ロッタンはオーソドックスのタイ人…

どの試合を視ても印象的な攻撃はとにもかくにも高速左フック。

ドラゴンフィッシュブローの様なボディブロー→オーバーハンドの右フック。

そして攻撃を受けると笑顔を浮かべパンチを繰り出すその姿は武尊を彷彿させる…

 

ただ単純にロッタン=武尊という認識ではない。

パッと思い付くの理由は2つあるがその1つ。

ロッタンも武尊も拳に自分の全てを込められる選手だが、ロッタンは自分からガンガン行くタイプで武尊はガンガン行きながらもカウンターを狙うタイプ…

※因みにこの試合ではユン・チーの右ストレート→左フックの単調なコンビネーションをバックステップで躱し、ダウンを取った後は逆に右ストレート→左フックを合わせてKOしている。


 

サウスポーの天心にオーソドックスのロッタンがどう攻めるか、そして天心がどう対策してくるか…

この試合を視る限りロッタンはサウスポー相手ではパンチの組み立てはさほど変化が見られないが、右ミドルを多用する傾向にある。

対する天心はロッタンが必ず打ってくる高速左フックに何を合わせるか、合わせられるかがこの試合の焦点になるだろう…

 

https://note.mu/gong_kakutogi/n/nd4a0bb584658

 

1R:10-10(ドロー)

いきなりサウスポーに構えるロッタン、天心に転ばされた後は本来のオーソドックスになるがその後も小刻みなスイッチは見られる。

ムエタイの選手は1Rは様子見のイメージだが、明らかに多用する高速左フックを使わない。右フックから入る所作も見られる。

 

2R:10-10(ドロー)

序盤より小さな蹴りで攻めるロッタン。

右ストレート→左フックの攻めも見られるが相変わらず高速左フックは見られない。

このRより右ミドルを多用し出す。

打ち合いになるとようやく高速左フックの片鱗が伺えるが…

より深く打撃を入れているのは天心の様に見えるがロッタンは全く引かない。ムエタイならロッタンのRの様に感じる。

 

3R:10-9(ロッタン)

もう疑い様が無い…

ロッタンは明らかに普段の高速左フックではなく右ミドル主体でこの試合に臨んでいる。

動きを視ると天心は高速左フックに左フックを合わせるつもりだった様に感じるが、これだけ右ミドルで来られるのは予想外だっただろう。

ロッタンは更に右ミドル・左ミドルのコンビネーションも魅せる。

 

4R:10-9(天心)

このRは天心の右ジャブがロッタンのムエタイガードを貫通している。

天心は下がりながらだが左アッパー・右オーバーハンド・胴廻し回転蹴りを入れている。

ロッタンの右ミドルは相変わらず冴え渡っているがポイント的には天心か…

 

5R:10-9(ロッタン)

序盤よりガンガン前に出るロッタンに下がる天心という構図。

天心も当ててはいるが如何せんロッタンは下がらず手数が多い。

ロッタンは勝ちを確信したか終盤流す様な動作が見られる。

 

個人的にはこの時点で49-48でロッタン勝利だと感じた。

だが勝負は1者ロッタン、2者ドローにて延長へ…

 

EXR:10-9(天心)

R開始直後いきなりロッタンの右ミドルに天心がカウンターの左ストレートを合わせる。

ただロッタンは怯まずそこから猛攻…

そのまま押し切るかと思いきや残り1分を切ってからの打ち合い、残り39秒に天心の打ち下ろし気味の左ストレートがロッタンを捉える。

それでもロッタンは下がらないがこのクリーンヒットは大きかった様に思える。

 

 

今回の試合で予想外だったのは、ロッタンが高速左フックを多用しなかった事。

再戦の機会があれば、どんな攻め方をしてくるか…

どちらにせよロッタンクラスの相手に対して天心は自分の狙いたいカウンターでは無く、相手に合わせたカウンターを打つ必要がある様に感じた。

 

 

そして現実的ではないが、武尊VSロッタンを観たい。

そう切実に感じた一戦だった m(_ _)m