食材棚にずっと置かれている一平ちゃんの食べるタイミングがわからない。








買ったきっかけは、緊急事態宣言中に行ったオンライン飲みのとき。








お酒を飲んでいい気分になっている中、先輩がおもむろにキッチンから一平ちゃんを持ってきて、






ズズズーーーーーっ






と豪快に啜ったのがあまりにも美味しそうで、翌日にはスーパーで一平ちゃんを買ってしまっていた。







ここぞというときに、先輩みたいに美味しく堪能できるタイミングで食べてやろう。








そう思って食材棚に仕舞い込んだ。








しかし、なかなか「ここぞ」というタイミングはやってこない。







基本的に家ではあまりカップ麺を食べる習慣がなく、また夜ご飯をカップ麺で済ませてしまうことにはなんとなく罪悪感がある。








そして、何よりあの先輩の美味しそうな姿。







せっかく買ったんだから、普通の日に食べるんじゃダメだ。









何回か「食べようかな?」と思うタイミングはあったものの、「今はあんなに美味しそうには食べられない、食べた後きっと後悔する」と先送りにしていっていた。









そうのうち、気づいたら5ヶ月が経っていた。








そんなある日の夜。






晩ご飯を食べたにもかかわらず、小腹が減ってしまった。





きっと生理で食欲が増してしまってるせいだろう。






そう思ったとき、ふと一平ちゃんが頭をよぎる。






今食べて美味しいのかな。







いや、小腹程度の容量でそんな美味しく味わえるわけがない。






そのとき、昼に見た東京タラレバ娘のドラマを思い出す。






8年前、ダサいという理由で相手を振ったことのある主人公。





もっといい人がいるはずだから!






私はこんなもんじゃない!






もっとぴったりくる出会いがあるはず!







そうやってせっかくきたチャンスを流して結局後悔するハメになる。










なんだか、それって私の人生と似てるんじゃないのかなぁ。







へんにプライドが高くて、大した経験値もないのに一発で当てようとする。






要するに失敗するのが怖いんだ。









恋愛だって、(自分で言うのもヘンだが)26歳にもなって米粒ほどの経験しかないし、今になって何をどうしたらいいのかわからない。






仕事だって、営業になったのに得意先とのやりとりが億劫で失敗するのが怖くてずっと内勤ばかりしている。








私の人生、一平ちゃんの一つも食べられずに一生グズグズしているんだ。








なんてつまらない人生。





そりゃ死にたくもなるよね。











でも。






もし今この一平ちゃんを食べることができたなら、私の中の何かがかわるかもしれないのでは…?








でも、小腹しか空いてないのに後悔しない…?








まあ、そのときはもっと美味しく食べれるときに新しいの買ったらいっか。







そんなごく当たり前のことを思い、お湯を沸かす。





ソースを混ぜて、からしマヨネーズをしっかりかけて、いざ実食。






久しぶりに食べる一平ちゃんは、たしかに美味しい。





しかし、半分もいかないところですでにお腹が満たされていることに気がつく。






それでも最後まで食べる。







しっかり後悔の気持ちが残る。






それでも。








まあいっか、次また美味しく食べれるときを探してみよう。






そう思えた私は少し成長できたのかもしれない。





ありがとう、タラレバ娘。






ありがとう、一平ちゃん。