誕生日物語 (加筆修正)
外はシンシンと雪が降っている
降り出して三日目の雪は家の周りを真っ白に変えてしまっている
時折、ドスンと屋根から滑り落ちる雪の音が聞こえるだけで
まったくの静寂だ
「パパ・・・。やっぱり誰も来ないね・・・。」
女の子がテーブルの上のチキンを眺めながらつぶやく
「あ~あ・・・。一人だけの誕生日になっちゃった・・・。はあ~」
「仕方ないよ こんな大雪だしね みんな来たくても来れないんだよ
無理して事故にあったりしたらね・・・。雪がやんだらプレゼント持って
来てくれるさ」
その時、玄関のドアの方から小さな音が聞こえた
「コンコン・・・。コンコン!」
顔を見合わせるふたり
「誰か来てくれた!」と言うなり椅子から飛び降り走り出す女の子
後ろから
「木の枝かなんかが当たった音じゃないかい?」と声をかける父親
「ガチャ」内鍵を回しドアを外に開ける音に続き女の子の声
「え?誰?」
「コンバンハ・・・。」「コンバンハ・・・。」
女の子の目の前には真っ黄色の髪の毛をした小さな姉弟が裸足で立っていた
その子達の後ろには白い雪の上に小さな足跡だけがくっきりと見えていた
雪の中ずっと歩いて来たようだ
「パパ~!パパ~!とっても小さなお客さん!」
女の子は家の中に向かって大きな声で言った
姉弟はとっても小さかった
黄色い頭には白い雪が降りつもり腕や肩も白くなってた
姉が弟の小さな手をしっかりと握りしめている
時折 姉の口元に手を引き寄せ息を吐きかけて温めてあげている
それにしても裸足とは・・・。
女の子は二人を驚きと混乱で見開いた大きな目で見つめながら
「そこは寒いから中に入って・・・。」と中に入るように促しながら
二人の手を引いて玄関内に引き入れた
「ナニカタベルモノ ナイデスカ?」と姉が小さな声で言った
どうやら二人はお腹を空かしているようだ
女の子の背後から父親がバスタオルとお湯の入った洗面器を抱えて現れた
「やあ いらっしゃい 外は寒かったでしょう これで頭の上の雪を落として
冷たくなってしまった足とか温めて一緒にご飯を食べましよう・・・。」
まるで真夏の様に暖かい部屋に通されてチキンが置かれたテーブルの前で
固まるふたり・・・。
黄色い頭の上に有った雪は白い蒸気となって天井付近を舞っている
裸足だった足には真っ赤な靴下とボワッとした毛で覆われた小さなスリッパが・・・。
勿論、椅子に座って届くはずもないから台を置いてその上に立っているのだ
「ミルクを温めて来たからね 火傷しないようにゆっくり飲んでね」
小さな器をこれまた小さな手で抱えゴクリと飲む弟・・・。
「ギョホホゥホゥ△○◇。・・。」むせかえる弟
「慌てて飲まなくてもいいんだよ」娘がふたりに声をかける
頷きながらも尚も飲み続ける弟
「ほら チキンも食べて」
と父親が娘の誕生日パーティーに用意してたチキンを少し小さめに引き裂いて
小皿に乗せて差し出した
一瞬戸惑うようにお互いの顔を見つめあった姉弟だったが
同時にチキンをがしっと手づかみすると一心不乱に食べ始めた
その小さな手も口の周りもチキンの油でてかてかに光らせながら
何度も何度もお代わりをした
横から見ると下腹がぽっこりと盛り上がる程に食べたふたり
そのうちに弟が暖かさと満腹感で眠くなったのかふらふらと
頭を振り出した
ガクッと落ちそうになりながらも両手に掴んだチキンは離そうとしない
この間、親子はずっと小さなお客さんを眺めていた
