなるものはくびれです。
くびれ位置から上を上半身、下を下半身と脳がみなすからです。
くびれができる位置はお腹が凹んでいる人であれば、身長が低いほど上、高いほど下にできます。
人間の脳はそれを本能的に理解しているので、くびれ位置が下がることで高身長だと錯覚し、逆にくびれの位置が高いと低身長だと判断するようです。
くびれ位置が胸部にまで達しくびれができない場合は子供だと判定します。
さらにくびれの位置がわきの下まで行ってしまうと、幼児に見えます。
逆にくびれが下に移動し、骨盤まで達してしまうと、寸胴化し、超高身長だと感じます。
脚が見えていなくても身長を推測できるのはこのセンスのお陰でしょう。
よく、コルセットはどの位置に着けたらよいかという問い合わせがあります。
実用性を考えて立っているときは、座っているときはというのももちろんありますが、どんな風に見えるかという観点からくびれ位置を決めてもよいと思います。
Aboo的には見た目の身長が低く見えるなんてことは気にせず、くびれ位置を高い位置に持って行って脚長効果を狙いたいです。



To Be Continued...


■登場人物紹介■

浦埼 美咲 (うらさき みさき)

主人公28歳。独身。彼氏あり。
恵比寿のアパレルメーカー(エンジェルスシンジケート)でネットやカタログ向けの画像加工を行う部署でお仕事中。
自宅は大都会埼玉の大宮駅から少し先のJRの駅からすぐのところに家賃8万円の1LDKに乗り換えなしで職場に通えるというだけの理由で一人暮らし。
性格は周りから周りからちょっとちやほやされてみたい気もするけど、目立つのは苦手という結構ありがちなタイプ。
案外見栄っ張りな一面もある。


大関 萌華(おおぜき もか)

美咲と同じエンジェルスシンジケートで経理課に勤める。
Hカップの巨乳の持ち主といえば聞こえがよいが、肥満の家系に生まれ育つ。
子供のころのあだ名は横綱。
コルセットで急にカッコよくなった美咲にいち早く気づきコルセットダイエットを決意する。
美咲と同じ電車で通勤している。
美咲より数駅遠い町で祖父母と両親、兄3人と暮らす。

大関一家(年齢順)

 祖父:寅(とら)
 祖母:桂(かつら)
 父 :健人(けんと)
 母 :貴理子(きりこ)
 長男:塁(るい)
 次男:コナン
 三男:三斗(さんと)
 長女:萌華(もか)

本庄 歓波(ほんじょう わいは)

エンジェルスシンジケートの珍入社員でどこまでも問題児。
自分の気に入ったものにはとことん固執するのにそれ以外はとことんずぼら。
早合点で超短絡思考でおバカを絵にかいたよう。
自分勝手な性格と誤解されやすく取りつきづらいイメージを持たれ孤立しがち。
しかし本当は・・・。

岩槻 陽菜

23歳。
美咲の勤める会社で派遣社員をしている。
社内ではかなりイケているルックスの持ち主。
美咲は彼氏さんの「陽菜ちゃんってかわいいよね」の一言でやきもち持ちを焼いたことから、勝手に美のライバル視している。
陽菜本人はどう思っているかは定かではない。
というかまだ未設定。

阿倍 沃(あべ よう) 商品開発部長

会社で一番の美人で、モデルもこなし、仕事もできる。
社長の愛人という根の葉もない噂もある。
女子社員は陰で「倍沃」(べよう)と呼んでいる。
本人はそれに気づいているが、そのことはまんざらでもないらしい。
なぜなら倍沃(べよう)はコルセットダイエットの一番人気のバーヴォーグ(Burvogue)の漢字名だからである。
そして今では美咲にとってのコルセットの師匠でもある。

戸田 由喜枝

正社員なのになぜか不定期出勤で誰もが一目置く存在。
ミシンの達人であっという間にあらゆる服のお直しをしてしまう。
ミステリアスな存在である。

秋ヶ瀬 翔太

美咲の彼氏で同僚。
お人好しで頼まれたら断れない性格。
美咲にだけはなぜかやたら強気。
それ以外は未設定。

水判土 迦皇(みずはた かのん)

元フリーのSE。
萌華(もか)の兄の塁の友達の弟。
萌華(もか)が片思いを寄せている。

須賀谷メロ、森掛(もりかけ)桜、倍賞泉花(せんか)

WEB営業部WEB企画課の三人組
リーダー格で意地悪な須賀谷メロ
嘘付きの森掛(もりかけ)桜
強欲の倍賞泉花(せんか)
社内ではいわゆる腫物だが、本人たちは・・・


神園社長

美咲が務める会社(エンジェルスシンジケート)の社長。
高校生の娘がいる。

妻沼WEB営業課課長

美咲の直属の上司風。
課付きの課長なので実際には部下はいない。
理屈っぽく行動力はない。
ハゲデブで脂ぎっている

川里経理課長

萌華(もか)の直属の上司。
寡黙でなんでも他人事の態度。
貧相なガリガリ出っ歯。

トリサミットソン社(やしろ)先生

旧姓は小川。
両親が経営する白蓮総合病院の内科医。
ダイエット外来を担当している。
大関一家に毎週土曜日ダイエットレクチャーを実施。


■作者紹介■

)プロクビレイター(のAbooです。
世界中のウエストを くびれ させることが野望のプロのクビレイターです。
クビレイトに欠かせないものといえばコルセット!
コルセットで肋骨を引き締めることでアンダーバストからヒップにかけて整形級のボディラインを作っちゃおうっていう痩身術です。
世間ではコルセットダイエットなんて呼ばれています。