名古屋駅のホームで座っていると
1人のおじさんがかけよってくる。

電話をかけたいから携帯電話を貸してくれ、とだけ言われた。
怪しいので1度断った。

断ったのに熱心にお願いされる。
よく顔を見ると、なんともやさしそうな紳士的な人だった。
大丈夫かな、と思って貸してあげた。

おじさんが電話した先はたぶん自宅かどこかで
娘に子供が生まれたことを嬉しそうに報告していた。

なんでそんなに報告を急いでいたのかは謎。

そういった疑問を無視して
沢山の人がいるのになぜわざわざ自分にかけよってきたのか尋ねてみた。

「人が良さそうだからねえ」

と言われた。

手放しで喜べることじゃない気がして微妙だった。
役に立てたのは嬉しいけど
こういう会話は苦手なのだ。
近寄り難いオーラを出したい。

まあとにかく
このたった47秒の会話で
電話代と称して1000円も貰ってしまった。
こっちも1度断ったが2度目は断れず。

この1000円はライブ後の数本の手羽先に姿を変えた。