あの日は雨だった。雨は嫌いだった。でもあの子が変えてくれた。 あの日あの子がいなかったら、あたしはいなくなってたかもしれない。
すごい雨だけど傘はささなかった。
まだ家には帰れないけど、いく場所なんて友達なんていないから。
適当に座って、誰かをずっと待ってる可哀想な女の子を演じてた。
「一緒だね。」
急に上から声がした。 そこには見たことないような、不思議な子がいた。
「びちょびちょ。傘無いの?」
あたしの思考じゃついていけなかった。どんどんこの子に呑み込まれてった。すごく綺麗な顔なのに、瞳が顔と合ってない。なんというか、顔は高校生位なのに、瞳は全部学んできた大人みたいな。
「あ、傘、ある…あ、あります」
普通だったら、傘とか渡さないだろうけど。今は普通じゃないから、傘を手渡した。
「なんだ。あるじゃん。傘、入れてね。」
あ、止んだ。あたしとこの子の上からは。
この子になら、何を言っても大丈夫な気がした。
「あ、あたしは頑張ってんのに、でも実際できてなくて。こんなのただの言い訳なのはあたしが一番分かってるけど、できないものはできないの。」
もう、止まらなかった。いったあとに後悔したけど。 でも、なにかフォローとかしてくれると期待もしてた。
「ほんとに、そんなんただの言い訳じゃん。」
「とは、言わないからね。大丈夫だよ。君の周りはアホばっかでも、俺は違うよ。大丈夫だよ。大丈夫。」
やっぱり期待してよかった。後ろから抱き締めてくれた。優しかった。
傘がそっと手から離れた。
「あはは。結局濡れちゃったね。ま、いっか。君最初から濡れてたしねー。帰ろっか。」
あたしは、この子の名前も知らない。なんでこんな流れになったかもわかんない。
でも、繋がれた手は温かかった。手が暖かい人は心が冷たいらしいけど、あれは嘘だね。いま嘘になった。
「うん。帰る。」
また、頑張れる気がした。あたしは大人にはなれないけど、頑張ることを頑張れば、大丈夫だと思わせてくれた。
雨も悪くないね。こういう出会いがあるなら。
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