1970年大阪万博を記念した企画の一環として、ジョージ・セル指揮・クリーブランド管弦楽団が初来日した。「完璧主義者」のジョージ・セルによって鍛え上げられたクリーブランド管弦楽団は、当時全米トップの呼び声が高かった。公演の模様はNHKのテレビで放映された。僕も大きな期待を持ってテレビの前に座った。ジョージ・セルはあまり顔の表情を変えず、オーバーなアクションもなく、正確にテンポとアクセントを支持するというような指揮だったと記憶している。この放映で僕が初めて聞いた作品が、あの冒頭の哀愁を帯びたメロディーで有名な、モーツアル作曲「交響曲第四十番」と、シベリウス作曲「交響曲第二番」だった。オーケストラの演奏に関しては、ベートーベンの「英雄交響曲」の第三楽章のホルン三重奏で、首席ホルン奏者が、一番高い音が出しずらそうなのが少し気になったぐらいで、他は何の問題もなかった。ジョージ・セルは、僕に二つの大曲をプレゼントしてくれたのだ。