クックパッドは2016年に一連の方向転換があり、事業整理をこなし2017年度を成長に向けた投資期間としてスタートさせました。

 

2月に出された指針です。

 国内レシピサービスにおいてはNo.1のポジションをさらに強固なものにしていきます。 

 海外レシピサービスについては、進出するそれぞれの国において圧倒的No.1のポジションを 実現していきます。

 新たな課題に関するサービスについても、市場を創造し、それぞれの市場においてNo.1の ポジションの獲得を目指します。

http://pdf.irpocket.com/C2193/jwgy/YIcB/dBrX.pdf

 

今回は海外レシピサービスと新たな課題に関するサービスについての考察です。

 

その前に、そもそも、クックパッドは海外で投資の減損を出したので海外の買収や戦略は大丈夫なのだろうか?という事があります。のれん減損以外での失敗例は以下2例です

 

➀ALLTHECOOKS, LLC(Cookpad US100%子会社)・・月間利用者数が当初の計画を大幅に下回 る状況が続いたこと等により、Cookpad US の経営成績及び財政状態が悪化

http://pdf.irpocket.com/C2193/Wc5N/Cdi4/c5o8.pdf

②Cucumbertown, Inc.(インドでのレシピブログサービス)・・・今後の事業計画及び回収可能額を検討した結果 により発生。

http://pdf.irpocket.com/C2193/jwgy/YIcB/dBrX.pdf

 

 

➀、②の両方に共通することは、買収はしたものの運営を任せきりだったことが大きな要因であると考えられます。日本企業のM&Aは成功率が非常に低いと言れています。高いお金を出して買っても経営については任せきりで企業をコントロールできないことが多いのがその要因です。公表されている情報では➀は典型的なその例です。企業風土が違うM&Aで重要なことはM&A完了から100日以内に買収先企業に徹底的に企業方針や仕組みなどあらゆることを落とし込むことが重要と言われています。それを踏まえて責任の譲渡を行わなくてはいけません。域の事には優れていても受け継がせるべきノウハウは買収する側のノウハウです。その点が甘かったのかもしれません。

 

ただ、この点で痛い目を見ることは、授業料と思い、次に生かされ同じ事はしない。どうすることが大事を考えたうえできちんと修正されることが重要です。

クックパッドのかかわり方、サイトを統一プラットフォームに変える、オーナー経営者をきちんと残すなど修正していることがよくわかります。食文化に参入する以上現地のコミュニティに精通するスタッフや創業人物はは生命線です。

 

 

本題です。海外展開はとにかく全力で規模を取りに行くという攻めの方針が「2016年12月期 第2四半期決算説明会」からわかります。

本決算の質疑応答よりはこの質疑応答のほうが多くを語っているように思います。

 

2016年12月期 第2四半期決算説明会 主な質疑応答の要約

https://cf.cpcdn.com/info/assets/wp-content/uploads/20160810174942/1Hqa.pdf

2016 年 12 月期 決算説明会 主な質疑応答の要約

http://pdf.irpocket.com/C2193/jwgy/vM7S/Fqb3.pdf

 

今年に入り公表はないもののいくつかの海外レシピサイト企業を買収しています。1月27日のプレスリリースに英国を第二本社とし て位置付けるという発表がありました、買収はこのCookpad International Ltd.を通じておこなれているようです。

 

 2/3報じられたのは台湾レシピサイト大手「多多開伙 DoDoCook」の買収

台湾レシピサイトのパイオニアです。残念ながらicookに抜かれたため最大手ではないもののユーザーのコミュニティが高いともいわれています。その辺が考慮されたのかもしれませんね。掲載レシピ数は40000程度でしょうか。オーナーの干渉には触れられていませんでした。

https://www.bnext.com.tw/article/42998/japan-recipe-sharing-website-cookpad-acquired-taiwan-startup-dodocook

https://meet.bnext.com.tw/intl/articles/view/39852

 

 5/1に報じられたのはギリシャのレシピサイト買収。"Συνταγές της παρέας"というギリシャ最大のレシピサイトです。約20000レシピ数、15万から30万人/日の訪問者数とのことです。

http://www.emea.gr/%CE%B7-cookpad-%CE%BC%CE%B1%CE%B3%CE%B5%CE%B9%CF%81%CE%B5%CF%8D%CE%B5%CE%B9-%CF%80%CE%BB%CE%AD%CE%BF%CE%BD-%CE%BA%CE%B1%CE%B9-%CF%83%CF%84%CE%B7%CE%BD-%CE%B5%CE%BB%CE%BB%CE%AC%CE%B4%CE%B1/512763/512763/

