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CP~many colors~

趣味で書いた小説、撮った写真、プログラムのことなど色々書いています!

この間書いた、小説を掲載しました!
ものすごく短いです。


よかったら読んでください!
 「ナルヨウニナル シンパイナイサ」
 皆さんもご存知、一休の言葉である。
 申し遅れた。私の名前は中尾次郎。ある中小企業に勤めるサラリーマンだ。
 この物語は、その私と、ある小学生との出会いから始まった物語である。
____________
アスファルト

 大阪。
 黒いアスファルトが、陽の光を吸い取り、鉄板のように空気を焼いている。
 その中、私は一人、靴底をべたつかせながら、努める会社へと向かう。
 (ウィーン、プシュー)
 自動ドアが開き、外とは真逆の世界へと入っていく。
 外は肉が焼けるんじゃないか、と思うぐらい暑いくせに、一つガラスで仕切られた中に入ると、ここは北海道かと思うぐらい寒い。
 それだけではない、外は車、飲食店の客引き、電車、人の音が混在しているのに、この不思議なドアの向こうでは、仕事をしている者がパソコンを打っている音か、電話で取引先と話している音しか存在しない。
 うっかりしたことを言った。外と中が真逆の世界と言ったが訂正する。
 ただ、一つ外と中の世界の共通点がある。それは
 『この中は、アスファルトのように黒く、変化が無くつまらない』
 
 私はIT関係の仕事をしている。つまりほぼパソコンと格闘しているのだ。
 もちろん、新しいプログラムの開発や、プログラムの作成は面白くもあるし、やりがいもある。
 ある日、私はある生き物館から以来を受け、水槽内の温度を一定に保つ機械、プログラムの作成を依頼された。
 この仕事をなんなくこなし、依頼を受けてから一週間で完成させ、取引先に納品したのであった。
 納品の作業が終わり、その日はやれやれと家の近くの呑み屋で呑んでいたとき・・・
 (ブォー、ブォー、ブォー)
 携帯の振動が机に伝わる
 (ブォー)
 「はい、中尾です」
 「おい、中尾。お前今すぐ会社に戻ってこい。」
 「どうかしたんですか」
 「どうもくそもあるか!、お前が今日納品した商品、欠陥品だったんだよ!。先方が所有するすべての水槽の水温管理がうまく出来ず、すべての生き物が死んだんだよ!」
 「えっ・・・」
 僕は、言葉を失い頭が真っ白になった・・・
 「おい!中尾!、聞いてんのか?・・・おい!」
 「・・・はい!」
 頭の中がひっくり返ったものの、とりあえず、会社に戻らないと行けないことは分かった。
 「今すぐ行きます!すみません!」
 (ピコ)
 私は、机の上に壱萬円を置き。戦闘機のように、ものすごい勢いで飛び、人を避け、近くにある駅のタクシー乗り場のタクシーに乗り込んで会社に向かった。
 タクシーの中で想像した。
 いったいどれぐらいの損失だったんだろう・・・
 今日納品した先は、環境保護も積極的に行っており、珍しい生物が見られるとのことで全国でも有名な生き物館であった。そこの生き物がすべて死滅したと言えば・・・ただではすまないだろう。
 会社につくと自分の部署のある階へ駆け上り、ドアを勢いよくあけた。
 (バタン!)
 すると、そこには珍しく社長と幹部の方が全員おり、僕の直接の上司である中田さんもいた。
 「お前、やってくれたな!向こうが訴訟を起こすって言ってきてるぞ。損害賠償請求額は三百万円。赤字だ赤字!どうするんだ?」
 僕は心の中で、あぁ・・・そんなものなんだ。と思った。
 てっきり億単位の損害賠償請求がくるかと思っていた。
 そんなことを言っている暇はない。ともかくお詫びをしなくては。
 「この度は申し訳ございません。私のとんだ不注意で、本当にご迷惑をおかけしました。」
 社長が言う。
 「まあ、とりあえず先方に謝りにいくから、一緒に来なさい。おい、中田、こいつの机、新品の机のようにきれいにしておいてやれ。」
 「はい、社長」
 えっ?俺クビ?・・・
 頭の中で、今の社長の言葉を聞き、胸がむしり取られるような痛みが襲う・・・
 「おい!何してる!早く行くぞ!」
 「は・・・はい・・・」
 僕は社長と一緒にタクシーで先方に行き謝罪した。
 その帰り、タクシーに乗る前に社長が
 「お前は乗らなくていい。社員証を出せ」
 僕は、鞄の中に常に忍ばせている社員証を出し、おとなしく渡した。
 「明日から、こなくていい。相当落ち込んでいるようだから、ゆっくりと休みなさい」
 そういって、タクシーのドアが閉まった。
 それって、俺に同情してんのか?
 腹立たしくもあり、悲しくもあった・・・

