Drama A Cafe

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歌姫中森明菜を応援しています。

中森明菜、新章を生きる──

「自分が笑顔になれたことがとても幸せです」

昭和の“かわいいアイドル”全盛期に、ハスキーな歌声と涼やかな魅力で圧倒的な存在感を放った中森明菜。楽曲とともに多くの人々の心に鮮烈なイメージを刻んだ彼女は、長い活動休止期間を経た今、どこへ向かうのか。

 

By YAKA MATSUMOTO

雑誌での撮り下ろしは数十年ぶりだという中森明菜は、とても静かにスタジオに現れた。あの特有のハスキーなウィスパーボイスで丁寧に挨拶を済ませ、時折笑顔を見せる。スタッフのひとりが同伴していた愛犬を見つけると破顔し、ヘアメイクや撮影の合間にも何度かその犬のもとへ。気負いのない自然体に、現場の空気がほぐれていく。一転、カメラの前で見せる眼差しの強さには、80年代を席巻した伝説的アイドルの片鱗が滲む。撮影を終えた60歳の彼女が、編集部からの60の問いに応じつつ、過去と今、そして未来への思いを明かしてくれた。

 

1 今回、出演を決めた理由は?
私にとって、ファッション誌といえば『VOGUE』というイメージだったので、こういう機会を与えていただいて、本当にうれしいです。

 

2 LEEとのコラボアイテムを撮影でも着用されましたが、デニムは中森さんのワードローブに欠かせないものですか?
そうですね。ジーンズって、とっても器用なファッションアイテムだと思うので、けっこういろんなタイプを持っています。スリムなものもだぼっとしたシルエットのものも好きです。

 

3 最近のファッションの傾向やお好みは?
昔からあまり変わらないですね。お仕事をいただくと、みなさんが良きようにしてくださるじゃないですか。みなさんのご提案に身を任せるのが好きなものですから。(プライベートでも)これ着てみたら? と言われたら、着ますし。

 

4 今没頭されていること、夢中になってることはありますか?
チョコレート。

 

5 ビター、ミルク、ホワイト、お好きなタイプは?
ものすごくビターな、カカオ95%とかのものが好きです。

 

6 60歳のお誕生日はどう過ごしましたか。
コットンクラブ(東京・丸の内)さんでファンクラブイベントをさせていただきました。スタッフのみなさんが大きなケーキを用意して祝ってくださいました。

7 16歳でデビューされましたが、ご自身の10代を一言で表現するなら?
「難しかった」です。私はもちろん、事務所やレコード会社さん含め、周りの大人たちも「アイドルを扱う」ということに不慣れな初心者だったので。

 

8 では、20代は?
自分はこうありたい、という方向性を見出したのと同時に、それに負けてしまった時期かもしれません。

 

9 30、40、50代はどうですか?
30代は負けっぱなしで、40代も負けっぱなし、50代も途中まで負けっぱなし(笑)。

 

10 60代はどうなりそうでしょうか。
この場でこうして取材や撮影をしていただけていることが本当に幸せです。今は、希望に満ちた明るい未来を感じています。

「自分が笑顔になれたことがとても幸せです」

11 負けっぱなしから、なぜ、ここにきて変化が?
今までは「ほかの人のために」という思いがかなり優先されていたんですけど、50代後半くらいからは、自分も笑顔になろうと思えるようになったんです。周囲を笑顔にしたいのはもちろんのこと、自分が笑顔になれたことが、とても幸せです。

 

12 人生最初の記憶は?
すごく虚弱体質で生まれてきたので──6人きょうだいなのですが、家族みんなで出かけても、私はすぐに病気になるんですね。例えば夏、プールに行ってもすぐには入れてもらえず、入ったら5分程度で「もうすぐ出なさい」という感じで。なので、いちばん覚えてるのが──家族の当時の車がライトバンだったんですけど、後部座席の窓から、みんなが海で遊んでるのをこうやって(と、左右の手を上下に重ねた上にあごをのせたポーズで)、「いいなぁ」って見ている自分。その姿を誰かが写真に撮ってくれていたこともあって、当時の記憶があるんです。多分2歳か3歳くらいだったと思います。

 

13 幼いころから今に至るまで、中森さんの中で変わってないなと思われるご自身の個性は?
なんでしょうか……「人に優しく、自分に厳しく」かな。

 

14 逆に大きく変わったなと思うところは?
人を信じなくなったこと(笑)。でも、60代になった今、またこれから人を信じられるときがやってくるかもしれない、と思えるようになってきました。

