とある職員室の、放課後の風景。

推薦試験を受ける生徒が、出願の面倒を見る教師のもとに出願書類を持ってきた、けだるい午後。

一日の雑事に疲れた教師が、その生徒の出願書類を確認中・・・・


教師:そろそろ願書を出す準備はできたかい?

生徒:ええ、できました!(と、願書と推薦書を取り出す)  

    これが願書で、これが推薦書!

    で、この前、銀行で振り込んできた受験料の受け取り証です、これ。

    あとは、担任の先生から調査書をもらえばいつでも出願できます!(きっぱり!)

教師:お、これが願書で、推薦書か・・・?

    あれ?、えっと、なんで推薦書を君が持っているわけ?

    これは調査書といっしょに機密封筒に厳封されるはずだが、事務方で・・・

生徒:?

教師:いや、なんで君が推薦書を今、自分で持っているわけ?

生徒:いや、これ(推薦書)、自分で書いたんで・・・

教師:え、自分で書いた?  

    ばっかもん!

    これは、校長が書くもんじゃ!

    なんで自分で書くねん?

生徒:えーっ!(汗)  

    だって、生徒の名前とか、生年月日とか、自分で書くもんだと…

教師:あほぅ! 

    誰がお前を推薦するねん!

    校長に決まっとろうが!

    だから、これは校長が書くの! ばっかもん! 

生徒:えーーーーーっ、だって誰も教えてくれんし、担任もなんも言ってくれんしぃぃぃぃ・・・

教師:あのな、この前の集会の時、進路の先生が説明してくれただろうが!

 「願書は生徒が書くもの、推薦書は校長が書くもの!」って。

    なーーに聞いておったんだぁ!

生徒:だって、推薦書の、なに、この「推薦理由」のところ?

    ここ、自分のこと書くんですよね?(と、推薦書を広げ)

    自分のこと一番わかっているのは自分じゃないですか!

    だから自分で書くのが一番じゃん!

    うちの担任、あてにならんし!

教師:そんな問題じゃない!

    推薦というのは、うちの学校の生徒として誇れる人間だから推薦するんじゃ。

    だれがだれを誇りに思うんや? 

    校長や!

    校長が君を誇りに思うんだろうが!

    だから、生徒が自分で書いてはダメなんだ!

生徒:だって、校長が書くの?ほんまに?自分で?校長が?

    本当は担任が代筆するんでしょう、推薦書って?

    その担任が好かんしあてにならんから、僕、自分で書いたんです・・・(泣)

    これ、他の推薦書と違うんですぅ(泣)

教師:そんなこと通用するわけないがな!(怒)

    とにかく、これ(推薦書)、もう一度担任に渡せ!

    スペアがあるじゃろ。

    それをすぐ担任に渡すんだ!

    担任に書き直してもらえ!

生徒:ええっ!

    もうない!

    推薦書、最初のやつ書き間違って、これ二枚目やぁ。

    もう、推薦書は手元にないです!

教師:ばっかもーーーーーーーーん! 

    じゃぁ、お前はもう推薦せんど!

生徒:なんでや?

教師:当たり前やないけ! 

    自分で推薦書書くアホウがどこにおるねん。

    アホウは推薦できるわけないやないか!

生徒:でも、この推薦書・・・・

教師:なんが、推薦か!ばかが!

生徒:だって、これ・・・

教師:だってもこれもない!でけんもんはでけん!

生徒:だって、これ、自己推薦って書いてあるんですが・・・・

教師:えっ!!!

    なにぃ~~~(汗)~~(汗)~・・・・

生徒:(小声で)自己推薦なんですが・・・・

教師:自己推薦?推薦?すいせん・・・ス・イ・セ・ン・・ジ・コ・・・・

    なんやぁ!校長の署名は必要ないんじゃないかぁ!

    それを早く言え!いや、言いなさい!

    えへん!

    なんだ、だったらお前、いや、君が好きなように書けばいいんだ!

生徒:だから、書いたんです・・・

教師:お、おお、おお。

    そうだったか!そうだったなぁ(詐笑)

    じゃあ、準備は整ったわけだな。

    うんうん。

    すぐに郵便局に行って、送ってきたまえ!君ぃ!

    即、行動だぁ!

生徒:本当に?

    さっきと全然態度違うし・・・

教師:いいんだ、いいんだ、先生の勘違いだ。

    さ、さ、さっそく行きたまえ!

生徒:なんやねん!だから信用できんて!(生徒、出て行く・・・)




学校推薦と自己推薦。

ややこしい受験界の馬鹿話でした!(笑)