父も娘も少しだけ疑問が有ったけど まあ別にそれはどうでも良いと思っていた
誰も来れない大雪の日の誕生会
突然訪れた珍客二人をもてなしていた二人に
「アリガトウ・・・。」って姉が言った
「今日は娘の誕生日だったのに この大雪で誰も来れなくてね
用意したご馳走もケーキも無駄になるところだったんだよ
あなた達が来てくれて娘も喜んでるからね お礼なんていいよ」
と 父親が答えた
「タンジョウビ ッテ ナンデスカ?」
姉が小首を傾げるようにして聞き返して来た
「それは~ あたしの生まれた日で~す!!!とっても目出度い日なの♪」
「タンジョウビ ッテ タベレルノ?」って 今まで眠りこけてた弟が突然大きな声で言った
「あはは 食べ物じゃあないよ みんなが誰でも持っている記念日だよ
あなたもお姉さんも在るんだよ」
「エエ~ ボクノタンジョウビ ッテ イツ?」
「???」二人して首を傾げる
「あなたの生まれた日は?覚えて無いの?お母さんやお父さんが教えてくれなかった?」
「オトウサンシラナイ・・・。オカアサン・・・キノウカラウゴカナクナッタ・・・。」
「ボクガウマレタノハ マダアタタカイトキダッタ・・・。」
「そうかあ 誕生日を知らないんだね じゃあ今日を誕生日にしよう!」
「私の誕生日と同じ日ね お姉ちゃんも弟も私と同じィ~♪」
「ハッピーバースデー♪ハッピバースデー♪♪🎶」
歌いながら父親が持ってきたのはバースデーケーキ
目を 目一杯見開いて固まる小さな男の子
口元からは大量の涎が・・・。(笑)
「誕生日にはクリームケーキを♬🎶食べるのだよぉ~♪」
「誕生日にはイチゴのケーキを♬🎶食べるのだよぉ~♪」
「誕生日には苺のたくさん入ったケーキを♬🎶食べるのだよぉ~♪」
少し調子っぱずれな自作の歌を歌いながら切り分ける父親
釣られて歌う弟
「タベルノダオ~♪」 「タベルノダオ~♪」 「タベルノダオ~♪」
顔中クリームだらけにしてケーキと格闘する二人
皿の底に付いたクリームをぺろぺろ舐める二人
さっきよりも一段と膨らんだお腹・・・。もうパンクしそうだった
リビングに移った娘と二人は暖炉の前のソファーに寝そべり誕生日プレゼントで
ゲットしたゲームを仲良くプレイしている
今夜の誕生会の後で友達と遊ぶ予定だったゲームだ
娘がゲームの仕方をあれこれ教えているが弟は睡魔に勝てず娘の脇の下に
頭を突っ込み寝てしまった
姉は小さな手でコントローラーを巧みに操り娘と互角に渡り合っている
「パパ~この子上手~!私負けそう~」
父親はそんな3人を微笑ましく見つめながら記念写真と動画を録った
写真を撮りながら液晶画面に二人が別の姿で映ってるんじゃないかと
思ったが 目の前のそれがそのまま反映されていた
ちょっと期待してた父親だったが これはこれで貴重な映像だなと思った
暫くして娘達に言った
「もう 晩いから二人とも泊まって行きなさいね ベッドは隣に用意したから」
「え~ まだいいでしょ~?あとちょっとだけ~o(〃^▽^〃)o」
ソファーの方に目をやると 娘にぴったりと寄り添って静かに寝息を立ててる二人がいた
それぞれを娘の部屋のベッドに移動して寝かせる父親
本棚に置かれていた娘のお気に入りの人形が2体靴下を脱がされているwww
娘のベッドの横に設えた小さなベッドで丸くなって眠るふたり
リビングに戻った父親は 改めて今夜の事を思い返していた
