この前の週末は、衷心が内側を向いていたようで
書物を手にする時間を長く持ちました。
本を読むという行為は傍から見れば“静”なのでしょうが、
その内容に心を動かされる場合は思考に“動”のスイッチが入ってしまう。
思うにそんな静と動の振幅が、読書の醍醐味なのでしょう。
幻冬舎社長である見城氏。
出版界で知らない人はいない大物で、
石原慎太郎、五木寛之、中上健次、村上龍などの作家のほか、
尾崎豊、松任谷由実、坂本龍一といったアーティストに至るまで、多くの著名人に
「彼としか活字の仕事はしない」「彼との仕事だからこそ書く」と思わせたことは有名です。
その彼が人生の総決算とした本書。
いかに作家やアーティストの人生に挑み、いかに彼らが持つ黒い部分を刺激し、
いかにそれを活字として吐き出させてきたか。
ま~、読んでいるこちらの気持ちがヒリヒリとしてきます。
返り血を覚悟で相手の中に深く入り込み、
その闇のような澱のようなものを活字として表現させるには、
編集者である氏自身も同じものも吐き出さなくてはいけない。
それがどれだけの苦痛を伴うかは、想像に難くありません。
しかしそれがなければ、伝説と言われた彼の編集者人生はありえなかったのです。
以前の仕事場で一度、氏を見かけたことがありました。
確かにスマートだとかハンサムだとか、
そんなカタカナの形容詞は氏に似合いませんでした。
ただその奥底に心底惚れた才能と心中する覚悟があり、
常に死に向かう人生を意識していた氏の後姿がありました。
さて、私の今の後姿はどんなものなのだろう。
「編集者という病い」 見城徹著 太田出版



