今日は延期となっていた会社関係の方々が

面会に来てくれた。

 

先々代の社長さんを含め四人の方が来てくれたが、

そのうちの二人は若い頃には家族ぐるみで付き合っていた方々。

 

20年ぶり以上で会ったので、

やはり皆それなりに変わっているが、

話していると昔の面影が蘇り懐かしい。

 

皆さんが大きな声で声をかけてくれると

ほんの一瞬だがにこっと夫に笑顔が出る。

痩せているので皴しわの笑顔だ。

 

夫も皆の姿と声が聞こえて嬉しかったと思う。

ただすぐに又目を閉じて眠ってしまう。

 

一人の方が、夫を含めた5人の写真を引き伸ばして

持ってきて下さった。

その写真の中の夫は丸々として元気そうで、別人のようだ。

スタッフの方も見てちょっと驚いていた。

 

考えてみると、夫はかなりハッピーなサラリーマン人生を

送ったように思える。

まあ時代の風も良かったのだろうけれど、

月曜に会社に行くのが楽しみ・・とよく言っていた。

 

病気になって入院した後、まとまった話が出来なくなってからも

口から出るのは会社関係の事が多かった。

頭の中はずっと仕事中心だったのだろう。

 

夫はかなり人に好かれやすいタイプ。

明るくてファンキーというか

面白くて人を惹きつけるような所があったと思う。

 

けれど60近くになって、レビー小体型認知症という、

パーキンソン病も併せ持つ病気となってしまい

本来の彼らしさと真逆の様子になってしまった。

本当に酷な事である。

 

発病してもう10年近くたち、

私はもう病気になった後の夫に慣れてしまっている。

 

無表情で動きの少ない、どんよりしているような、

お祖父さんのようなイメージが定着してしまっているが、

こうやって昔の夫をよく知っている方たちと話していると、

話の中で昔の生き生きした夫の様子が思いだされる。

 

皆さんをエレベーターで送り出して面会は終わりとなった。

やはり今日はかなり気を張った面会だったので、ちょっと疲れた。

 

今日のメンバーたちはもう仕事の面ではリタイア組だけれど

まだまだ素敵なおじさま方で、

そういう意味ではまだまだ現役組と言える。

 

もし夫も病気になっていなかったら、皆さんの仲間として

同じように出かけたり飲みに行ったり話したりしていたのかなあ・・

と思うと、何とも言えず複雑な気持ちになる。

 

病気にならなかったら、こんな感じだったかも・・という

普段は想像できないような事を想像してしまった。

 

わざわざ遠くまで面会に来てくれた方たちへのありがたさや

本人は無念だろうと思う気持ち、

私の持って行きどころのないような気持ち、

色々な気持ちが交錯した一日だった。