「さ~て あの子達は一体何者なんだか?危害は無いみたいだけど
不思議だな もしかしてエイリアン?それとも妖精か何かかな?」
「母親を亡くしてふさぎ込んでたあの子を元気付けようとして 誕生会を
準備したのだけど、この雪で誰も来れないなんて、後悔してたんだ・・・。」
「二人とも髪の毛真っ黄色って思ってたけど なんか白い部分が首の後ろ側に向かって
有るなあ~あれってどっかで見た気がする。」
父親は記憶の断片をジグソーパズルを組み立てるようにして
思いの型に当てはめていた
窓の外を覗いてみた
雪はいつの間にか降るのをやめていた
闇の中だというのに白い世界はシンと静まり返り怪しく光っていた
「なんとも幻想的だな。今夜の事は誰に話しても信じてもらえないだろうな」
その時、ドアが静かに開いた
「あ。」
振り向くとそこには 隙間からこちらを覗う姉の姿があった
「どうしたの?目が覚めちゃった?」
「キョウワアリガトウ。メイワクジャナカッタ?」
「ああ!迷惑なんてとんでもない 娘も喜んでたし いつでもおいで」
「ホント・・・ウレシイ♪」
「あ そうだ・・・。ひとつだけ聞いてもいいかな?」
父親は姉弟に会ってからずっと気になってた事を思い切って聞いてみることにした
黙って父親を見つめる姉に続けて言った
「この家を知ってたの?」
姉はこくん頷くと言った
「マエニ オカアサント キタヨ オトウトモイッショダッタ」
父親はその刹那、思い出した
「ああ・・・。あの時の・・・。」
娘の母親は夏に他界していた
この家に越してきたのは治療を止めて娘と少しでも長く暮らしたいという願いからだった
娘は母親の余命が少ない事は知らされていなかった
自然の多いこの地で暮らしていけば又元の元気なママに戻ると信じていた
だから 仲の良い友達と離れることも納得してやって来てた
そんなある日 学校から戻ると両親が何かを見ながら騒いでいた
「パパ!このフェレットどこの子かしら?」
「うーん??フェレットってこんな感じだったか?その黄色い毛並って
もしかして染めてるのかな?お洒落だなあ(笑)」
娘は好奇心で両親の前方に割り込んで行った。そして生まれて初めてそれと対面していた
「あれ?パパ、ママ・・・。これきっと違うと思う・・・。こんな黄色いのってフェレットにいない・・・。」
「ああ!!。それは 貂(テン) じゃよ。別に、なんも悪さはせんぞ(笑)
賑やかな家族を見学に裏山から一家総出で来なたんじゃろうて はははは・・・。」
背後から野太い声がした 近所に住むお爺さんだった
そういえば3匹のそれらは家族らしき形態だった
「あらあテンさん一家ですか ご近所付き合いよろしくお願いしますね。」
そう言うと母親はテンに向かって深々とお辞儀をした
「もぉ~ママったらあ 動物に話しかけても判るはずないじゃん(笑)」
「ええ そんな事無いとママは思うわよ ほら うんうんって頷いてるわ」
慌ててテンの方を覗きこむ父娘・・・。
「そう見ればそう見えなくも無いですけどねwww」
笑いながら立ち上がる父親の後について歩き出す娘をよそに尚もテンに向かって話す母親
「何かあったらいつでもお出でなさいね 私達に出来ることがあったら何でもやってあげるから
それでもし・・・。」
最後の方は少し早口だったので聞き取れなかったが大した事は言ってないと思った
そうか あの時の貂かあ・・・
そう言えば確かテンに向かってあれこれ言ってたなあ なんて言ってたかな?
