【クリエイト系アニメーション会社 での「おしごと」】
――そしてその後、クリエイト系アニメーション会社(以下C社)に就職されたと。
そこの社長は、経営もプロデュースも制作も全部してるんです。
けど、そうすると事務作業に人がさけないんです。
それで僕がサポートとして入ったわけなんです。
そこの事務作業は、B社でしてたこととほとんど同じなんですよね。
一日40~50通のメールを打って、その日が終わることもあります。
今日ここで会うためにしたやりとりがありますよね?
あれをずっとやってる感じです!
――ひぃぃ!なんか心臓がもたなそうです!
いやいや。仕事モードとなればそれはやれます!
でも、仕事モードで入っても「何ができるか、しなくちゃいけないか」という状況を読むのは、B社で学んだことですね。
――想像以上のTHE・事務作業ですね…
そうですね。だから、その経験がなければ今の仕事はできてないです。
もし、制作進行からプロデューサー・デスク方面、もしくは外に出て製作サイドになるんだったら、
そういうスキルは必須です。ないと仕事にならないんで。
――うぐっ!
あ、でも身構える必要はなくて!(笑)
逆なんです、それがあればできるんです!
なにかのとっかかりで、それを今のうちに取り込めたら楽ですよ。
――ちなみに、具体的なお仕事とはどんな感じでしょうか?
そうですね…例えば、海外公演があるとしましょう。
海外に行くためには、まずチケットの手配が必要ですね。
そして、むこうで何があるか、それに何が必要かを確認します。
それに、向こうで行われるプログラムがあって、そこで映像を流すことになりました。
そのために、いろんな会社に権利確認をして、OKがでたらテープにおこして送る…
みたいな作業をひたすらやってますね。
動く人に必要なことをそろえる・支える役って感じです。
――それを、できるからやっている、と…
そうですね…学生の時、あれやりたい!ってあるじゃないですか。
そうしたら、就活の場合は「あれやってみたい」って決めるのが多いですよね。
けど、僕みたいにアニメ科にいて、「あ、やっていける」って思ったからこういう仕事をしている人もいる。
そこで長くやってみえてくるものがあるんじゃないか…と思って続けてますね。
――ちなみに、どんつまることってあるんですか?
ありますよ(笑)
自分が「どんづまっちゃいました、どうしましょう」ってなると、まず会社が困る。
そうすると、「じゃあアレやって」って上に言われて「はい」ってそれをやる。
それで会社って回るんです。
だから、社長になるまでは怒られっぱなしですよ。
――何事も繰り返していくしかないと…
はい。さっき、海外公演の話しましたね?
その大筋の内容も、2回以降はやればだいたいの流れがわかりますよね。
そうしたら、次回以降は「これが必要だと思います」っていうのを提示できるようになりますし。
だいたい一回目は「超辛い」んですよ。でも二回目からは「かなり辛い」になる。
三回目くらいに「まぁ辛い」になって、四回目に「つらい」くらいになるんですよ(笑)
――じゃあやはり、そこに耐えられるかどうか…ということなんですね。
そうそうそう。
いつまでも「できない、できない」って言ってるのは、
『お前いつまで学生気分なんだ』ってなっちゃいますよね。
――当たり前ですけど、”会社で仕事をする”ということは学校とまるで別ですね。
覚えておいてほしいのは、こうやって色々絶望が並ぶんです。必ず。
でもまぁ、それは置いといて、そういいながらやっている人がいるんです。
制作進行超忙しい、演出儲からない、動画超安いっていいながらやってる人がいるんです。
やってる人がいるってことは、”できる”んです。
――なるほど、確かに。
僕なんかは直感なんですけど、絶対やりたくない仕事はできないんですよ(笑)
逆にそれがなければ、どこでも働けると思うんです。
そうした直感が、「向く・向かない」だとも思うんですよね。
【こぼれ話 2.商業アニメとクリエイトアニメーション会社の違い】
――ちなみに、所属されていたクリエイト系アニメ会社と商業アニメ会社は、どんなところに違いがありますか?
まず、まったく色が違いますね。
クリエイターっていうか、芸術家ですね。
小さい作品なら1人か2人で作って、それを企業に買ってもらうというシステムです。
何が違うかっていうと、権利とかも含めての一本当たりがすごい安いんですよ。
でも、作った人一人が食べていけない額ではないんですよ。
つまり死なないレベルなんです。
――実績とお金しか残らないんですね…なんだか切ないです。
というのも、権利を残して、それで売れてお金が儲かってしまえば働かなくなりますよ(笑)
――そうですよねーーー!!!(笑)
制作は固定給なんですよ。その月給を16万として、それを基準に考えてみましょう。
原画を一カット4000円として、一日2カットあげていくとどうなるでしょう。
休みなしで働いたら、ひと月60カットあがりますね。
そうすると、月24万くらいの稼ぎになりますから、固定給超えますでしょう。
なんだか、儲かる儲からないの話ばっかですみません(笑)
――そういわれると、出来高が定着してるのも納得です。
出来高は、やらないとお金にならないんですよね。
俺がやらないとお金にならない、ってことでやるんです。
――やらないとお金にならないというのは、大事なモチベーションなんですよね。
【最後に】
――では、学生時代にやっておくべきことはなんですか?
すごい大きい話になっちゃうんですけど、
自分が今まで生きてきた中で、どういうものが大切かってことをしっかり知っておく必要があると思います。
例えば、仕事をして遅く帰ってくることが嫌なら、自分が早く帰ることに価値をおく。
そうすれば、仕事の仕方って変わってくると思うんです。
それを考える時間がたくさんあるはずなので、それをしてほしいです。
――じゃぁ、大学中に見つけられればめっけもんってことですか?
2~3個くらいね。それが武器にもなりますし、防具にもなる。
――では次に、志望者へのアドバイスをお願いします!
とにかく応募してください!!それだけです!(笑)
アニメーターの場合は、絵をかくしかない、これしかないってくらいじゃないと続けられないと思います。
『一日20枚・30枚動画を描きました、お疲れ様でした』を年単位で繰り返すんですよ。
だから、絵を描くのが苦痛って思わない人がいいと思いますね。
制作は、少なくともメールを打つスキルと、電話をするスキルと車の運転。
できそうでしょ?(笑)続けられるかどうかは別です!できます!
――では、最後に学生に向けてのメッセージをお願いします。
僕は、夢のあることが…すごい言えなくて(苦笑)
青天井で言っても、がっかりするんですよね。
自分の思い描いていたこととは、絶対違うんです。
だから、入ってからも“考えて”くださいとしかいえないですよね。
あとは、これやんなきゃってことは全部やる。
そうすれば、ほかの企業に比べたら、業界に入ることは難しくないですよ。
――大学の間に身を磨いておけと。
まぁ、働き始めたらみえてくるもの変わりますから。
入ってすぐに、思い描いていたものを100%できるかってのは絶対無理なんです。
そこからどうにかしてできるようになるためには、どうするか…っていったら、
会社に入っても考えることはやめちゃいけないんですよね。
「会社入ってヤッター!」じゃ、ダメですよ。
――ありがとうございました!