近所を歩いていると声が聞こえてきました。
「もうええ加減にしてほしいなあ。二回目は勘弁してほしいわ」
声は道の横に生えている小さなイチジクの方から聞こえてきました。
近づいてみると、大きな傷があるイチジクがたくさん・・・。
「えらい傷だらけですね。」と声をかけました。
イチジクさん「この間の台風の時にやられました。葉が一度こすれただけなんですけど・・・・。成長と同時に傷も大きく。」
「えらい災難でしたね。でも、また明日ぐらいに次の台風が近づいているみたいですよ。」
イチジクさん「そうなんですよね。二回も直撃コースに入るなんてねえ。」
「今度、また、傷がついたらどうなるんですか。」
イチジクさん「そうですね。傷まみれになるんではないでしょうか。」
「そうなると・・・・・。」
イチジクさん「そんなに心配していません。イチジクは皮をむいて食べるので、実際にはあまり関係がないんですよね。見かけ以外はね。」
「意外と大丈夫なんですね。」
イチジクさん「売り物のイチジクではないので風はまだ何とかね。雨のほうが
大変なんですよね。柔らかくなって皮も剥きにくくなって、すぐに傷んで。」
「でも、イチジクさんて昔から、収穫時期は台風の時期にまるかぶりですよね。」
イチジクさん「そう・・・昔からね。でも、祈るしかないです。」