年を取れば体のどこかに異常が出てくるものとは知りながら、まさかそれが自分に起こるとは思わないで過ごしているのが凡人の日常だと思います。

で、もし異常が起きたら、それはそれで何か悪いことをした罰なのではなかろうか、不摂生や不親切や不人情のしっぺ返しではなかろうか、どうして俺だけがこんな目に遭うのか、と反省したり何かを呪いたくなるのも凡人の常であろうと思います。


自分ではないのだけど、身内に予期せぬ体の異常が出たなんて聞くと、なんかこちらまであんなこんなを考えてしまって気分が滅入ります。

しかもそれが急を要する事態で。

しかも即入院、即手術なんてことになると。

お金かかるし、面倒見てくれるヒトは彼にはいないようだし、かといってこちらから急に駆けつけられる距離ではないし。

文字通り、飛んで行かないと行けない地にいるので。


しかもこんな悪い知らせは、こちらが予想だにしてない時間にやってくるものらしい。

彼が知らせてきたのがつい二日前。

それから急に気分が落ち込んでしまった。

昨日も今日も連絡はあるのだけれど、その度に階段を一歩一歩下りるように落ち込んでいく。

もっとも、彼本人が一番たいへんなのだが、こういうのは端で想像するしかない人間の方も巻き込むものらしい。


というわけで、昨日は酒がかなり回ってしまった。

いろいろ寝床で考えていると眠れなくなるので、お酒に頼ってしまった。

で、昨日飲んだワイン。
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●FLUTE ENCHANTEE フルート・アンシャンテ

日本語で言えば「魔笛」。

モーツァルトのオペラから名づけたもの。

大晦日に飲んだヴァルス・ロゼ と同じくヴィニョーブル・ギョームのワイン。

ヴァルスよりこちらの方がはるかにいい出来栄え。

香りに複雑性はあまり感じられないけど、泡も酸も生き生きとしていて、こちらこそヴァルス(ワルツ)だなと思わせる出来でありました。


ね、泡が元気そうでしょう。
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これにはカツオのタタキやら鯵の刺身やら、アサリバター(エリンギ入り)なんかと合わせてなかなかいけました。
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うまかったので軽く1本空けて、飲み足りなくて赤も開けてみました。

この赤については後日レポートしましょう。


というわけで、階段落ち込みをひととき忘れて眠りに落ちたのでした。

しかし、今日は月曜日。休肝日。

飲まないで眠れるかどうか。

あれこれ考えてしまいそうだ。

明日が手術ということなので、うまくいくことを祈るしかありません。


今日もウィノローグに来ていただきありがとうございました。

『魔笛』といえば、フリッツ・ブンダーリッヒのテノールが懐かしい。

ベームもカラヤンもブンダーリッヒもヘッツェルもクライバーも、みんな鬼籍に入ってしまいました。

そうそう、「おれたちひょうきん族」の名プロデューサー横沢彪氏も亡くなったとか。

一世を風靡した人たちがこのところよく亡くなる。

時代が確実に変わっていっているんですね。