クックパッドは2016年に一連の方向転換があり、事業整理をこなし2017年度を成長に向けた投資期間としてスタートさせました。
2月に出された指針です。
国内レシピサービスにおいてはNo.1のポジションをさらに強固なものにしていきます。
海外レシピサービスについては、進出するそれぞれの国において圧倒的No.1のポジションを 実現していきます。
新たな課題に関するサービスについても、市場を創造し、それぞれの市場においてNo.1の ポジションの獲得を目指します。
http://pdf.irpocket.com/C2193/jwgy/YIcB/dBrX.pdf
今回は海外レシピサービスと新たな課題に関するサービスについての考察です。
その前に、そもそも、クックパッドは海外で投資の減損を出したので海外の買収や戦略は大丈夫なのだろうか?という事があります。のれん減損以外での失敗例は以下2例です
➀ALLTHECOOKS, LLC(Cookpad US100%子会社)・・月間利用者数が当初の計画を大幅に下回 る状況が続いたこと等により、Cookpad US の経営成績及び財政状態が悪化
http://pdf.irpocket.com/C2193/Wc5N/Cdi4/c5o8.pdf
②Cucumbertown, Inc.(インドでのレシピブログサービス)・・・今後の事業計画及び回収可能額を検討した結果 により発生。
http://pdf.irpocket.com/C2193/jwgy/YIcB/dBrX.pdf
➀、②の両方に共通することは、買収はしたものの運営を任せきりだったことが大きな要因であると考えられます。日本企業のM&Aは成功率が非常に低いと言れています。高いお金を出して買っても経営については任せきりで企業をコントロールできないことが多いのがその要因です。公表されている情報では➀は典型的なその例です。企業風土が違うM&Aで重要なことはM&A完了から100日以内に買収先企業に徹底的に企業方針や仕組みなどあらゆることを落とし込むことが重要と言われています。それを踏まえて責任の譲渡を行わなくてはいけません。域の事には優れていても受け継がせるべきノウハウは買収する側のノウハウです。その点が甘かったのかもしれません。
ただ、この点で痛い目を見ることは、授業料と思い、次に生かされ同じ事はしない。どうすることが大事を考えたうえできちんと修正されることが重要です。
クックパッドのかかわり方、サイトを統一プラットフォームに変える、オーナー経営者をきちんと残すなど修正していることがよくわかります。食文化に参入する以上現地のコミュニティに精通するスタッフや創業人物はは生命線です。
本題です。海外展開はとにかく全力で規模を取りに行くという攻めの方針が「2016年12月期 第2四半期決算説明会」からわかります。
本決算の質疑応答よりはこの質疑応答のほうが多くを語っているように思います。
2016年12月期 第2四半期決算説明会 主な質疑応答の要約
https://cf.cpcdn.com/info/assets/wp-content/uploads/20160810174942/1Hqa.pdf
2016 年 12 月期 決算説明会 主な質疑応答の要約
http://pdf.irpocket.com/C2193/jwgy/vM7S/Fqb3.pdf
今年に入り公表はないもののいくつかの海外レシピサイト企業を買収しています。1月27日のプレスリリースに英国を第二本社とし て位置付けるという発表がありました、買収はこのCookpad International Ltd.を通じておこなれているようです。
2/3報じられたのは台湾レシピサイト大手「多多開伙 DoDoCook」の買収
台湾レシピサイトのパイオニアです。残念ながらicookに抜かれたため最大手ではないもののユーザーのコミュニティが高いともいわれています。その辺が考慮されたのかもしれませんね。掲載レシピ数は40000程度でしょうか。オーナーの干渉には触れられていませんでした。
https://meet.bnext.com.tw/intl/articles/view/39852
5/1に報じられたのはギリシャのレシピサイト買収。"Συνταγές της παρέας"というギリシャ最大のレシピサイトです。約20000レシピ数、15万から30万人/日の訪問者数とのことです。
