ウィルモット『大いなる聖戦・第二次世界大戦全史』の訳出過程に見る見出しの誤訳事例を更に検証する。

 

以下の見出しはどのように訳したら良いであろうか?

 

Recast Japanese Plans

 

これだけでは、何を意味するのかは全く分からないが、第二次大戦についてであるというヒントがあれば、日本の作戦計画についてであることは容易に想像が付くであろう。

 

更なるヒントとして、例によって原文からキーとなるいくつかの文章を抜粋する:

 

. . . with Japanese arms successful throughout southeast Asia, the attention of the Japanese high command had turned to the question of how the war was to be continued once the initial phase of conquest was complete.

 

These two developments had the effect of convincing the Japanese naval command of the need for offensive action in order to bring American carrier forces to battle, where they would be destroyed, and to compel the United States to come to terms despite her declared intentions.注:two developmentsは、①米国を始めとする連合国が枢軸陣営に対する全面的な勝利を収めるまでは矛を収めないとの宣言を1942年初頭に発したこと、②同年二月と三月に米空母艦隊がマーシャル諸島などに空襲をおこなったことを指す)

 

いつもの通り、一つの決まった正解はなく、小生自身の訳は示さないでおくが、今回は今一つのヒントとして監訳者の訳を提示しておく。

 

監訳者は小生の当初の訳を全く無視して、これを

 

日本の作戦計画再考

 

としていた。

 

これは適訳と言えるであろうか?

 

最後にもう一つのヒントとして、recastなる単語の意味、そして文法上の役割について考えるべきことを言っておく。