周知の変名に当たらないとして著作者の推定を認めなかった事例
▶令和3年2月8日東京地方裁判所[令和2(ワ)19976]
(イ) なお,原告は,本件著作物の第1話の画像に「H」と記載されていることを根拠に,「筆名」が表示されているとして,著作権法14条により,原告が本件著作物の著作者と推定されるとも主張する。
しかしながら,同条により著作物の著作者であると推定されるためには,表示された筆名その他の変名が「周知のもの」であることを要するところ,本件著作物が前記ウェブサイトの格闘技漫画部門で「ベストセラー1位」を獲得したことを考慮しても,「H」という筆名自体が有名であることは格別,さらに進んで,「H」という筆名が原告本人の呼称であることが一般人に明らかであるとまでは認められない。
よって,「H」という筆名が「周知のもの」であるとまでは認められず,その他,これを認めるに足りる証拠はない。そうすると,本件著作物に「H」と記載されている事実から,本件著作物の著作者が原告であるとは推定されないというべきである。
もっとも,前記(ア)で説示したとおり,陳述書の記載は信用できるから,同条の推定によるまでもなく,これにより原告が本件著作物の著作者であると認められることとなる。
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