これこそオリジナル！ #ダイエットプログラム【第3話】矯正？強制？するしない

■主題：バリアント形式、変数の宣言

「あのうプログラム書くとき最初にすることって何ですか」
「変数の宣言です。」

「変数」

「そうです。変数です。」

「y=ax+bのyとかxのことですか」

「まあ、言葉はそこから来てますけど、もっと範囲が広いんですよ。文字やオブジェクトも変数になります。」

「オブジェクト」

「画像とかそういうものです。」

「よく分からないですけど。」

「そのうち、わかりますよ。ところでExcelのVBAでは、初期設定で状態だと変数の宣言は必ずしも必要じゃないんです。」

「もっと分からなくなってきちゃいました」

「どういったらいいのかなかなぁ。例えば1行目から100行目までに1から連番を振るみたいなことってありますよね。」

「あります。そのときは『=A1+1』みたな式を入れます。」

「VBAではそこを自動で入れていくんです。」

Dim I as Integer

For I = 1 to 100
Cells( I, 1) = I
Next I

「こんな感じにすると1行目から100行目に連番を振れるんですけど、
初期状態のVBAだと最初の『Dim I as Integer』の部分は書かなくても動くようになっているんですよ。」

「そうなんですね。じゃあどうして必要ないことなのにわざわざsるんですか」

「こうした方が楽だからです。それなので、ほとんどのプロの人たちは、ここでいう『Dim I as Integer』の部分を書かないとエラーになるようにしているんです。」

「わざわざ強制しているんですか」

「そうなんですよ。[開発]メニューから『Visual Basic』を選んで、Visual Basicの画面に入って、[ツール(T)]メニューから『オプション(O)...』のダイアログを表示させて『編集』タブの中にある『変数の宣言を強制する(R)』にチェックを入れておくんです。こうした方が何かと便利なんですね。」

迦皇(かのん)はスマホからWEB検索を行い他の人の作成したサンプルコードを見せた。

「たしかにみんな最初にDimなんとかを書いてますね。わざわざやらなくてもいいことなのにするのは不思議です。」

「変数の宣言っていうのは、この変数はこういう種類でですよって書くことなんですけどこれを強制しておくと、大きなプログラムになったとき楽なんです。」

「どうしてですか」

「プログラムの中でたくさんの変数を使って、しかも何度も変数が登場するとき、わかりやすくするためにある程度の長さのあるものにします。例えば『体重』をあらわすものを『TAIJU』にするとかです。」

「なるほど」

「でも、プログラムって1日で完成するわけじゃないし、後で手直しとかもするし、入力間違いもあるじゃないですか。全体で『TAIJU』が100回でてくるとして1か所だけ間違えて『TAIJUU』って入力していたとします。変数の宣言を強制していれば『TAIJUU』という変数はないとエラーが出るのですぐに修正できます。しかし、宣言を強制していないと『TAIJUU』まま処理が進み本来そこで『TAIJU』ないといけなかったところが変化しません。それがバグになります。」

「バグですかそれは困ります」

「しかも100回使われ、どこにあるか分からないところから探さないといけないんです。」

「それは大変だと思います」

「それだけじゃないんですよ。記述した本人は『TAIJUU』って入力してしまったという意識がないですから、なんか知らないけど正しい結果が出ないって思って、プログラム全体を頭からチェックしないといけないです。この1文字を探すだけで何時間ならまだしも、何日もかかることもあります。」

「そうなんですね。それなら必ず宣言するようにした方がいいです」

「考えてみたら、ぼくたちが今作ろうとしているDPMPP(ダイエットプログラム管理プログラムプログラム)も同じですね」

「っていうと」

「ダイエットするのにDPMPPなんて別にいらないじゃないですか。こんなのなくてもダイエットして成功している人たくさんいますよね」

「確かにそうです。でも私たちのDPMPPじゃなくて別のもので記録を付ける人もたくさんいそうです。」

「そうですね。でも、どうでしょうもしもおじいちゃんはAというアプリで、お父さんはBというアプリでという風にみんながばらばらのものを使っていたとしたら」

迦皇(かのん)はこのプログラムがコルセットダイエット仲間の括麗隊(くびれたい)のためのものだとは知らないのである。
あくまでダイエット外来に通う萌華(もか)と萌華(もか)の家族のためだと思っているのだ。

「確かに、みんな同じものじゃないと困りますね。」

「VBAでは変数を宣言するときに合わせて、データの形も宣言しておきます。さっきのでいうと『Dim I as Integer』の『Integer』の部分です。」

「Integerって何ですか」

「整数です。」

「それで整数、Integerの頭文字を取って『I』って宣言したんですね」

「残念このIはIncreament、増加するを表す言葉の頭文字でした。」

「それじゃ、1文字だと紛らわしいですね。」

「そうなんですよ。だから変数の名前って長くなって、それが原因で入力間違いも起こしちゃんうんですよ。だから、結構バランスが大事です。」

「どうしてわざわざ変数の種類も宣言するんですか」

「種類を宣言しないとバリアント型っていってその時の都合に合わせてなんにでも変異しちゃうんですよ。もちろんバリアントでないと困ることもあるのであえてバリアントだって宣言することもあるんですけど。」