 損害賠償は会社が払ってくれたが、その代わりに僕の机がなくなった・・・
 つまり
 クビ
 にされたのであった・・・

______
公園

 (ギーコ、ギーコ、ギーコ)
 会社をクビにされた次の日、私はいつもの癖でスーツにネクタイを締め外に出てしまった。
 会社をクビにされたのに気がついたのは電車に乗る前だ。
 定期券を出そうと思い、鞄を探ると、いつもあるはずの社員証が無かったのだ。
 無いものは無い。クビにされたものは仕方が無い。
 そう自分にいい聞かせながら、道を歩いた。
 すると近くに公園を見つけた。
 「あんなところに公園なんかあったっけ・・・」
 そうつぶやきながらも、錆び付き、今にも折れそうな細い棒に支えられている訳の分からない遊具に座る。
 その上でぼけーっとしていると、ある少年が声をかけてきた。
 「おい!ハゲ!」
 思わず振り向いてしまった。
 確かに、私の頭は他の人に比べて髪の毛は少ないが、決してハゲというレベルまでとはいかない。
 「何してんだ?仕事は?」
 大きなお世話である。こんな小学生の様なやつに俺の身を心配されてたまるか。
 「なんだよ、お前こそ学校は?」
 「俺、学校行ってねーんだ。」
 ?訳が分からん・・・
 「なんでだよ!」
 「行けねーんだよ!」
 ?ますます分からん・・・確か小学校は義務教育だよな?
 作者さん、読者さん一応確認しとく。小学校は義務教育。無償授業だよな?
 「なんで行けねーんだ?」
 「俺家ないから・・・親いないから・・・」
 まずいことを聞いてしまった・・・
 触れるべきでない、内容に触れてしまった・・・なんて言ったら・・・
 後の言葉を考えていると、少年が近づくなり、こんな質問をした。
 「それで会社は?もしかしてフリーター?」
 「違うよ・・・昨日クビになったんだよ・・・」
 「・・・そうなのか・・・悪いな・・・」
 かわった小学生だ・・・この年の少年なら、必ず「わー何したんだ?」とは最低言うと思っていたが・・・
 この少年はその顔一つ見せず、むしろ申し訳なさそうな顔をしている。
 「なあ、名前なんて言うんだ?」
 少年が聞く。
 「中尾、中尾次郎」
 「そうか、俺は楠、楠一郎っていうんだ」
 「へぇ・・・そうなんだ、俺と名前はにてるな」 
 「うん!」
 その後も二人バカな話をした。
 私が、会社をクビになった理由も話し、お互い笑った。
 小学生で、学校に行っていない割にはこの辺の地理、歴史には詳しく、とても面白かった。
 その少年が言った。
 「ちょっと連れて行きたいところがあるんだ、来てよ」
 僕は、言われるままについていった。
 ついた先は、先日欠陥品を提供してしまった相手先だった。
 そのとき、少年は言った。
 「イギリスの詩人でサミュエル・ジョンソンって言う人がいるんだよ。その人が言ってたんだ。[今から一年も経てば私の現在の悩みなど、おそらくくだらないものに見えるだろう]。つまり中尾がこの間失敗したことは、今はとても大変なことかもしれない。けどたぶん、時間が経てばたつほど笑えるものになるんだよ。だから気にしないでいい!」
 僕は心の中で泣きそうになった。
 まさか、だいの大人が、こんな小学生に慰められるとは思わなかった。
 「ありがとうな!」
 僕は後ろにいた少年の頭を撫でようとした。
 しかし、もう既に、少年はいなかった。
 その代わりに、ブルーベリー見たいな実と、葉っぱが転がっていた。
 葉、そこにはこう書かれていた。
 [人生において最も耐え難いことは、悪天候が続くことではなく、雲一つない晴天が続くことである byヒルティ]
 あの子はいったい何者だったんだろう。
 しかし、僕はこの葉っぱの言葉を見て、頑張ろうと思えた。
 確かに、思い返してみると、今までの人生は、高校、大学と普通に入り、普通に会社に入り、朝、定時に起きて、出勤し、仕事をし、そこそこ給料をもらっての人生の繰り返しだったろ。
 何も、大きなことに挑戦することも無ければ、小さなことに挑戦することも無かった。
 あの子は不思議だ。僕の背中を押してくれた。
 
 次の日、僕はテントなどのキャンプ道具一式と、釣り具などを手に持ち、当ての無い旅に出ることにした。
 その前に、昨日の公園に足を運んだ。
 あの少年にお礼を言うためである。前に進む勇気、希望をくれた。
 「あれっ・・・えっ?」
 昨日、ここにあったはずの公園が無い・・・
 そのかわりに、樹齢100年は過ぎているだろう大きな木を後ろに、小さな標識には[楠]と書かれてあった。
 
写真です!







Android携帯からの投稿
おはようございます!
最近投稿していませんでしたが、今、祭りの真っ只中です!




写真は獅子舞の写真です!


また、投稿します!