 

15 ライブやパフォーマンスの前に必ず行うルーティーンはありますか?
特にないのですが、デビュー前のオーディションのときなどに、人という字を手のひらに3回書いて飲むといいと、スタッフさんたちに言われたものですから、いまだにそれはやりますね。すごく緊張するタイプなので。

 

16 明菜さんが今後コラボしてみたいと思う若手のアーティストやミュージシャンは?
米津玄師さんは私にとって、雲の上のような存在なのですが、いつか楽曲を作っていただけたら素敵だねと、ずっとたわごとのように言っています。

 

17 最近ハマっている音楽、もしくはよくお聴きになる曲は?
昔からドナ・サマーやアース・ウィンド・アンド・ファイアー、エンヤなどゆったりした感じの音楽が好きです。

 

18 カラオケの十八番は?
自ら歌うことはないのですが、盛り上げるのは好きです。

 

19 ご自身の楽曲でよく歌うものは?という質問も用意していたのですが……。
リクエストされれば場が白けないようなんでも歌います。自分の曲でもあまり知らない歌でも(笑)。断れないタイプです。

 

20 ご自身の楽曲の中で好きな歌詞をワンフレーズだけ選ぶなら?
私の曲ではないのですが、竹内まりやさんの「元気を出して」。「涙など見せない強気なあなたを〜」という歌詞が好きです。

 

21 ご自身のキャリアの中で最も印象深い衣装と、その理由を教えてください。
やっぱり「DESIRE ──情熱──」ですね。パンチがある曲で、初めて聴いたときにもイケイケというか、かっこいい印象は受けたんですけど、周りが同じように「かっこいい」感じを目指す時代でもあったものですから、ほかと被ったらつまらないという気持ちもありまして。ならば、あえてギャンギャンの曲におしとやかな衣装を合わせてみようと思い、まず着物でジャケットを撮ったんです。DESIREの文字と着物の組み合わせがしっくりきたので、そのまま(パフォーマンスでも)着物をアレンジした衣装で行くことにしました。

 

22 中森さんにとっての憧れの存在的なアーティストは?
マイケル・ジャクソン。彼は作曲も作詞も踊りも演出も全てこなせてしまう方で、同じ人間とすら思えないですけど。ヒーロー的な存在です。

 

23 先ほどの「DESIRE ──情熱──」のお話にもありましたが、若いころからご衣装含めセルフプロデュースされることも多かった中森さんにとってのファッションとは?
歌手でいるときの衣装という意味でしたら、やっぱり先程からずっとお伝えしているように、「みんなが喜んでくれること」が大事なんです。そして、飽きられたくない。歌にしても衣装にしても、「次はどんな感じで出てくるんだろう?」と期待を抱いてくださったり、意外性を喜んでくださったりする方々の姿を想像するだけで、私もうれしくなるので。ファッションも歌も、とにかく皆さんの笑顔が原点です。

「歌は嫌いですが(笑)、人を喜ばすことが大好き」

24 中森さんにとって歌、また歌うこととは?
嫌いです。歌が嫌い。歌うことも嫌いです(笑)。

 

25 なんと。ではなぜ歌い続けるのでしょう?
人を喜ばすことが大好きなんです。小さいころから、みんながいちばん喜んでくれるのが歌だったものですから、歌の世界に。生のステージの場合は、やっぱり呼吸を共有するような距離感の中にファンの皆さんがいらっしゃるので、その笑顔だったり拍手だったりを感じ取れる瞬間はとてもうれしく思います。歌うことそのものよりも、ファンの皆さんと一体になる感覚や空気感が好きです。

 

26 鼻歌を歌うことなどもあまりないですか?
全くないです。あ、『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』の歌なら家事のときに歌っているかな。

 

27 ご自身にとって譲れない「中森明菜らしさ」とは?
10代のころから、相手が40代、50代の方であっても、立場が上の方であっても、自分の中で正しくないと思ったときは「それは間違ってると思います」と伝えてきました。「正しい」と思ったときにそれを主張すること。ただ、年月が経った今は、現場の若いスタッフさんのアドバイスには、すぐに「はい! はい!」と言っています(笑)。

 