そうだ思い出した
「困った事があったら何でも言ってお出でみたいな事を真顔で言ってたな・・・。」
「出来るだけの事はしてあげるからとか それからその先・・・何か言ってけど
聞き取れなかったな 何て言ってたんだろう?」
父親は必死に思い出そうとしたが思い出せなかった
父親は姉を振り返り言った
「もし良かったらこの家で一緒に暮さないかい?」
姉は首を左右に振りながら
「ソレハデキナイデス・・・。」と言った
意外な返答に少し困惑しながら
「どうしてなの?ちょっと急な提案だったかな?じゃあこの冬の間だけでも・・・。」
そう言って姉を見つめると
姉は悲しそうな表情を浮かべながら黙っていた
中間書き(ウィキペディア参照)
伝承
妖怪
※三重県伊賀地方では「狐七化け、狸八化け、貂九化け」といい、
テンはキツネやタヌキを上回る変化能力を持つという伝承がある。
との事で この物語のテン母にはその力が有るのかも(笑)
降り出して三日目の雪は家の周りを真っ白に変えてしまっている
時折、ドスンと屋根から滑り落ちる雪の音が聞こえるだけで
まったくの静寂だ
「パパ・・・。やっぱり誰も来ないね・・・。」
女の子がテーブルの上のチキンを眺めながらつぶやく
「あ~あ・・・。一人だけの誕生日になっちゃった・・・。はあ~」
「仕方ないよ こんな大雪だしね みんな来たくても来れないんだよ
無理して事故にあったりしたらね・・・。雪がやんだらプレゼント持って
来てくれるさ」
その時、玄関のドアの方から小さな音が聞こえた
「コンコン・・・。コンコン!」
顔を見合わせるふたり
「誰か来てくれた!」と言うなり椅子から飛び降り走り出す女の子
後ろから
「木の枝かなんかが当たった音じゃないかい?」と声をかける父親
「ガチャ」内鍵を回しドアを外に開ける音に続き女の子の声
「え?誰?」
「コンバンハ・・・。」「コンバンハ・・・。」
女の子の目の前には真っ黄色の髪の毛をした小さな姉弟が裸足で立っていた
その子達の後ろには白い雪の上に小さな足跡だけがくっきりと見えていた
雪の中ずっと歩いて来たようだ
「パパ~!パパ~!とっても小さなお客さん!」
女の子は家の中に向かって大きな声で言った
姉弟はとっても小さかった
黄色い頭には白い雪が降りつもり腕や肩も白くなってた
姉が弟の小さな手をしっかりと握りしめている
時折 姉の口元に手を引き寄せ息を吐きかけて温めてあげている
それにしても裸足とは・・・。
女の子は二人を驚きと混乱で見開いた大きな目で見つめながら
「そこは寒いから中に入って・・・。」と中に入るように促しながら
二人の手を引いて玄関内に引き入れた
「ナニカタベルモノ ナイデスカ?」と姉が小さな声で言った
どうやら二人はお腹を空かしているようだ
女の子の背後から父親がバスタオルとお湯の入った洗面器を抱えて現れた
「やあ いらっしゃい 外は寒かったでしょう これで頭の上の雪を落として
冷たくなってしまった足とか温めて一緒にご飯を食べましよう・・・。」
まるで真夏の様に暖かい部屋に通されてチキンが置かれたテーブルの前で
固まるふたり・・・。
黄色い頭の上に有った雪は白い蒸気となって天井付近を舞っている
裸足だった足には真っ赤な靴下とボワッとした毛で覆われた小さなスリッパが・・・。
勿論、椅子に座って届くはずもないから台を置いてその上に立っているのだ
「ミルクを温めて来たからね 火傷しないようにゆっくり飲んでね」
小さな器をこれまた小さな手で抱えゴクリと飲む弟・・・。
「ギョホホゥホゥ△○◇。・・。」むせかえる弟
「慌てて飲まなくてもいいんだよ」娘がふたりに声をかける
頷きながらも尚も飲み続ける弟
「ほら チキンも食べて」
と父親が娘の誕生日パーティーに用意してたチキンを少し小さめに引き裂いて
小皿に乗せて差し出した
一瞬戸惑うようにお互いの顔を見つめあった姉弟だったが
同時にチキンをがしっと手づかみすると一心不乱に食べ始めた
その小さな手も口の周りもチキンの油でてかてかに光らせながら
何度も何度もお代わりをした