ギリシャ料理は、自前の山海の幸を使う料理に加え、トルコやアラブ、イスラエルと類似した料理が食べられています。ギリシャ料理は、イタリアやスペインの料理よりも、トルコ料理やレバノン他アラブ料理との共通点のほうが多い印象が持たれます。スペイン語圏と英語圏でヨーロッパを補完、ギリシャレバノンで中東を補完する目的かもしれませんね。
そして、つい最近共同通信でも取り上げられたのがロシアのレシピサイト「オフクセ・ルー」の買収。買収日は6/20のようです。レシピ数は15万レシピ程、今年6月には450万ユニークビジター数と、1130万の訪問者数があったと記事では書かれています。オーナーは経営に残るようです。
https://jp.sputniknews.com/entertainment/201707153883510/
https://www.vedomosti.ru/business/articles/2017/07/13/722252-yaponskii-cookpad-ovkuseru
アクセスはロシアが断トツで63%、ウクライナ14%、カザフスタン、ベラルーシドイツがそれぞれ3%程です。今回の買収がユーラシア大陸と、ヨーロッパを補完する買収であることがよくわかります。残すところはオセアニアとアフリカ大陸といことも想像できそうです。
https://www.similarweb.com/website/ovkuse.ru#overview
流石積極的に海外展開すると言っていただけあってすごいスピード感です。約半年で3社の買収。特にロシアはスペイン程度のサイトに育つのではないでしょうか。
新規開拓に合わせ、従来買収済みの海外サイトでも大きな変化がありました。当初議題のプレミアムサービス(課金)です。
昨年課金についての考え方は質疑応答によると
【Q13】 海外のユーザー数について、ユーザー数自体が目的化するのは望ましいとは思っていないのですが、 現在行っているビジネスのマネタイズは時間軸としてもう少し長くなるのか教えてください。
【A13】 ユーザー数を拡大することが最優先事項だと判断しています。とはいえ課金に関しても色々と進めて いく必要がありますが、課金を増やすことを一番の目的としてユーザー数を増やすことを後回しにするのではなくて、ユーザー数が一定数になった所で、いつでも課金ユーザーを増やせる状況を作って いくということが目指していきたい方向性です。
このように、ある程度テスト的な要素の課金が始まっていると思われます。日本のサイトと同じく料理のカテゴリー分けがスタートし、現在「インドネシアサイト」「アラビア語サイト」では日本型の人気検索順の課金モデルがスタートしています。
アラビア語サイトでは書籍の販売を、インドネシア語サイトでは料理教室のサービスを先行して始めていたことも課金モデルのテストに選ばれた要因かもしれませんね。
もう一つ気になる有料サービスがあります。まだ構築途中のようですが
「インドネシア語圏」「スペイン語圏」サイトで確認できます。
「Seguro que alguien como tu también disfruta y le ayuda saber que cambiaste de la receta.」
クックパッドでレシピの独自のバージョンを作成する(アレンジする)
という文言で全てのレシピを課金対象とするサービスのようです。日常の使用でアレンジする想定は低いので、外部サービスへの使用目的としたコンテンツ課金のようなものなのかもしれません。利用者はクックパッドと投稿者にフィーを払う形式のようです。この辺は「新たな課題に関するサービスについても、市場を創造し、それぞれの市場においてNo.1の ポジションの獲得を目指します。」とあった新規サービスの土台なのかもしれませんね。
国内海外ともに利用者は順調です。訪問者数を参考にしても本質は追うことができず、重要なのは海外では特にレシピ掲載数推移だと思います。コンテンツが伴わないサービスはいずれ利用者数も頭打ちになります。ただ、レシピ掲載はとにかく手間のかかる作業です。それが順調に伸びるという事は承認欲求の需給がきちんと働いてる証拠です。ここが伸びていれば利用者数は必ず後からついてきます。コミュニティの活性化にはレシピ投稿が全ての生命線になってきます。そういう意味では、上記のようなサービスは投稿者と運営者がWIN WINになれる形、この仕組みは面白いかもしれません。

























