先日『パンドラの憂鬱』「日本は異文化に寛容な国」日本の異文化理解にアイルランド人感動  というのを見つけました。
日本で行われるセント・パトリック・デーパレードを紹介した動画とコメントです。
この動画は3年ほど前のものですが、今年もしっかり日本各地でパレードが開催されいて、「ちゃんと続けてるんだ顔」と、少々驚いています。
実は、郷里熊本でもセント・パトリック・デーのパレードが毎年行われています。
熊本は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が旧制五高(熊本大学の前身)で教鞭をとった所縁の地でして、そのご縁で熊本アイルランド会なるものもあるんですね。
さて、動画へのコメントで
 どうして日本で聖パトリックスデーを祝ってるんだろうと思ったけど、 「日本だから」の一言で片付く気がしないでもない。

・・・ははは汗 その通りですね。
単に「お祭り大好き民族だから」とも言えます。
もしくは、日本の文化、思想を海外へ伝えてくれた小泉八雲とのご縁と言えなくもないですね。

異文化に寛容な国、日本。
珍しいもの、楽しそうなこと、大好きですからね。
小泉八雲が幼少期を過ごした国、アイルランドに興味を持ってもらう良い機会になってくれれば、と思います。えへ
※ただし、バグパイプやキルトはスコットランドのものです。アイルランドにはイリアン・パイプというバグパイプの一種がありますが、歩きながら演奏できないので、ここアイルランドでも、パレードの時はスコットランド式を採用しています。
でも、元をたどればアイルランドから移住したケルト系スコット族の国がスコットランドなので、兄弟?従兄弟?みたいなものですね。

さて、異文化や他の宗教に寛容なのはいいんですが・・・。
なんでも各企業イースター商戦に力をいれて、イースターを日本に定着させようとしているとか。(Θ_Θ)
何のかんの言って、ハロウィーンは定着しましたからねぇ。
で、ハロウィーンに次ぐ、パーティーイベントとして注目が集まっているらしいです。(企業のね汗☆
確かに、こちらもイースターとなると、やたらとチョコレートのイースターエッグや、飾り、卵集め用の籠やらが売られるので、“イースター商戦”は既に存在しているわけですが・・・。
でも、イースターって、3月22日~4月25日くらいの間で“移動”する祝日ですし、イースターはクリスマスよりも宗教的意味合いが強く残っている祝日です。
このイースターにいたる四旬節(レント)の期間、肉を食べず、卵、牛乳も取らない食生活を送ったり、禁酒、禁煙して節制した生活を送るクリスチャンもいます。
「次のパーティーイベント」て・・・。もう寛容通り越して、節操なしなんですけど・・・ははーん

『金は天下の回り物』なので、消費者の購買意欲を沸かせるものが必要なのはわかります。
でも、それなら、もうちょい仏教にも目を向けてくれたっていいじゃないかこまる!というのが、浄土真宗僧侶の端くれの私が思う所でございます。
だって、10月31日はハロウィーンを祝い、12月25日はイエス・キリストの誕生をお祝いしても、4月8日のお釈迦様の誕生日を祝う人の割合って全体的に少ないでしょ?