横から見ると下腹がぽっこりと盛り上がる程に食べたふたり
そのうちに弟が暖かさと満腹感で眠くなったのかふらふらと
頭を振り出した
ガクッと落ちそうになりながらも両手に掴んだチキンは離そうとしない
この間、親子はずっと小さなお客さんを眺めていた
父も娘も少しだけ疑問が有ったけど まあ別にそれはどうでも良いと思っていた
誰も来れない大雪の日の誕生会
突然訪れた珍客二人をもてなしていた二人に
「アリガトウ・・・。」って姉が言った
「今日は娘の誕生日だったのに この大雪で誰も来れなくてね
用意したご馳走もケーキも無駄になるところだったんだよ
あなた達が来てくれて娘も喜んでるからね お礼なんていいよ」
と 父親が答えた
「タンジョウビ ッテ ナンデスカ?」
姉が小首を傾げるようにして聞き返して来た
「それは~ あたしの生まれた日で~す!!!とっても目出度い日なの♪」
「タンジョウビ ッテ タベレルノ?」って 今まで眠りこけてた弟が突然大きな声で言った
「あはは 食べ物じゃあないよ みんなが誰でも持っている記念日だよ
あなたもお姉さんも在るんだよ」
「エエ~ ボクノタンジョウビ ッテ イツ?」
「???」二人して首を傾げる
「あなたの生まれた日は?覚えて無いの?お母さんやお父さんが教えてくれなかった?」
「オトウサンシラナイ・・・。オカアサン・・・キノウカラウゴカナクナッタ・・・。」
「ボクガウマレタノハ マダアタタカイトキダッタ・・・。」
「そうかあ 誕生日を知らないんだね じゃあ今日を誕生日にしよう!」
「私の誕生日と同じ日ね お姉ちゃんも弟も私と同じィ~♪」
「ハッピーバースデー♪ハッピバースデー♪♪🎶」
歌いながら父親が持ってきたのはバースデーケーキ
目を 目一杯見開いて固まる小さな男の子
口元からは大量の涎が・・・。(笑)
「誕生日にはクリームケーキを♬🎶食べるのだよぉ~♪」
「誕生日にはイチゴのケーキを♬🎶食べるのだよぉ~♪」
「誕生日には苺のたくさん入ったケーキを♬🎶食べるのだよぉ~♪」
少し調子っぱずれな自作の歌を歌いながら切り分ける父親
釣られて歌う弟
「タベルノダオ~♪」 「タベルノダオ~♪」 「タベルノダオ~♪」
顔中クリームだらけにしてケーキと格闘する二人
皿の底に付いたクリームをぺろぺろ舐める二人
さっきよりも一段と膨らんだお腹・・・。もうパンクしそうだった
リビングに移った娘と二人は暖炉の前のソファーに寝そべり誕生日プレゼントで
ゲットしたゲームを仲良くプレイしている
今夜の誕生会の後で友達と遊ぶ予定だったゲームだ
娘がゲームの仕方をあれこれ教えているが弟は睡魔に勝てず娘の脇の下に
頭を突っ込み寝てしまった
姉は小さな手でコントローラーを巧みに操り娘と互角に渡り合っている
「パパ~この子上手~!私負けそう~」
父親はそんな3人を微笑ましく見つめながら記念写真と動画を録った
写真を撮りながら液晶画面に二人が別の姿で映ってるんじゃないかと
思ったが 目の前のそれがそのまま反映されていた
ちょっと期待してた父親だったが これはこれで貴重な映像だなと思った
暫くして娘達に言った
「もう 晩いから二人とも泊まって行きなさいね ベッドは隣に用意したから」
「え~ まだいいでしょ~?あとちょっとだけ~o(〃^▽^〃)o」
ソファーの方に目をやると 娘にぴったりと寄り添って静かに寝息を立ててる二人がいた
それぞれを娘の部屋のベッドに移動して寝かせる父親
本棚に置かれていた娘のお気に入りの人形が2体靴下を脱がされているwww
娘のベッドの横に設えた小さなベッドで丸くなって眠るふたり
リビングに戻った父親は 改めて今夜の事を思い返していた
「さ~て あの子達は一体何者なんだか?危害は無いみたいだけど
不思議だな もしかしてエイリアン?それとも妖精か何かかな?」
「母親を亡くしてふさぎ込んでたあの子を元気付けようとして 誕生会を
準備したのだけど、この雪で誰も来れないなんて、後悔してたんだ・・・。」
「二人とも髪の毛真っ黄色って思ってたけど なんか白い部分が首の後ろ側に向かって