ギリシャ料理は、自前の山海の幸を使う料理に加え、トルコやアラブ、イスラエルと類似した料理が食べられています。ギリシャ料理は、イタリアやスペインの料理よりも、トルコ料理やレバノン他アラブ料理との共通点のほうが多い印象が持たれます。スペイン語圏と英語圏でヨーロッパを補完、ギリシャレバノンで中東を補完する目的かもしれませんね。

 そして、つい最近共同通信でも取り上げられたのがロシアのレシピサイト「オフクセ・ルー」の買収。買収日は6/20のようです。レシピ数は15万レシピ程、今年6月には450万ユニークビジター数と、1130万の訪問者数があったと記事では書かれています。オーナーは経営に残るようです。

https://jp.sputniknews.com/entertainment/201707153883510/

https://www.vedomosti.ru/business/articles/2017/07/13/722252-yaponskii-cookpad-ovkuseru

アクセスはロシアが断トツで63%、ウクライナ14%、カザフスタン、ベラルーシドイツがそれぞれ3%程です。今回の買収がユーラシア大陸と、ヨーロッパを補完する買収であることがよくわかります。残すところはオセアニアとアフリカ大陸といことも想像できそうです。

https://www.similarweb.com/website/ovkuse.ru#overview

 

流石積極的に海外展開すると言っていただけあってすごいスピード感です。約半年で3社の買収。特にロシアはスペイン程度のサイトに育つのではないでしょうか。

 

 

新規開拓に合わせ、従来買収済みの海外サイトでも大きな変化がありました。当初議題のプレミアムサービス(課金)です。

昨年課金についての考え方は質疑応答によると

 

【Q13】 海外のユーザー数について、ユーザー数自体が目的化するのは望ましいとは思っていないのですが、 現在行っているビジネスのマネタイズは時間軸としてもう少し長くなるのか教えてください。

 【A13】 ユーザー数を拡大することが最優先事項だと判断しています。とはいえ課金に関しても色々と進めて いく必要がありますが、課金を増やすことを一番の目的としてユーザー数を増やすことを後回しにするのではなくて、ユーザー数が一定数になった所で、いつでも課金ユーザーを増やせる状況を作って いくということが目指していきたい方向性です。

 

このように、ある程度テスト的な要素の課金が始まっていると思われます。日本のサイトと同じく料理のカテゴリー分けがスタートし、現在「インドネシアサイト」「アラビア語サイト」では日本型の人気検索順の課金モデルがスタートしています。

https://cookpad.com/id

アラビア語サイトでは書籍の販売を、インドネシア語サイトでは料理教室のサービスを先行して始めていたことも課金モデルのテストに選ばれた要因かもしれませんね。

 

もう一つ気になる有料サービスがあります。まだ構築途中のようですが

「インドネシア語圏」「スペイン語圏」サイトで確認できます。

https://cookpad.com/es

「Seguro que alguien como tu también disfruta y le ayuda saber que cambiaste de la receta.」

クックパッドでレシピの独自のバージョンを作成する(アレンジする)

という文言で全てのレシピを課金対象とするサービスのようです。日常の使用でアレンジする想定は低いので、外部サービスへの使用目的としたコンテンツ課金のようなものなのかもしれません。利用者はクックパッドと投稿者にフィーを払う形式のようです。この辺は「新たな課題に関するサービスについても、市場を創造し、それぞれの市場においてNo.1の ポジションの獲得を目指します。」とあった新規サービスの土台なのかもしれませんね。

 

国内海外ともに利用者は順調です。訪問者数を参考にしても本質は追うことができず、重要なのは海外では特にレシピ掲載数推移だと思います。コンテンツが伴わないサービスはいずれ利用者数も頭打ちになります。ただ、レシピ掲載はとにかく手間のかかる作業です。それが順調に伸びるという事は承認欲求の需給がきちんと働いてる証拠です。ここが伸びていれば利用者数は必ず後からついてきます。コミュニティの活性化にはレシピ投稿が全ての生命線になってきます。そういう意味では、上記のようなサービスは投稿者と運営者がWIN WINになれる形、この仕組みは面白いかもしれません。

 

劇的な変動を起こしたクックパッドですが、約1年経ちどう変化したのかを書きました。

 

今更、この件について深掘りはしませんがアクションについては以下内容です。

2016年12月期 第1四半期決算補足説明資料 

 

