松井秀喜元選手といえば1992年の夏の甲子園、5打席敬遠が思い出されます。
そしてプロに入ってからも、1996年には山崎武司さんとの本塁打王争いのなか、4打席敬遠されました。

長距離打者だった松井さんを話題にするとき、敬遠は避けては通れないものといえるでしょう。
ところがそんな松井さんが実は敬遠の少ない打者だったと知ったら意外性に驚くかも知れません。でもこれは事実なのです。

図は本塁打上位選手の通算敬遠数を並べたものです。メジャーへ行った選手は本塁打も敬遠も日本とメジャーの合算しています。

 

図:歴代長距離打者と敬遠の数

 

松井さんは本塁打数こそ507本で史上7位になりますが、敬遠は81個にとどまります。同レベルのホームラン打者と比較しても少ないことが分かるでしょう。
枠外にはホームラン打者でない敬遠の多い打者をあげましたが捕手が多いです。次が投手というケースでしょう。松井さんは達川元捕手(本塁打51本で敬遠88)よりも敬遠が少ないのです。

なぜでしょう? 
メジャーに行っていた期間は中距離打者のレベルだったので敬遠されないから?

いやそれも違いますね。なぜなら通算234本塁打のイチロー選手ですが敬遠が非常に多い。なんとメジャーで180回も敬遠されています。これはメジャーで歴代25位、日本との合算ではなんと王さんに次ぐ敬遠王なのです。
イチロー選手は1番や3番をまかされることが多く、後ろの打者も強力です。それでも敬遠されるということは、彼の安打力が相手投手に恐れられていたということです。

日本球界を見慣れた目では敬遠とはホームラン打者がされるものというイメージが強いのですがメジャーでは勝つためなら長距離打者だろうが安打製造器だろうがおかまいなしに敬遠するということです。

さて松井さんが敬遠が少ない理由に後ろの打者が強力だったからという仮説はどうでしょう? 松井さんの後ろを打つことが多かったのは清原元選手です。ですが清原さんは松井さんよりも敬遠が少ない。
う~ん、これは理由がよく分かりませんね。

とにかく、話題となる場面で敬遠が多かった松井秀喜元選手は、そのほかの場面では敬遠されることは少なかったということが確かにいえるのです。
(17.7.1コロりん記)

フリーアナウンサーの小林麻央さんが死去しましたが、NHKのニュースまでトップで報道していたのは驚きでした。あのNHKが芸能人の訃報をトップに持ってくるというのは聞いたことがなかったからです。

そんな麻央さんの死因は乳がん。なんでも乳がんは増え続けており、しかも40~50代の若い層に死亡が多いがんだということでした。

「それホントなの?」

乳がんの知識など皆無に近いコロりんはまずそこから意外でした。がんは高齢者の病気というイメージが強かったからです。

そこで各がんの死亡率をグラフ化したサイトが見つかったのでここに紹介します(図1)。

 

図1:乳がん年代別罹患率


うん、なるほど。確かに乳がんは中年層でピークを迎えています。ところが…。
実はこのグラフ、年齢調整していないのです。つまり人口数の減っていく高齢者は当然死者の絶対数も減ることを考慮していないわけです。
そこで年齢調整した乳がんの死亡率を比較したのがこれ(図2)。

 

図2:乳がん年代別罹患率(年齢調整)


確かに40~50代あたりで階段状に上がってはいますが、最も高いのは85歳以上の超高齢層です。やはり当初のイメージ通り、高齢者ほど乳がんも死亡率は上がっていくというのが正解のようです。

では「乳がんは増えている」というのはどうでしょうか?
これはグラフがすでにネタバレしているため(笑)、結論をいきなり言いますと「増加しているという傾向はつかめない」ということになります(図3)。

 

図3:乳がん時系列罹患・死亡


粗死亡率(年齢調整していない死亡率)は上がっていますが、これは先に述べた通り高齢化によるもので、年齢調整した死亡率はほとんど横這いのまま増えても減ってもいません。

ところが罹患率のほうはどうでしょうか? 粗罹患率のみならず年齢調整罹患率も上昇しています。乳がんは確かに増えていました。でも死亡率は上がっていない。少なくともここ20年ほどはこれが言えます。
ここから導ける結論は、がん検診の際に問題視される「過剰診断」です。

つまり約半数(理論的にはあるいはそれ以上)の乳がんは、放置しておいても命にかかわることはないものだと考えるほうが妥当なのです。
もちろん「乳がんは増えていて、治療できる数も常にちょうど同じ比率だけ増えているのでそう見える」と強弁するのも可能です。ですが統計的にはそれは証明できません。

小林麻央さんの乳がん死は衝撃の大きな事柄でした。ですが、これをもって感情的に「乳がんは増えている、乳がんは若い人が罹る」と叫ぶのも、それってどうなのかなあと思わせるものではありました。

図引用元:
http://jbcs.xsrv.jp/guidline/wp-content/uploads/2015/07/P3_図1.png
http://jbcs.xsrv.jp/guidline/wp-content/uploads/2015/07/P3_図2.png
(17.6.25コロりん記)