寛容なのは良いですが

▲お釈迦さまの誕生日を祝う行事、灌仏会(かんぶつえ)または花まつり

誕生された時、天から祝福の雨(甘露の雨)が降ったとの仏教説話にちなんで、甘茶をかけます。花で飾り付けられて、綺麗ですよね。にこ

でも、こういった行事は少しずつ忘れ去られていっているような気がします。日本の歴史、文化その他諸々を語る上で、神道同様無視できない宗教なのに・・・。なく02

4月8日も近いことですので、これをご縁に2年前のブログから、一部抜粋して再掲します。

まず、仏教とは?
「仏の教え」であり、「私が仏に成る教え」です。

では仏(仏陀)とは?
「目覚めた者」という意味です。

では、お釈迦さまはどのようにして仏陀となられたのか。

お釈迦様の本名はゴータマ・シッダールタといい、釈迦族の王シュッドーダナ(浄飯王:じょうぼんのう)とマーヤー(摩耶)夫人の間に生まれました。文武両道で、何不自由のない暮らしでしたが、老・病・死を見て世の非常を悟られ、29歳のときに道を求めて出家、多くの師を歴訪されましたが満足できず、やがて尼蓮禅河畔で6年にわたり苦行され、ついに悟りをひらかれました。その後 鹿野苑(ろくやおん)にて5人の比丘に初めて説法をし、以後45年間各地で伝道し、80歳で入滅されました。

では、仏教“私が仏(目覚めた者)になる教え”とは?

四諦(したい)を理解・実践し、さとりへ至る仏に成るという教えです。一つ一つ解説しますと

一、苦諦
(くたい):人生は苦であるという真理
苦とは?「四苦八苦」聞き覚えがあると思います。まず四苦とは生苦・老苦・病苦・死苦のこと。
そして愛別離苦(あいべつりく)=愛しているものと別れる苦しみ。
怨憎会苦(おんぞうえく)=怨み憎むものと会う苦しみ。
求不得苦(ぐふとくく)=求めても得られない苦しみ。
五蘊盛苦(ごうんじょうく)=人の心身を形成するあらゆるものから起こる苦しみ の四苦を加えて“四苦八苦”です。

二、集諦
(じったい):苦を招き集める原因は無明煩悩であるという真理
(※無明:真理に暗く、道理事象を明らかに理解できない精神状態)

三、滅諦
(めったい):無明煩悩を滅尽することによって、苦のない涅槃寂静の境地が実現するという真理
(※涅槃:すべての煩悩を滅したさとりの境地をいう。仏教の究極的な実践目的)

四、道諦
(どうたい):涅槃寂静の境地に至るためには、八聖道(八正道)を実践せねばならない。
☆八聖道(八正道)“はっしょうどう”と読み、この八聖道の実践とは、さとりに至るための八種の正しい行法です。
①正見(しょうけん):四諦の道理を正しく見る智慧
②正思惟(しょうしゆい):正しく思惟し意思すること
③正語(しょうご):正しい言葉を語ること
④正業(しょうごう):身の行いを正しくすること
⑤正命(しょうみょう):身・口・意の三業を清らかにして正しい生活をすること
     (※三業:“さんごう”と読み、身に行う身業、口に行う口業、心に思う意業を三業という)
⑥正精進(しょうしょうじん):正しい努力。道に努め励むこと
⑦正念(しょうねん):正しい憶念。四諦の道理を常に心に留めて忘れないこと
⑧正定(しょうじょう):正しい精神統一

これが仏教の根本理念・教義です。


宗教儀礼がなければ、哲学です。
仏教学の先生が仰ってましたが、お釈迦さまは死後の世界は説かれていないと。
生きている間に真理に目覚めよ、到達する努力をせよと仰っているんですね。
死後の世界なんて、死んでみないとわかりませんし。
イエス様のように、奇跡を起こしたわけでもなく、復活後昇天したわけでもないので、地味な宗教ではありますが、神道とも折り合いをつけて“日本の宗教”として根付いたきた仏教です。
折に触れ、理解していただければ・・・。というのが、私の願いです。祈

でも、やっぱり、お釈迦さま像にかける甘茶とか、花とか、おしゃれな蝋燭等が“花まつり商品”になって、消費者の気をひかないと無理なのかしら。うーん

異文化に寛容なことはいいことだと思いますし、良いところは取り入れていく姿勢は大事だと思います。
でも、それはバカ騒ぎするためだけではいけないし、日本らしさ、日本人らしさを形成してきた神道や仏教、儒教を同時に大切にし、後世に伝えていかなくてはならないとも思います。

ご先祖様たちが大事にしてきた、日本の宗教や行事、見直してみませんか?




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