そして、1年が経ち、先日出された決算資料で事業集中化の結果が開示されています。

2016年12月期 第3四半期決算補足説明資料

 

「みんなのウエディング」はM&A賛同による保有株式の売却が決まっており2017年第一四半期で「リアルワールド」保有株氏の売却も決まりました。現在開示がない国内子会社については「株式会社クックパッドベビー」「クックパッド産地直送便株式会社」「クックパッド料理教室」「コーチ・ユナイテッド株式会社」など大幅な整理が行われました。

 

この結果、財務体質は引き締まりました。財務健全性は元々高い企業でしたが、より健全になったようです。

中核事業ではなかったので中核事業にのっていたコストもそれに伴い減少しました。(この資料で販管費率が2017.4Q高くなったのは前年のセレクチャーの売上高を除していないためです)売上高の増加の伸びに比べ販管費の伸びが抑制されています。

リソース集中の経営指標については、想定通りの結果が得られているようです。しかし、経営の多角化=将来への投資と考えると手放しでは歓迎できません。同時に出された「何で将来収益をあげるのか」という事も大事になります。

 

まず、この1年間の収益指標から

特損を入れた収益はブレが大きいので方向性を表わしている売上高ベースでの指標を見ます。

 

全体の四半期売上収益はこちらです。

会員事業と広告事業の2本柱です。会員事業はこの1年、従来変わらずに綺麗な右肩上がりで伸びています。広告事業はこの1年一番影響を受けた事業ではないでしょうか。第四四半期では一定の形を出してきています。

 

会員事業・広告事業の内訳はこちらです。会員事業は、他社コンテンツ提供レベニューシェア売上高。広告事業はモニターを活用したタイアップ広告などが要因のようです。

総括で見ると、懸念される早期の成長鈍化、一連の混乱からのビジネスへの影響、経営方針変更へのビジネスへの影響はほとんど現れてはいません。

 

 

次に、多角化から集中へ、今後の成長ビジョンというものについて見ていきます。

2017年中間決算時に今後の方向性が出されました。以下内容です。

 

2016年12月期 第2四半期決算説明会資料

 

2016年度についてはどちらかというと事業集約に主を置いていた側面が強く、方向性についてはバックエンドでの準備段階という印象があります。今後の成長を担う分野という意味では失敗が許されず会社の将来を担う事業戦略です。

 

具体的な行動指針は2016年12月期 第2四半期決算説明資料で出された上記の4つの戦略です。「料理に関するCtoCプラットフォーム」は「クックパッド料理教室」を除けば新規の取り組みと考えられるため除きますが、その他は「国内事業」「海外事業」についてこんごどうしていくのかということです。

 

【国内のレシピサービスのファン増加】

国内事業の今後の方針について出されています。

国内の会員事業は直近で売上収益構成比約52%を占めています。収益の中核であり、クックパッドビジネスの屋台骨です。収益の主はクックパッドの有料サービスからの課金収入です。課題としては、直近月次サイト利用者数6,327万人の利用者数から考えても日本の世帯数を考えると、利用者数の打ち止めに伴う収益減が考えられます。

足元の状況は決算説明資料においても純会員事業のみを抽出すると以下でわかる通り前年比10%程度の伸びは維持しているものの鈍化傾向は顕著です。

海外や多角化において次の成長分野の育成は少し前からあったのかもしれませんが中核サービスの成長はビジネスモデルからも必要不可欠なものです。

対照的に明るい材料もあります。会員事業のもう一つのセグメントにレベニューシェア売上があります。レベニューシェア売上とはNTTドコモのdグルメや東京ガスなどにコンテンツを提供し売上(レベニュー)の分け前をシェアするものです。以下が推移です。

この二つを合わせた会員事業の推移が決算説明資料のこちらです。

この数字から読み取れるのは、レシピサイトに訪問し、有料サービスを利用することで対価を払うサービスについてはそろそろ天井が見えてきているという事ではないでしょうか。利用者の数も延べ人数とは言え天井は高くないと思われます。しかし、他の企業が自社商品やサービスを提供する際の付加価値としてクックパッドを利用し対価を払うという価値を考えた場合、レベニューシェアというビジネスは

現状の月間利用者6320万人-有料会員利用者約190万人=6000万人以上のポテンシャルと天井は高くなる可能性もあります。

市場独占に近いビジネスモデルで利用者から課金の収入を徴収するという考え方の根底を探るとお金を出すのは利用者じゃなくともいいのでは?といきつくのはコロンブス的発想だと思います。

