この作品は、チャイコフスキーの絶筆と成ったらしい。第四楽章の第二主題の後半で、光輝く「神の領域」にもう少しで手が届きそうなのに、再び絶望のどん底に突き落とされてしまうという場面がある。これは、彼の音楽表現も、まさに「神の領域」まで近づいていたということを象徴的に表わしているような気がする。この作品には、恣意的なものや、雑念など感じられない。あくまで純粋である。聞き終わった後、一つ一つのメロディーを思い浮かべると、余りの美しさに胸が熱くなってしまう。かつてNHK音楽祭で、僕の好きなマリス・ヤンソンスが、ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団を指揮して、この作品を取り上げていたが、僕がイメージしていた通りの演奏を聞かせてくれた。