毎月二回、1日と15日は
神棚と仏壇を丁寧に整え直して、
いつもより豪勢なお供えをする。
子供の時から
オツイタチ、ジュウゴンチ、とその日を呼び
朝から眠い目をこすって、家の神棚と仏壇を綺麗にし、
近くのお社を詣でる。
自宅の神棚のお榊は
その時に新しいものに取り換えるのだけど、
子供の頃からずっとお榊やお花を買っていた近所のお花屋さんが
つい先日、閉店してしまった。
もうしばらくシャッターが開かないままで、
おばちゃんどうしたんだろう‥と気にしつつも
仕方なく別のお店で買っていた。
それがこの間通りかかったらシャッターが開いていて
嬉しくなって覗いたら、お花はすっかりなくなって、
足腰の悪いお客様が休むための椅子も
おばちゃんの息子さんが趣味で飾っていたゲゲゲの鬼太郎グッズも
綺麗さっぱり撤去されていた。
ご近所さんの噂だと、体調を崩されたとか。
ほんとかな。心配だし、さみしい。
お榊を買う時は、いつもバランスのよい一対を一緒に選んでくれたし、
変わったお花や、季節のお花を仕入れたら教えてくれた。
わりとクールであまりケラケラとは笑わないけど、
優しくて穏やかなおばちゃん。
何年か前、これまた近所のお豆腐屋さんが急に閉店したことがあった。
ご主人は目が良くなくて、お釣りの小銭を間違えないように
小銭を手のひらに載せて、極限まで顔に近づけて確認していた人だった。
それほど確認に余念がないから
お釣りを間違う事はあまりなかったのだけど、
こちらもお釣りが出ないように小銭を崩して行ったりしていた。
その日は小銭を崩すのを忘れて、
あ、しまった!おじちゃんゴメン!と心の中で思っていたら、
お釣りを渡される時に、いつもの手のひらを顔に近づける動作はなく、
代わりに、
悪いんだけど確認してくれる?と、手のひらの小銭を見せられた。
その日がそのお豆腐屋さんに行った最後で、
次に行った時には、閉店いたします。という貼り紙。
どうして閉店したのかわからないまま数年が過ぎ、
わたしが前職を辞めて、昼間に出歩けるようになったら
あっさりと近所のスーパーで再会。
おじちゃんはふつーーにスーパーでお買い物をしていた。
訊くと、あんまり目も良くないし、
疲れたから隠居しようと思った。とのこと。
なあんだ。そうか。そうだったのか。
目が良くないのは本当に不便だろうけど、
倒れたり寝込んだりしているわけじゃなかったのだなと思ったら
妙に嬉しかった。
お花屋さんも、いつか近所のスーパーで再会できるといいな。
そう願うばかり。
四月のオツイタチのために買ったお榊。
お榊の花って初夏に咲くと思っていたのだけど、
こんな春にも咲くのだね。
枝の裏側にひっそりと咲く小さな花。
とてつもなく落ちやすい、豆粒大のか弱いやつ。
ほんのり椿の香りがする。
地味だけど、好きな花。