有るなあ~あれってどっかで見た気がする。」
父親は記憶の断片をジグソーパズルを組み立てるようにして
思いの型に当てはめていた
窓の外を覗いてみた
雪はいつの間にか降るのをやめていた
闇の中だというのに白い世界はシンと静まり返り怪しく光っていた
「なんとも幻想的だな。今夜の事は誰に話しても信じてもらえないだろうな」
その時、ドアが静かに開いた
「あ。」
振り向くとそこには 隙間からこちらを覗う姉の姿があった
「どうしたの?目が覚めちゃった?」
「キョウワアリガトウ。メイワクジャナカッタ?」
「ああ!迷惑なんてとんでもない 娘も喜んでたし いつでもおいで」
「ホント・・・ウレシイ♪」
「あ そうだ・・・。ひとつだけ聞いてもいいかな?」
父親は姉弟に会ってからずっと気になってた事を思い切って聞いてみることにした
黙って父親を見つめる姉に続けて言った
「この家を知ってたの?」
姉はこくん頷くと言った
「マエニ オカアサント キタヨ オトウトモイッショダッタ」
父親はその刹那、思い出した
「ああ・・・。あの時の・・・。」
娘の母親は夏に他界していた
この家に越してきたのは治療を止めて娘と少しでも長く暮らしたいという願いからだった
娘は母親の余命が少ない事は知らされていなかった
自然の多いこの地で暮らしていけば又元の元気なママに戻ると信じていた
だから 仲の良い友達と離れることも納得してやって来てた
そんなある日 学校から戻ると両親が何かを見ながら騒いでいた
「パパ!このフェレットどこの子かしら?」
「うーん??フェレットってこんな感じだったか?その黄色い毛並って
もしかして染めてるのかな?お洒落だなあ(笑)」
娘は好奇心で両親の前方に割り込んで行った。そして生まれて初めてそれと対面していた
「あれ?パパ、ママ・・・。これきっと違うと思う・・・。こんな黄色いのってフェレットにいない・・・。」
「ああ!!。それは 貂(テン) じゃよ。別に、なんも悪さはせんぞ(笑)
賑やかな家族を見学に裏山から一家総出で来なたんじゃろうて はははは・・・。」
背後から野太い声がした 近所に住むお爺さんだった
そういえば3匹のそれらは家族らしき形態だった
「あらあテンさん一家ですか ご近所付き合いよろしくお願いしますね。」
そう言うと母親はテンに向かって深々とお辞儀をした
「もぉ~ママったらあ 動物に話しかけても判るはずないじゃん(笑)」
「ええ そんな事無いとママは思うわよ ほら うんうんって頷いてるわ」
慌ててテンの方を覗きこむ父娘・・・。
「そう見ればそう見えなくも無いですけどねwww」
笑いながら立ち上がる父親の後について歩き出す娘をよそに尚もテンに向かって話す母親
「何かあったらいつでもお出でなさいね 私達に出来ることがあったら何でもやってあげるから
それでもし・・・。」
最後の方は少し早口だったので聞き取れなかったが大した事は言ってないと思った
そうか あの時の貂かあ・・・
そう言えば確かテンに向かってあれこれ言ってたなあ なんて言ってたかな?
そうだ思い出した
「困った事があったら何でも言ってお出でみたいな事を真顔で言ってたな・・・。」
「出来るだけの事はしてあげるからとか それからその先・・・何か言ってけど
聞き取れなかったな 何て言ってたんだろう?」
父親は必死に思い出そうとしたが思い出せなかった
父親は姉を振り返り言った
「もし良かったらこの家で一緒に暮さないかい?」
姉は首を左右に振りながら
「ソレハデキナイデス・・・。」と言った
意外な返答に少し困惑しながら
「どうしてなの?ちょっと急な提案だったかな?じゃあこの冬の間だけでも・・・。」
そう言って姉を見つめると
姉は悲しそうな表情を浮かべながら黙っていた
中間書き(ウィキペディア参照)
伝承
妖怪
※三重県伊賀地方では「狐七化け、狸八化け、貂九化け」といい、
テンはキツネやタヌキを上回る変化能力を持つという伝承がある。
との事で この物語のテン母にはその力が有るのかも(笑)