28 意外だと驚かれる一面はどんなところでしょうか。
「頑張り屋」だとよく言われました。デビュー当時も「この子は本当に体が弱いので、すぐ倒れますから気をつけてください」と言われながら仕事をしていたんです。地方をまわるキャンペーンだと夜行列車で移動しながら握手会でサインを書いて、という日々だったので、何回も倒れて、救急車で運ばれていました。事務所の人はたくさん食べさせれば元気になるだろうという考えだったので、マネジャーさんが朝、牛丼を5個買ってくるんです。始発の新幹線に乗る前に、ホームの立ち食い蕎麦1杯と牛丼を食べて、現場に着いたらまた1つ食べて……と一日5食の日々を送っていたら、あっという間に58キロになりました(笑)。

 

29 これまでにもらったアドバイスで心に残っているものは?
ボイストレーナーの先生の「信念を曲げるな」という言葉でしょうか。

 

30 20代から40代のころのご自分、もしくは今その世代の人たちに向けて何か一言アドバイスをするとしたら?
「たやすく人を信じるな」(笑)。

 

31 ご自分の人生にタイトルをつけるとしたら?
「人生甘くない」

 

32 家を選ぶ際に最優先することは?
観葉植物を育てるのが好きなものですから、お日様、朝日がちゃんと入ってくれること。

 

33 最近もらって、もしくは購入してうれしかったものは?
(手もとの指輪を見せつつ)還暦の誕生日にいただいた唇の形をしたこの指輪です。

 

34 譲れないマイルールは?
特にこだわりはないですね。体に良いものをできるだけ摂るようにしているので、温泉水を飲んだりはしています。

 

35 ご自分のお好きなところをひとつあげてください。
人を喜ばす。

 

36 好きな色、自分に似合うなと思う色は?
好きな色は白なんですけど、似合う色は黒なんです。

 

37 髪を巻くならば、コテ派? カーラー派?
くるくるできるヘアドライヤー派。

 

38 家の中では裸足? 靴下派?
靴下派です。

 

39 得意料理、もしくは大好物は?
高野豆腐です。自分でも作ります。

 

 

40 辛いもの好きが有名でしたが、お好きな辛味調味料は?
一味唐辛子。

 

41 朝食の定番メニューは?
朝食は食べないです。一日1食で、基本夜です。でもお菓子は食べます(笑)。

 

42 これがあればご機嫌というマストハブアイテムは?
(チョコレートをつまんで)今はこれ。

 

43 日々のルーティーンにされている習慣はありますか?
これはもう小さいころから変わらないんですが、朝起きてお布団を片付ける。今も起きてすぐにベッドを整えます。

 

44 心身ともに健やかでいるために気をつけていることは?
人の笑顔が見られるように、人から笑顔がもらえるようなことをする。

 

45 運動的なことは?
週3回パーソナルトレーニングに通っています。

 

46 お気に入りの香りは?
ジルサンダーの香水です。

 

47 つい増えてしまう偏愛アイテムは?
今はチュールのファッションアイテム。チュールって季節を問わず、年中着られるので。

 

48 ご自分の性格を3つのキーワードで表すと?
そうですね……(笑いながら)「バカ、どじ、マヌケ」。

 

49 決してそんなことはないと思いますが。今日この場で初めて明かすエピソードをひとつ、お願いします。
普段から、あんまり家で鏡を見るタイプではないんですけど、先日パーソナルトレーニングに向かう途中で、ちょうど彼女(取材に同席していたスタッフ)と会ったら「口にチョコついてるよ」と。口の横にチョコをつけたまま、道を歩いていました。

人生で大切なのは「人を笑顔にすること」

50 一日の中でいちばんホッとする大好きな時間は?
寝るときです。

 

51 就寝前の過ごし方は?
テレビを消してから、最低30分ほどは小さなオレンジの灯だけをつけて、ぼーっとしてから眠るようにしています。お月様が出ていたらお月様を見上げたりしながら。

 

52 人生で怖いものはありますか。
人(笑)。

 

53 ストレス解消法は?
今はチョコを食べること。

 

54 犬派? 猫派?
両方派! どちらも大好きです。ひとりで暮らすようになってから犬とも猫とも暮らしていた時期があります。

 

55 中森明菜さんは、強いて言えば強い人?
弱い人。

 

56 惹かれる人の共通点は?
強い人。

 

57 夢を貫くために大切だと思うことは?
信念。

58 人生で大切にされている価値観を教えてください。
人を笑顔にすること。

 

59 好きな言葉は?
「好き」「大好き」です。

 

60 中森さんにとって幸せとは?
誰かがハッピーであること。

 

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