【国内のレシピサービスのファン増加】がこれに沿うかたちでの目標であるならばコンテンツの提供からの対価というビジネスモデルの大きな転換になるのかもしれません。

ユーザー満足に対し対価を得られるという意味でも、課金と合わせたビジネスモデルを確立することは大きいと考えられます。

余談ですが、利用者に嫌われがちなあちらこちらに表れるネットワーク広告からタイアップ広告に主軸を移したのは資料からもわかりますが、これと同じように従来の課金モデルからコンテンツ収入モデルを作ろうと考えたならプラットフォーマーとしては中立性を維持し収益をあげる理想的な形だと思います。

 

【人的投資・テクノロジー投資】 

成長を加速すること、ビジネスの幅を広げること、より便利に、より使いやすくを考えれば投資は避けて通れない道です。

必要であろうことにお金を回し、その代わりにどこかを削る。無限でない会社リソースを振り分けるためには大事なことです。

以下は、過去1年間の労働分配率の推移です。特損の4Qを除けば今年は47%で安定推移しています。ネット企業の平均30%から40%よりは高いので他のネット企業に比べれば労働集約型の傾向であることがわかります。

このことからも、テクノロジーの投資による改善余地は大きいことがわかりますし、成功すれば費用対効果が大きいこともわかります。

とは言え、人件費の推移とテクノロジーへの投資は出てきた数字から都度考えなければさじ加減はわかりません。暫くは増えるであろう項目だとは考えられます。

 

 それぞれ特に注目に値することでは、人材投資において全社員対象のストックオプションとテクノロジー投資においては画像認識技術です。

 

以下内容で開示されましたが、人材確保においてより良い人材を確保し維持していくためには賃金待遇は必要不可欠です。賃金の上乗せ分をストックオプションで補うということ理解していますが、そもそもの前提が業績が上がるであろうという自信がないと全社員対象では取り入れないでしょうから余程の自信があるのだなと少し驚きました。

ストック・オプションに関するお知らせ

 

画像認識技術は、当然作業効率の改善の側面もあるでしょうがサービスの生命線であるレシピ投稿者の負担軽減が最大の目的ではないでしょうか。楽しい工程の中であまり楽しくない工程ですからね。昨年7月に研究開発部を設立しておりますし専業の研究部署というのも必要な規模なのかもしれませんね。以下「クックパッド開発者ブログ」より

「Cookpad Tech Kitchen #5 クックパッドにおける最近の機械学習について」

http://techlife.cookpad.com/entry/2017/03/03/121001

 

以上この1年について書きました。事業整理もスピード感はとても速いと思います。1つ1つの目標もつぶしながらコツコツと実現してきている印象です。以前のように会社側から情報が少なくなりわかりにくくなてきているのも事実です。

ただし、事後解釈にはなるものの数字は雄弁に語ります。レシピという分野でここまで市場を独占しているクックパッドの新しい成長ステージに今後も期待したいと思います。

 

【レシピサービスの海外展開】については次の機会に書きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

http://techlife.cookpad.com/ Cookpad TechConf 2017

http://techlife.cookpad.com/entry/2016/02/01/182804 Cookpad TechConf 2016

 

Cookpad TechConf 2017が開かれました。TechConfとはエンジニア、デザイナーがサービスづくりの過程で得た技術的知見や経験を発表するイベントです。

 

2016年から始まり今年は2回目の開催です。料理サイトのクックパッドに技術というイメージはなかなかないかもしれませんが、サイトはRuby on Railsで構築されており、世界でも指折りのRails製巨大Webサイトです。それに、Rubyを中心としたオープンソースを利用し、その成果をフィードバックするという文化を社内にもっています。

以下記事は2012年当時のものですが脈々と受け継がれている文化が見て取れます

 

http://www.ruby.or.jp/ja/showcase/case11_detail.html

 

Cookpad TechConf 2017については

 

私たちクックパッドは「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを掲げ、世界中の料理をテクノロジーで楽しみにするべく、ユーザの課題解決に日々取り組んでいます。

Cookpad TechConf では、そんなクックパッドのエンジニアやデザイナーがどのようにサービス開発に取り組んでいるのか、またその過程で得た技術的知見について公開します。

 

という題の通り昨年開催のTechConfに比べ、海外事業で得た知見や開発についても発表されていましたし、deep learningと画像認識の技術についての知見なども報告されておりました。

