宮崎国際音楽祭 スペシャルプログラム 

名曲コンサート (5月5日県立芸術劇場)


(1)ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

(2)バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲

(3)サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ

(4)ラヴェル:ツィガーヌ(ヴァイオリンと管弦楽のための演奏会用狂詩曲)

(5)ベートーヴェン:ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲

(6)ヴェートーヴェン:交響曲第7番


ソリスト:ボリス・ヴェルキン、三浦文彰

ゲストソリスト:谷口まりや

管弦楽:宮崎国際音楽祭室内管弦楽団

指揮:徳永二男

司会:朝岡聡


『クラシックへのいざない』と題されているところから、午後3時から6時まで3時間のかけてたっぷりと聞かせてくれる演奏会でした。


今回のこの演奏会で最も目立ったのが、18歳の若手2人。

ヴァイオリニストの三浦文彰さんとソプラノ独唱の谷口まりやさん。


まず、三浦文彰さん。

2009年のハノーファー国際コンクールで史上最年少の16歳で優勝した逸材です。

(2)のバッハでボリス・ベルキン氏と交互にソロを執りました。

ベルキン氏の太く豊かな音に比べれば、まだ繊細な音でしたが、正確に曲を演奏していく腕はさすが。

なんといっても(3)での演奏がすばらしかった。

司会の朝岡氏の紹介によれば、非常に何度の高い技量を要する曲らしいのですが、最後まで乱れることなく端整に演奏しきり、聴衆をうならせました。

まだ18歳。

これから人生経験を積んでいくにしたがい、音ももっと表情豊かになるはずです。


ワインにたとえれば、ベルキン氏の演奏は40年の熟成を経た良作年のボルドーの1級シャトーなら、三浦氏の演奏は今はまだ閉じているけど熟成後がきわめて楽しみなブルゴーニュの特級の単一畑、という感じ。


さて、次に(4)と(5)の間に、プログラムには書いてなかった特別演奏として、谷口まりやさんのソプラノ独唱がありました。

谷口さんといえば、今年の高校野球春の選抜大会の開幕式で『君が代』を歌ってくれた人です。

宮崎西高校の3年生。

第38回全日本学生音楽コンクール全国大会声楽部門高校の部で第1位を取った人でもあります。

サプライズゲストとして、オケをバックにルノーの『ロミオとジュリエット』から「私は夢に生きたい」を独唱。

きれいに高音が伸びて、ホール中が彼女の声で満たされました。

演奏後はホールが割れんばかりの拍手の嵐。

何度もお辞儀をする姿が初々しく、素朴で好感度抜群でした。

演奏後のインタビューで、「オーケストラをバックに歌う機会を与えてくださって感謝しています」という、素直な言葉がとても彼女の人柄をうかがわせてとてもよかった。

「オペラを歌いたい」という彼女。

これからの飛躍に期待したいです。


18歳の二人の演奏が、会場にいた人々に大きな感動をもたらしました。

私も若いエネルギーをもらったような気がしました。


ベートーベンの第7番については、また日を改めて書きます。


今日もウィノローグに来ていただきありがとうございました。

この演奏会の様子は、音楽祭の公式ブログ でも紹介されています。