今日、母と生まれて初めて同じものを見て過ごす時間を共有した様な気がする。

母の食べた後の食器を下げに部屋に入って、
空気が悪い…そんな様な事を言うので、

「寒いけど、窓開けよっか?まだ、雪積もってるで…」

窓を開けると、ひんやりした空気が流れ込み…。

こたつで丸くなっていた母は窓の外に見える前の家の屋根とそこから見える空と雲が動く様子を身を乗り出すように見ている。

「じっとしてへんなぁ。」ポソっとそんな事を言いながら…。

窓際にいた私も寒さに耐え兼ね、母のこたつに足をつっこんで、暫く一緒に見ていたら何だか涙が出そうに…。一緒にこたつに足を入れるなんて初めてだ。

時折、意味不明なことを喋りつつも、目をキラキラさせて空を見る母がとても新鮮で、その表情が愛おしくて愛おしくて、この時間が本当に貴重に感じた。

女の子は歳をとると母親に似てくるというけれど、こんな穏やかで綺麗な目を持っている母に似るのなら幸せだ。

実のところ、一緒に買い物をしたり、料理を教えてもらったり…私が踊っているところも1回も見てもらうこともなかった。

何時も母は病院か、自分の世界の中とこの世界の間で行ったり来たりしていたから、一緒に何かを共有したり感動したりすることも無かった。

だけれど、今日同じ景色を観て綺麗だと感じる時間をゆっくり過ごせたこと、絶対に忘れないだろう。

少しずつ、排泄の方も大変になってきていて、今日も兄と一緒に母の汚れた布団とシーツを交換した。

兄は1人では倍時間がかかると嘆いていた。

綺麗事では無い現実問題。

ただ、今だからこそ母に産んでもらった感謝の思いをカタチにしていきたいと心から思う。

視界をはみ出すほどに拡がる実家の雪景色…。

全てをニュートラルにしてくれます。