*当シリーズの趣旨については、プロフィールを参照してください。

 

時には原著の記述内容を疑え。史学上の知識を動員して内容を検証せよ。

 

H・P・ウィルモット『大いなる聖戦・第二次世界大戦全史』(国書刊行会)

の訳出過程での誤訳検証を続ける。

 

今回は原文に続けて監訳者の訳を初めに提示する。文脈は、ソロモン群島を北上してきた米軍の前にラバウルを根拠地とする日本の陸海軍、取り分け海軍が劣勢に追い込まれていった状況を記述したものである。:

 

The latter operations in the northern Solomons brought the Americans within range of fighter aircraft from Rabaul and prompted the Combined Fleet to commit heavy cruiser forces and air groups from its three first-line carriers to the defence of Rabaul, . . .

 

監訳者の修正訳(初校):これら一連の作戦の後半部分はソロモン北部で展開されたもので、米軍の進出地域がラバウルからの日本軍戦闘機の航続距離内に収まるほどになってきたのを受け、日本の連合艦隊は重巡を基幹とする戦隊と一線級空母三隻の航空兵力をラバウルに投入する・・・

 

問:

①監訳者の訳文の中で明らかに歴史的事実に照らして明らかにおかしな箇所を指摘せよ。

②そのおかしな訳文の原因となったと思われる原文の対応部分を指摘せよ。

③この部分はどのように修正すれば歴史的事実と整合する内容となるか?

 

冒頭で言ったように、今回は原文に誤りがあったと推測される事案である。