 

特にdeep learningと画像認識についてはどの程度の技術まで取り入れているのか、どうしたいのか、など気になる要素満載のとてもためになる話でした。昨年限定公開された「料理きろく」にも触れられていました。

 

通しで5時間ほどですので技術以外の分野の方が全部見るのは難しいかもしれませんが

技術に精通していなくてもクックパッドってすごいなという風にとれる発表です。

 

 

 

 

 

 

先日、「みんなのウエディング」を穐田氏によるMBOにて売却することが決まりました。

これで、現在持つ子会社においてもいずれ手放していく方向がほぼ確定したのではないでしょうか

現在のクックパッドの方針では双方にとってメリットは何も無いでしょうからこれが良い形なのでしょう。

 

クックパッドにとっては将来の成長事業構築は急務です。そういう意味でもポテンシャルが高い海外事業は期待も不安も高い事業です。

 

今回はその海外事業について書いていこうと思います。

 

海外事業というひとまとめに見ても現状では売り上げもほとんどない新規事業です。人件費、経費を含めれば当然赤字の事業です。現状構築している海外事業が利益を出すのはしばらく先です。

市場からは売上の着手が期待される中で、経営陣がとった施策は売り上げを置いて、規模の拡大です。この考え方は日本のような飽和した市場では理解しにくいかもしれませんが、「Airbnb」やアマゾン、クックパッドもたどってきた道です。

今では市場で圧倒的に規模を取れるビジネスも少ないことからアクセルを全開で踏める市場と投資に耐えうる資金があるのはクックパッドにとって非常に恵まれていると思います。大手企業では資金はあるもののここまで思い切った事業戦略は難しいでしょうし、ベンチャーや新興企業では打ちたくても資金の工面が難しいのがあります。

 市場規模を取るとうことは、価格やサービスにおいてのあらゆる決定権を掌握できるという事です。利用者にローンチするサービスなど後からでも十分対応可能だと思います。後発のサービスが出た後でさえもこの地位は揺るぐことがないと思います。国内のクックパッドが良い例であらゆるローンチが可能です。

 

特にレシピサイトなどは日本でもそうなように、類似のサービスは2ついらないからです。当然先駆サービスにレシピコンテンツが集まり、コンテンツが良質だから人が集まる、これの繰り返しで不動の地位を作ったのが現在のクックパッドです。更にアメリカの「Allrecipes」も圧倒的に先駆者特権を持ちクックパッドにとっては悪い意味でこれに当たると思います。

 

2010年にアメリカの子会社立ち上げを皮切りに2012年に佐野氏自身が代表を譲り、本格的に海外展開を加速させます。2013年末に本格的に事業買収に踏み切り、サイトプラットフォームの乗せ換えを終えて現状に至ります。代表を譲った2012年3月を海外事業のスタートとするなら丁度今は5年近くです。現状4つの子会社で50以上の国に展開しています。

 

新しい体制で打ち出した海外戦略「5年間の集中投資期間」と「100カ国」についてはこれを見る限りではビジョンを描けるのではないでしょうか?

買収からプラットフォーム移行だけであれば2年かからないでできるのかもしれませんが各国で1番になるという事はコンテンツの積み上げも必要なことから、この部分に時間多く割くと思われます。

 

 

海外事業成否の判断において重要な指標はサイトの利用者数です。クックパッドでは月次の利用者数を公表しています。

 

 

単月の数字においてはいくつかのポイントもあり数字のみを鵜吞みにするよりかはトレンドを見ることが重要です。

日本のバレンタイン同様、言語圏で単月の伸びが高い時期があるようです。アラビア語圏はラマダン(断食)時期に当たり伸びが大きくなります。欧米はクリスマス需要でしょうか12月が高い傾向です。

スペインとインドネシア語圏は2015年12月期6月頃に、アラビア語圏は2016年12月期初めにサイトの移行があり、利用者数の一時的な伸び鈍化が出てます。

 

以下を見ても海外事業は順調に利用者数を伸ばしているのがわかります。その中で英語圏は他の語圏に比べ厳しいもので買収金額の約半分を減損として処理、苦戦する事例となりました。反省を踏まえて、現状では主導をクックパッドでテコ入れをしているようです。

 

クックパッドでは海外展開を始めた際に方向性を出しています。

 

2014年4月期第3四半期 決算補足説明資料

「クックパッドの世界展開」

https://cf.cpcdn.com/info/assets/wp-content/uploads/20140307162521/2014.4Q3jp.pdf

