秋吉理香子さんの『聖母』を読みました。

 

 


河川敷で4歳の男の子の死体が発見された。
男の子は性器を切り取られ、死後に暴行された形跡が残されていた。
一方、不妊治療の末、ようやく娘を授かった主婦・保奈美は、夜の町を歩く不審な男性・蓼科秀樹を発見して110番通報する。
蓼科には性的暴行事件で前科があったが、事件当時のアリバイがあり、捜査の対象から外される。
蓼科が逮捕されないことに業を煮やした保奈美は、自ら蓼科が犯人である証拠を探しはじめる。



読み終わった瞬間、茫然自失。
息をするのも忘れるくらいの衝撃。

物語の序盤から、高校生の真琴が犯人であることが示されているのですが、男の子とも女の子ともとれる名前で、性別が明らかにされないまま物語が進んでいきます。
真琴の性別が、決定的な何かを意味しているのではないのですが、どこか落ち着かない気分で読み進めることになります。

不可思議なことが起きているのには気づきながらも、それが何を意味しているのかまったくわからないまま終盤になだれ込んでいきます。
真琴の性別がわかったところから、氷解がスタート。
すべてが繋がったとき、感動を通り越して、放心。
人間って、心底驚いたときは本当に口が開きっぱなしになるんだなって思いました。

これだけ見事に欺かれて、本当に齟齬がなかったのかと、数ヵ所再確認しましたが、非常に上手く書かれていました。

最後の部分は、少し強引かな?とも思いましたが、そこはこの物語の本質ではないということで。

不妊治療の話など、辛い話題もありますが、読み終わったあとに、『聖母』というタイトルを再確認すること間違いなし。
オススメ!に追加させていただきます。

 

 

 

 

 


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