飛行機に乗り遅れまいと空港を急いでいるとき、私たちはついパスポートやスマートフォンの画面ばかりに目を奪われがちです。けれど、ほんの一瞬だけ立ち止まって、ただ頭上を見上げてみてください。そこには、いつもと全く違う世界が広がっています。

香港国際空港の高くそびえる天井をカメラに収めたとき、私は自分がなぜ「都市写真」をこれほどまでに愛しているのかを、改めて思い知らされました。この視点から見上げる、屋根構造の壮大で緩やかな波打つ起伏は、まるで映画のワンシーンのように美しい、繰り返されるリズム(幾何学的な旋律)を生み出しています。頭上の柔らかな光を切り裂くように交差する金属製梁の、無機質でクリーンな幾何学ライン。それが、完璧なハイライトと深い影のコントラストを描き出しているのです。

ここは、人々がただ「通過する」ためだけに作られた場所かもしれません。それでも、私たちの旅の背景となるこの建築には、圧倒的で、静かに佇む記念碑的な美しさが宿っています。

次にここを通り過ぎるときは、周囲を見渡すことを忘れないでください。見慣れたはずの景色が、あなたをそっと驚かせてくれるはずですから。