この交響曲は、ベートーベンが英雄ナポレオンを念頭において作曲し、フランス公使館を通じてナポレオンに献呈されることになっていたが、ナポレオンが民主主義にそむきフランス皇帝の位についたことを知り、「あの男も、ありふれた人間にすぎなかった。彼は、すべての人権を踏みにじり、自己の野心を満たすのだろう。」とベートーベンは怒りに体を震わせたとのことだ。確かに、このシンフォニーには、「気高さ」と「気品」が貫かれている。このシンフォニーにおいて、特に第一楽章は、解釈の余地が大きいのかもしれないが、なかなかいい演奏にお目にかかれない。「指揮者の善し悪しは、この第一楽章の演奏を聞けばわかる。」と思ってしまうぐらいだ。ベートーベンは、音楽に様々な変革をもたらした作曲家だが、第三楽章のホルン三重奏を聞いていると、発想がいかに豊かであったかが想像できる。また、僕にはこのシンフォニーについて、今でも忘れられない記憶がある。僕が、大切な人を亡くした次の日、たまたまラジオのFM放送のスイッチを入れた時、第二楽章の「葬送行進曲」が流れていたのだ。