信じていた人が、人を傷つけ裏切り、人として罰を受けなければならない行いをしていたと知った時、自分はどうするのだろう。

尊敬してやまない彼が
絶対に許されないことをしていた



大切な人に、彼を信じるのはやめてくれと頼まれた。
恋愛感情の介入しないこの関係で、一体何事かと尋ねた。

胸が痛い
溶け出すことのない鉛が胃に溜まっているようだ



悔しいが、過去に憎しみさえ抱いた人々と同じ立場に立たされ、彼らの気持ちを理解した。

被害者の言葉だけを鵜呑みにはできない
彼を信じることにした



何か事情があったに違いない
きっと彼なりの理由があったのだ

私にとっては彼の生き様すべてが手本だった。
尊敬し憧れ、一生ついて行くと決めた。
いつの時も彼は、誠実だった。



思わぬ警告に一瞬惑わされたけれど、
今更自分の中に確立された存在を消すことや修正することなどできそうもない。ましてや、他人の意見で人に対する見解を変えるなど、私のルールに反する行為。そんなことは絶対にできない。
人の評価を変える時は、自分で見たもの感じたものが全て。

本当はどうしたらいいのか散々迷った。
警告をしてきた人の真剣な思いも解っているからこそ。
だけど、天秤にかけたわけではないが、会ったことも無い被害者の人伝の言葉なんかより、自分が通ってきた際どく危険だった瞬間とに考えを馳せた時、答えは出た。

彼が信じられる人間に値するかどうかではない
自分自身が彼を信じたいかどうかだと



そのうちに裏切られるのかもしれない
別にそれでもいい

彼の誠実さを、私はきっと誰よりも知っていて見てきたのだろう。

世界中の誰もが彼を後ろ指さしたとしても
私だけは最期まで信じたい

彼が孤独だということも、知っているから。