「生命は」吉野弘

生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

私も  あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも  あるとき
私のための風だったかもしれない
電力が足りないのに
ナイターなんか
何でするんだろう?

今はお金儲けより
電力じゃないのかなぁ?
阪神大震災の時は
助けて貰って
ありがとなぁ。

あの頃は
まだまだ子供やった。

水を汲みに行くこともなく
集団で避難することもなく

親の手伝いもせずに
おかんと妹を残し

おかん、
ちょっと
遊びに行って来るわ。

ひとこと言い残し
友達の親戚の家で
数ヶ月間居候させて貰った。

そんな罪悪感からか
今日3万円募金してん。


生きてることは
奇跡なんやろなぁ