「おくびにも出さない」という慣用表現がある。
心にしまっておいて、態度にも言動にもそれらしい様子を出さないことを言う。

この意味を知っている生徒が案外少ないことが、先日行った模擬試験でわかった。
たぶん、知らない表現はもっといっぱいあるはず。
「ほぞをかむ」
「舌の根のかわかぬうちに」
「眉唾もの」
「逆鱗にふれる」
「いい塩梅に」
などなど。

で、気がついたのだけれど、このような表現が急速に生活から失われつつあるのではないかということだ。
ネット上ではいうまでもなく、日常会話でも聞いたり使ったりする機会がないようだ。
いろんな本を読んでいる「本の虫」みたいな生徒もいるが、その子でさえ知らなかったりする。
書籍からも登場する場面がなくなっていっているのであれば、もう、このような慣用的な言い回しが市民権を得る場はなくなってしまう。

ひところはこのような表現は「ステレオタイプ」として嫌われていたが、これからはもっと積極的に使っていくべきなのかもしれない。
「肝胆相照らす」
「刎頚の友」
「管鮑の交わり」
など漢文由来の表現も、
「蓼食う虫も好き好き」
「馬の耳に念仏」
「糠に釘」
などのことわざもそうだ。

教室でも使っていくことにしよう。


今日もウィノローグに来ていただきありがとうございました。
ところで、「おくび」という漢字は、口編に愛と書きます。

意味は口から出るがす。つまりゲップのこと。
ゲップが「愛」ですか。。。。