レインリリー2016年1月30日「沖縄本島に史上初の雪」断定は間違いで測候所が無人化され、機械観測になってからみぞれが増えているということを書きました。
その時は漠然と「みぞれがやけに多いなあ」というものでしたが、今回、無人の特別地域観測所の伊良湖の自動観測を調べたらとてつもない実態が分かりました。

伊良湖測候所は1997年を最後に無人化され、98年から自動観測に変わっています。その流れを見たのです。
みぞれの日数という統計はないので、ホームページ上で一日一日確認しながらカウントしていきます(あーめんどくさかった…)。

その結果が下です。

図1:伊良湖のみぞれ日数の変遷

な、なんだこの変化は!?
まず有人観測から無人観測に変わっただけではみぞれ日数は変わっていません。有人期間が1.5日/年で、98~2011年までが1.6日/年です。

ところが2012年に大変動が起きます。
この年からの平均は22.5日/年にまでなっています。そこで名古屋のみぞれ日数も調べてみることにします。これも一日一日確認しながら…(あーめんどいなったらめんどいな)

図2:名古屋のみぞれ日数の変遷

とまあこのように当然のことながら人間が観測する名古屋では増えも減りもしていません。

ということは自動観測の機械のクセが出ていることになります。おそらくこの2012年から天気を判別するアルゴリズムが変わったのです。

これがなんの変化かは分かりませんが、日数で比較する限り、2012年の機械(もしくは天気判別手法)の改変は改悪であったとしかいえないと思えます。
(17.6.16コロりん記)

アメリカで発祥したセイバーメトリクスという統計学を野球に取り込んだ戦略理論では、盗塁は送りバントとともに得点力の低い作戦とされています。

というのも盗塁は失敗した時に大きく機会を後退させてしまうからです。そのため盗塁が価値を持つためには成功率75%が必要といいます。
ではセイバーメトリクスで「効果あり」とされる成功率75%のラインを引いてみました。対象は昨年2016年に10個以上の盗塁をした選手に限りました。

 


図:NPBの盗塁成功率と成功数(10盗塁以上)

カープの田中選手、セ・リーグ2位の盗塁数ですが、もっと精進せねば。
それにしても今年は不振の山田選手、やっぱトリプルスリーすごいですねえ。成功率.938で30盗塁(盗塁王)、こりゃ文句なしでセイバーメトリクス判別でアッパレです。

中には成功率100%という選手もいます。
先日2,000本安打を達成した荒木選手、13回盗塁敢行、成功率100%です。これもまたアッパレな数字。39歳という年齢を感じさせません。

パでは糸井選手と金子選手、ふたりとも成功数も成功率も同じ!
成功率は.757でセイバーメトリクスの基準をなんとかクリア。

でもまあこうして見てみると、セイバーメトリクスで基準となるラインを半分以上の選手がクリアしています。
「これなら盗塁は有効といえるのでは?」
いやいやそう簡単には言えません。

今回は「10盗塁」以上という、元より足に自信がある選手を集めて比較したからで、全選手を対象にするとセイバーメトリクスを黙らせるほどの成功率にはならないのです。

選手の皆さんは効率的に盗塁を決めて、セイバーメトリクスを見返してやろうじゃないですか。
(16.6.8コロりん記)

長らく更新が止まってしまいました。
下手にブログ立ち上げても、ネタがないとこういうことになります。

さて今回は映画の話題です。
5月22日から28日までの全米の映画成績を日本に持ってきたらどうなるか? ということを比較します。数字はTSP映画サイトから。

表1:全米映画成績(2017年5月22日~28日)

1位の「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」は6,217.9万ドルです。さすがにディズニー、ケタがひとつ違いますね。
これを日本にそのまま持ってきたらどれくらいの市場になるのでしょうか?

まず換算として人口比を考えねばなりません。2016年の日本の人口はアメリカの4割ほどです。子どもの頃は日本はアメリカの半分といわれたものですが、アメリカの人口は日本と違って増え続けています。

そして映画館の入場料ですが、これが比較が難しい。というのも一般の入場料は日本の場合1,800円なのですが、子ども・学生料金もありますし、前売り券は割安になっています。
これらを平均すると1,310円だそうですので、これを採用します。一方アメリカはあちらさんの試算ですが6.4ドルが平均になるそうです。
(なんでもアメリカでは、映画入場料が10ドルになったら暴動が起きるレベルだそうです。日本の値段なら映画館は焼き討ちにあっているんでしょうか?)

そして5月30日現在のドルレートが111円ですのでこれを採用。ここから「もしアメリカ映画が日本で公開されたらどんな数字になるか?」を推定してみます。

表2:5月4週の映画成績を日本に補正

なんと「パイレーツ…」は日本に補正してでも初週50億円以上!
通算の数字では「美女と野獣」は日本最大ヒットの「千と千尋の神隠し」を大きく上回っています。

これは映画料金が安いから客が入るのか、客が入るから単価を安くできるのか、どちらが真かは分かりませんが、少なくともアメリカでの映画の観客動員力はすごいということははっきりしました。
(17.5.30コロりん記)