詩ブログ |めがねをかけてもぼやけてる -2ページ目

 

 

 

 

いつもたすかるよ

 

ひょうひょうとしたきみ

 

がんばるきみ

 

溶けてなくなってしまうんじゃないかと思うくらい落ち込むきみ

 

たつまきのようにいかりくるうきみ

 

どろのように眠るきみ

 

またひょうひょうとするきみ


 

 

いつもたすかるよ

 

気づかないふりをしてくれるきみ

 

心配していないふりをしてくれるきみ

 

黙っていてくれるきみ

 

気にとめないふりをしてくれるきみ

 

でもすべてわかってくれているきみ


 

 

いつもたすかるよ

 

まんがを読むきみ

 

食べるきみ

 

はなを飾るきみ

 

あいずちをうつきみ

 

帰ってきてくれるきみ

 

そこにいてくれるきみ

 

きれいなきみ

 

かわいいきみ

 

こわいきみ

 

うるさいきみ

 

だめなきみ

 

だいすきなきみ

 

そんなきみはきょうも明日も

 

 

 

ひょうひょうと

 

していてね


 

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コンビニの店員さんは考えている

 

明日外国から帰ってくる彼女のことを

 

レジにならぶ数字のボタンをみながら考えている

 

 

おにぎりを選ぶ大学生はほんとうはめんたいこが食べたかった

 

売り切れのようなので仕方なくこんぶとシャケを手に持った

 

仕事帰りのおねえさんはトイレの中で

 

くちべにを塗ってアイラインをめのはしにきゅっと描いた

 

これから駅で待ち合わせるすきな人のために

 

 

雑誌コーナーの前に立つ青年はおとつい日本にきたばかり

 

表紙に書かれたたくさんの漢字やひらがなやカタカナを見て

 

ほんとうに日本で暮らしていけるのかと少し不安になっている

 

制服姿の女子高生は

 

リップスティックとアイシャドウを

 

ポケットにいれようと

 

初めての万引きをしようとしている

 

二歳になるこどもと一緒のおかあさんは

 

明日のお弁当ようにと冷凍コロッケをかごに入れ

 

今日も夫の帰りがどうせ遅いんだと

 

ため息をついていた

 

 

 

そんなコンビニにもうひとりのお客さんがはいってきて

 

レジの店員さんはいらっしゃいませと言った

 

おにぎりを持った大学生も

 

トイレからでてきたおねえさんも

 

外国人の青年も

 

ポケットにリップスティックをいれるとこだった女子高生も

 

二歳のこどもも

 

おかあさんも

 

わらってしまった

 

お客さんはいっぴきのねこだった

 

まるまると太ったねこ

 

ミケ模様のからだからぴんとでたしっぽをゆらし

 

にゃーんと鳴いた

 

 

かわいくない声だった

 

 

 

それから何秒間かのあいだ

 

みんな忘れた

 

今頃飛行機にのってるであろう彼女のことも

 

めんたいこの事も

 

好きな人のことも

 

異国の地にいることも

 

万引きのことも

 

おかあさんのつかれたかおも

 

帰りが遅い夫のことも

 

ほんの数秒間だけ

 

忘れた

 

 

 

一方まるまると太ったくいしんぼうのねこはというと

 

誰かおいしいものでもくれないかと

 

食べ物のことばかりを考えていた

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窓の外にみえるのは

 

容赦なくおちてくる雨粒

 

今日は仕事もおやすみ

 

すうちゃんとの約束はぱー

 

「雨だからまた別の日に」

 

楽しみだった約束だけど

 

なくなってちょっと嬉しい気もする

 

だって

 

することがないってとっても素敵

 

紅をひいて電車にのらなくても

 

いいだなんて

 

なんて素敵

 

その代わりにちょっとコロンを髪にふりかけて

 

 

ザビア・クガートが奏でるそよ風と私を掛けたなら

 

とっておきの

 

コーヒーを淹れる

 

最初の一滴が落ちる頃には

 

 

グァテマラの風が吹く

 

むらさきときいろの糸で織られたコルテを巻いた少女は

 

今日が13歳の誕生日

 

彼女は誰よりも早起きをして

 

とかした髪にお気に入りの髪飾りを

 

鏡にむかって微笑んだ

 

グァテマラは今日も晴れ

 

 

窓の外は雨粒が容赦なく

 

ひとくちめのコーヒーは

 

なんて贅沢な味!

 

 

ウォーリードールへのお願いは

 

どうかこんな雨の日が

 

死ぬまでに何回か

 

またやってきてくれますように

 

 

 

 

 

 

 

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腹八分目がちょうどいい

 

 

 

七分目でもいいぐらい

 

 

お酒だってそうでしょう

 

嗜むくらいに飲むほうが

 

溺れてしまうのは

 

ふつつかだし

 

 

 

恋もほどほどに嗜むくらいが

 

 

そのくらいがちょうどいい

 

 

決して溺れてしまわぬよう

 

 

優艶でいようとつとめるけれど

 

 

 

目前のあなた

 

 

グラスにくちびるをつけるのを見るたびに

 

 

ああ、ほらまた

 

 

いなずまが心に走ってゆく

 

 

どうやってもあらがえず

 

 

ほどほどに、と密かにしのぶも

 

 

あなたはこちらをみて微笑みかけたりするものだから

 

 

またいなずまが走り抜ける

 

 

 

 

嗜むくらいがちょうどいい

 

 

決して溺れてしまわぬよう

 

 

 

 

 

 

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ぴろぴろとなる携帯電話

 

色んなひとたちの想いが

 

電波にのってやってくる

 

わたしの手もとにやってくる

 

 

 

約束事や今日の出来事

 

相談事や愚痴までも

 

電波でわたしの手の中に

 

超特急でやってくる

 

 

 

ゆびさきで文字を打つならば

 

それがまた超特急で

 

夜のしじまをびゅんと抜け

 

誰かの元に辿り着く

 

 

 

それはなんて素敵なこと

 

それはなんて陳腐なこと

 

 

 

ぴろぴろとなる携帯電話

 

いくらことばが届いても

 

わたしのため息はとまらない

 

 

いくらことばを届けても

 

こころの傍に寄り添うには足りず

 

 

わたしはしかくい機械のぼたんを

 

押して電波を絶ってみた

 

携帯電話はもう動かない

 

 

なんてかんたんなんだろう


 

窓を開けたら東京の

 

騒がしい街のネオンがひかっている

 

息をすれば寒空がはなの奥につんとしみた

 

 

愛おしいあの人の

 

声が聞きたくなったけど

 

しかくい機械はもう動かない

 

もうぴろぴろとなかない

 

 

東京の街はとてもさみしいね

 

 

そういったあの人のひとことを

 

あたまの中で何度も反芻すると

 

わたしの心は満たされた

 

 

東京の街はさみしいね

 

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