オリンピックで浅田真央が「仮面舞踏会」をフリーで演じて、その作曲家ハチャトゥリアンの名前は有名になった。ハチャトゥリアンで忘れてはならない曲が「ガイーヌ」である。僕が子供の頃、「ガイーヌ」の中の曲である「剣の舞」はあちこちでよく耳にしていた。リズムのあるコミカルな曲なので、親しまれたのだろう。それと、なんといってもトロンボーンのグリッサンドが強烈な印象を与えたのだろう。トロンボーンのグリッサンドは、ある高さの音を吹き続けて、そのままスライドを伸ばしていくと滑らかに切れることなく音が下がっていく。この奏法は、ジャズでは頻繁に使われるが、クラシックで使われている曲は、僕は「ガイーヌ」しか思い浮かばない(現代音楽にはあるかもしれないが)。ハチャトゥリアンは、コーカサス山脈の南にあるグルジア共和国に生まれたアルメニア人である。この地方は、たくさんの小民族が集まっており、民謡の宝庫といわれる程、民族音楽の豊富なところであるらしい。おそらく「ガイーヌ」もそのような環境から生まれた作品なのだろう。またリズムも強烈で、聞いていると、自分の中で眠っていたものが呼びさまされる。血肉湧き上がる音楽だ。