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あぐりさんがお亡くなりになった。

107歳。

お疲れ様でした。ありがとうございました。

人な亡くなる時にブログやツイッターで御冥福を、お祈りします。
みたいなのあんまり好きじゃなかったんだけど。


僕の数少ない好きな美容師の一人が亡くなったんだ。少し言葉を紡いでもいいでしょう。

美容師という同じ仕事をしている僕は
このあぐりさんへは

最大の敬意をこめて彼女の言葉を載せさせて頂きたい。

以下あぐりさんの言葉


●若い人へ 今の日本へ

......世の中だんだん変わっていきますからねえ、でも、それにちゃんと順応していっていらっしゃるんだから、今の若い人たちは。やっぱり人間って進歩したんだなあって思いますよ。ですから、もっともっと、いい方にね、のびていらっしゃればとね。
でも、今、日本はどうなるかって心配していますよ、私は。若い方たちも、ですけれど、政治をなさる方たちがねえ......。日本がいつまであるのかなあ、というような気がいたします。
明治(という時代)は、私は5年くらいしか生きていませんからわかりませんけれど、昔はもっとしっかりした方がたくさんいらしたんじゃないかと思います。
世の中があまり便利じゃなかったから、自分で工夫したり、考えてやらなきゃいけなかったから、なんでしょうね。便利になりすぎたってことは、いいのか悪いのか。
でも、人間てすごいと思いますよ。コンピュータとかなんとかかんとかああいうものをどんどん考えてくんですものねえ......。私なんて長く生きていますからね、何しろ、ろうそくの時代からですから(笑)。

ひところ、使い捨て使い捨てって流行りましたけど、私たちの頃は和服を着ておりましたでしょ。そうなると、袷の着物でも単衣の着物でも、それを全部ほどいてから洗濯をして、また縫い直さなきゃならない。ほどきますときには、糸をこう、できるだけ長く、後で使えるようにね、その糸はまたおぞうきんを縫うのに使ったりね。絶対に無駄をしなかった。そういうことを教えられてきましたからねえ......。今は豊かになってきましたけれど、私たちのころはそうせざるを得なかったんでしょうねえ。

●本に書かれていた「不便を懐かしむ」というお言葉
田圃の草取りでも何でも、昔は手でなさったんですからねえ。私は、岡山の市内で育ちましたから(そういうお百姓さんのご苦労については)わからなかったんですが、戦争中に山梨に疎開しましたの。そのとき、(実際にやってみて)お百姓さんのお仕事って、本当にたいへんだと思いました。でも、尊いと思いましたよ。
今はもう物がありすぎてねえ......便利になりすぎて、なんですかねえ、いいんですか悪いんですか。

今の人たち、自由でいいだろうな、と思いますが、あまりにもね、さっきも申しましたけれど、電車の中で物を召し上がったり、お化粧なさったりとか新聞にそういう記事が出ているのを見ますと、びっくりします。それでいいのかなあと思っちゃいます。
たいへんでしたよ、私たちのときは、今のお嬢さんがたとちがって。今は外で、電車の中でものを召し上がったり、お化粧なさるとか、
私たちのときは着物でしたから、足袋を履いておりましたんですが、それも人様の前で履き替えてはいけないと言われておりました。(人前で)素足を見せるな、ということなんでしょうね。そういう点では厳しく育てられました。
でも、今のお嬢さんがたは、お召し物も夏は裸みたいな格好で歩いてらして......涼しくていいだろうなあと思いますね(笑)。

いわゆる発展途上国? ネパールなどの、近代文明の息吹がかかってないところは、これからどうなっていくかはわかりませんが、まだまだ、昔の日本のいいところが残っているようなところがあるらしいですね。

―兄弟愛とか家族愛、思いやりとか、ああいう国ではまだ生きて残っていますよね。

そうね。どんどん便利になっていい世の中になっていきましたが、人間がよくなるかどうかっていうのは、ちょっと問題よね。そういった今の日本が失ったものを取り戻さなければ、この国は滅びるんじゃないでしょうか......。





あぐりさん

ありがとうございました。

入り口を作ってくれて。



僕美容師として。日本人として

意地でもムキになって生きます。


こわしやすひこ