 

当初なのでどの程度変わっているかはわかりませんが

 

レシピサイトにおける状況分析として

 

”アメリカ、ヨーロッパ各国に月間数百万人以上が利用するレシピサービスが存在。日常的なレシピサービス利用が定着

PCではユーザー投稿型の大手サイトが既に存在するが、スマートフォン分野はこれから

メディア企業が買収、子会社化したケースが多く、各サービスの収益モデルは広告事業中心”

 

それを踏まえて以下が打ち出した基本戦略です。

 

 

課金は先々の話でしょうが、ユーザー投稿型は確立すれば参入障壁にもつながり先駆者利益の絶対条件です。スマートフォン重視は、インドネシア周辺の新興国、アラビア語圏で成長の原動力になっています。

 

先ほど利用者数のところで、英語圏では減損を出しながら、インドネシア語圏では数倍以上に伸びるという対局な結果が出ました。

 

結果からシンプルに考えると、使う理由がない、若しくは似たようなサービスが出てそちらに需要が移ったのかもしれません。理由はどうあれ市場プレーヤーが多い、もしくは圧倒的な1番のプレーヤーがいるどちらかなのでしょう。

この減損はクックパッドにとって海外戦略をする上で非常に大きな価値ある失敗ではないでしょうか。

「欧米ではレシピサイトが定着しているから参入障壁が低い」と仮説からの失敗です。「先進国は後発デメリットが多く参入障壁が高い」だったのではないでしょうか。スペイン語圏も欧米の先進国を網羅しているものの、メインはアルゼンチンなどの南米の新興国が中心です。

「新興国で他のレシピサイトは企業価値としてコンテンツ利用の特性上ある程度の経済規模になるまで参入しずらいので大手メインプレーヤーが入りずらい」と考えることができます。

 

そのことから、「ほとんどプレーヤーがいない地域に早期に参入し、圧倒的シェアでサービスを展開する」ことがベストな結論ではないでしょうか。

 

つまり、先日出された戦略はこれを踏まえて出された新しい戦略なのです。

 

今後の海外事業の補完地域ですが

 

 

世界という意味で見て人口、大手が少ない地域(新興国)で見るとBRICs は人口の伸びや中間所得層の伸びから重要な地域にあたり、参入可能性は高いのではないでしょうか。

 

クックパッド、インド工科大学から優秀なIT人材の採用を狙う 

http://www.india-bizportal.com/jacomp/p22943/

 

こんな記事もあるようなので、インドは本命中の本命でしょう。他にロシア、南アフリカなどでしょうか。この辺を網羅できれば横展開で世界に向けてローンチできるのではないでしょうか。中国を避けるように周辺からの包囲網で囲うことで中国は補完しそうな気がします。中国は事業リスクが高いですからね。

 

海外事業のビジネスについては、これから事業展開を始める新しい地域と第一期のインドネシア語圏、スペイン語圏、アラビア語圏と分けるなら、第一期のサービスは今後2・3年ほどで何らかの形で収益化をした方がいいかもしれませんね。これらの新規事業を支えているのは大半が国内の会員事業です。今の海外事業のコストに合わせ、今後の展開コストを乗せるのは少し酷ではないかと思います。国内のクックパッドも今までそうして成長してきたように。事業は利益を出してサービスを維持するものです。利益もなければサービスの維持すらできません。成長にかける時期、収益化の時期、さらにそこから投資の時期と節目節目を超えて成長するものです。

 

時間はかかるものの方向性と足元の数字については正しいという結果が出ていると取れるでしょう。仮説、検証を繰り返し世界制覇に突き進むクックパッドの今後に期待しましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最前線でリードする経営幹部が語るクックパッドのリアル

http://www.kandc.com/cookpad/interview/1.html

クライス&カンパニーというヘッドハンティング会社の記事です。

 

 

広告事業部 本部長 兼 パートナーアライアンス部 本部長

小川 淳氏

 

コーポレートブランディング部・広報部 本部長

小竹 貴子氏

 

VP of Product Design 兼 投稿開発部 部長

池田 拓司氏

 

この3人の経営幹部対談記事と

 

広告事業部 部長

片桐 優氏

 

人事部 中途採用グループ グループ長

大枝 絢氏

 

投稿開発部 投稿グループ グループ長

新里 千晶氏

 

海外事業部 Business Intelligence Group グループ長

前川 暁紀氏

 

とクックパッドの今と今後の方向性を知ることのできる内容です。