で、そういう製作者側の都合によって、取り説を「書物」として閲覧するためにはユーザー側に
負担を強いるようになったのが、私は許せないと思う。
ましてや、「参考書」や「問題集」という「書物」を出版してきた出版社が、時流に抗いがたいのか、
本来は紙代、印刷代を負担して「本」として出版するのが己の勤めであろうと思うのに、
参考書にCDを付録としてつけ、そのCDに収められているPDFファイルを、
参考書を買った高校生側の負担において印刷させるとはどういうことであろうか。
家庭用のプリンターで印刷するとなると、紙代とインク代で、その参考書の倍は費用を負担しなければ
ならないのである。
こういうことが許されるのであろうか。
CDを付けたからという理由だけで、普通の参考書よりも高い値段で販売し、しかも、そのCD内容の印刷は
利用者側に任せるという姿勢が、なんとも不愉快である。
これは出版社の矜持を捨ててしまったことにならないか。
「問題集2冊分の1冊分をPDFにしただけで、PDFファイルを必ずしも印刷しなくてはならないわけでは
ないし、パソコン画面を見て練習することも可能でしょう」と、出版社側はイイタイのかもしれない。
しかし、私が問題としたいのは、パソコンや携帯の液晶画面に表示される「文字情報」によって、
出版界が不況に陥っているという今、出版界のアイデンティティを保障する「紙」というメディアを
出版界自身がおざなりに扱おうとしていることである。
本当にこれでいいのだろうか。