「ちょっと複雑です。」

「じゃあ、例えば『1』と入力されたときどうとらえますか？数字の『1』ですかそれとも文字としての『1』ですか？」

「あっそれよくExcelで入力するときあります。1/2って入力して2分の1を入れたいのに、1月2日になっちゃうやつと同じですね。」

「そう、それです。そうならないように文字を入力したいセルはあらかじめ書式設定で『文字列』にしておきますよね。」

「そうです。プログラミングでもこの間違いが起きないようにきちんと宣言しておくんです。でも、なんか、この考え方ってダイエットにも役立ちそうです。」

「っていうと」

「ダイエットの情報って、具体的なものがなくて、いつもなんとなくわかったような分からなかったような有耶無耶感があるんですよ。」

「確かに、僕もDPMPPを考えるとき、ダイエット情報のつかみどころがないところが気になってました。プログラム化するのに不向きな条件が多いなって。」

「ってことは逆にきちんと決められるところは決めることでもっと分かりやすくなると思います」

「大丈夫ですかそうすると管理項目が細かくなりすぎてそれはそれで大変な気がしますけど。」

「そうですね。管理項目を減らさないといけなくなりますね」

「でも、萌華(もか)さん、いいところに気づいた気がします。プログラムも、具体的にして管理項目を減らして、プログラムの量も減らすことが良いプログラムなんですよ」

「そうなんですかどうせプログラム書くなら何千行も続くものの方がかっこいいですけど・・・。」

「それ、一番ダメなプログラムですスパゲッティって呼ばれますよ。」

「スパゲッティは麺類で糖質たっぷりだからダイエットにもよくないです」

萌華(もか)はうまいことを言って締めくくった。
列車は地下に潜り、大宮駅の地下ホーム21番線に到着した。

「あっ、もう大宮だ。降りましょう。」

To Be Continued...

■登場人物紹介■

大関萌華(おおぜきもか)

美咲と同じエンジェルスシンジケートで経理課に勤める。
Hカップの巨乳の持ち主といえば聞こえがよいが、肥満の家系に生まれ育つ。
子供のころのあだ名は横綱。
コルセットで急にカッコよくなった美咲にいち早く気づきコルセットダイエットを決意する。
美咲と同じ電車で通勤している。
美咲より数駅遠い町で祖父母と両親、兄3人と暮らす。

水判土迦皇(みずはたかのん)

元フリーのSE。
萌華(もか)の兄の塁の友達の弟。
萌華(もか)が片思いを寄せている。

浦埼美咲 (うらさきみさき)

主人公28歳。独身。彼氏あり。
恵比寿のアパレルメーカー(エンジェルスシンジケート)でネットやカタログ向けの画像加工を行う部署でお仕事中。
自宅は大都会埼玉の大宮駅から少し先のJRの駅からすぐのところに家賃8万円の1LDKに乗り換えなしで職場に通えるというだけの理由で一人暮らし。
性格は周りから周りからちょっとちやほやされてみたい気もするけど、目立つのは苦手という結構ありがちなタイプ。
案外見栄っ張りな一面もある。

本庄歓波(ほんじょうわいは)

エンジェルスシンジケートの珍入社員でどこまでも問題児。
自分の気に入ったものにはとことん固執するのにそれ以外はとことんずぼら。
早合点で超短絡思考でおバカを絵にかいたよう。
自分勝手な性格と誤解されやすく取りつきづらいイメージを持たれ孤立しがち。
しかし本当は・・・。

岩槻陽菜

23歳。
美咲の勤める会社で派遣社員をしている。
社内ではかなりイケているルックスの持ち主。
美咲は彼氏さんの「陽菜ちゃんってかわいいよね」の一言でやきもち持ちを焼いたことから、勝手に美のライバル視している。
陽菜本人はどう思っているかは定かではない。
というかまだ未設定。

阿倍沃(あべよう) 商品開発部長

会社で一番の美人で、モデルもこなし、仕事もできる。
社長の愛人という根の葉もない噂もある。
女子社員は陰で「倍沃」(べよう)と呼んでいる。
本人はそれに気づいているが、そのことはまんざらでもないらしい。
なぜなら倍沃(べよう)はコルセットダイエットの一番人気のバーヴォーグ(Burvogue)の漢字名だからである。
そして今では美咲にとってのコルセットの師匠でもある。

戸田由喜枝

正社員なのになぜか不定期出勤で誰もが一目置く存在。
ミシンの達人であっという間にあらゆる服のお直しをしてしまう。
ミステリアスな存在である。

秋ヶ瀬翔太

美咲の彼氏で同僚。
お人好しで頼まれたら断れない性格。
美咲にだけはなぜかやたら強気。
それ以外は未設定。

須賀谷メロ、森掛(もりかけ)桜、倍賞泉花(せんか)

WEB営業部WEB企画課の三人組
リーダー格で意地悪な須賀谷メロ
嘘付きの森掛(もりかけ)桜
強欲の倍賞泉花(せんか)
社内ではいわゆる腫物だが、本人たちは・・・

神園社長

美咲が務める会社(エンジェルスシンジケート)の社長。
高校生の娘がいる。

妻沼WEB営業課課長

美咲の直属の上司風。
課付きの課長なので実際には部下はいない。
理屈っぽく行動力はない。
ハゲデブで脂ぎっている

川里経理課長

萌華(もか)の直属の上司。
寡黙でなんでも他人事の態度。
貧相なガリガリ出っ歯。

大関一家(年齢順)

　祖父：寅(とら)
　祖母：桂(かつら)
　父　：健人(けんと)
　母　：貴理子(きりこ)
　長男：塁(るい)
　次男：コナン
　三男：三斗(さんと)
　長女：萌華(もか)

トリサミットソン社(やしろ)先生

旧姓は小川。
両親が経営する白蓮総合病院の内科医。
ダイエット外来を担当している。
大関一家に毎週土曜日ダイエットレクチャーを実施。

■作者紹介■

)プロクビレイター(のAbooです。
世界中のウエストをくびれさせることが野望のプロのクビレイターです。
クビレイトに欠かせないものといえばコルセット
コルセットで肋骨を引き締めることでアンダーバストからヒップにかけて整形級のボディラインを作っちゃおうっていう痩身術です。
世間ではコルセットダイエットなんて呼ばれています。