昨年9月の話です。


息子を連れて帰宅していた時、ちょっと顔見知りのイギリス人親子とばったり出会ったんです。

挨拶したあと「君のところもこの9月から小学校だよね?どこ?」と聞かれたので、「ここから直ぐ近くのカトリック系の学校です。お宅は?」と尋ねると「うちはプロテスタントだからUCC(大学)の近くの小学校に通ってる」とのことでした。

そして「君のご主人はクリスチャン?子供も?君は?」と聞くので「夫と子供はカトリック教徒で、私は仏教徒です」と答えたんです。で、何かスイッチが入ったみたいで・・・汗

「僕はジーザスに会ったことがある!彼は死んでいない!生きているんだ!」と語り始めたじゃありませんか!

“やばい”と思ったんですが、逃げ出すわけにもいかず、とりあえず話を聞いていたんです。

しかも、ただ頷いてばかりじゃ物足りないのか「僕が言っている意味わかるか?」と聞いてくる・・・汗☆

そして、「何故、君は仏教徒になったんだ?」と尋ねられました。


私の父はお寺の次男に生まれ、父自身は僧侶にならなかったけど、父の父(私の祖父)もその父も代々僧侶で、そういう環境に育った事、そして私の周りにクリスチャンがいなかったから、自ずと仏教を信仰するようになったと話ました。

そしたら「仏教は哲学であって、宗教ではない!仏教では人は救えない!」「イスラムでもダメだ!」と。

正直かちーんムキッときましたよ。

かなりムカついたこともあり、内容はうろ覚えですが、要は「天国に行くこと=魂の救済」が大事らしいです。だから輪廻転生は本当の救いにならない!ということでした。

それから魂の救済ができるのは神とジーザスだけだ!みたいなことも言ってたと思います。

(これかぁ キリスト教至上主義者汗だから十字軍の遠征とか、旧教と新教互いに弾圧しあったんだと思いました)

で、やっと私が反論できたことは

私「仏教のすべての宗派が輪廻転生をとなえているわけではないです。」

英「そうなの?じゃぁ、何を説いているの?」

私「仏陀は“人生とは苦であること”、いかにその“苦”から脱却し、どのようにして“悟り”に到達するか、を説かれたんです。仏陀は死後のことはおっしゃっていないと習いました。」

英「それは宗教と言えない!」

私「あなたは仏教のことを知っているんですか?知らないのに何故そんな風に言えるんですか?」

その人が反論しようとした時に息子がぐずりだしたので、結局それ以上議論にならず、私は子供を連れてさっさと家に戻りました。


その後の数日間は悶々としていました。

反論したくても自分の英語力の無さでうまく説明できないこと、そして「宗教とは何ぞや」ということを改めて考えさせられました。


実は私、九州のとある短大の仏教科を卒業して僧侶になったんです。

こちらで宗教活動はしていませんが、それでも僧侶の端くれとしてのプライドがあります。

だから尚更「仏教についてうまく説明できなかった」ことが悔しいし、「宗教の定義」なんて考えたことなかったなぁと少し反省もありました。反省ウサギ


そう、例えば日本でも儒教を宗教と捉える人は少ないと思います。日本では孔子の教えは“哲学”に分類されるんじゃぁないですかね。

日本人において宗教とは、「礼拝の対象があり、宗教儀式が執り行われる」+教義がある、経典となるものがあるということかなぁ。


死後の世界も宗教・宗派によって見解が違いますが、仏教学の講義で「お釈迦さんは死後の世界について明確には答えていない」ということでした。

余談ですが、お釈迦様ご存命のときに、「この世は永遠に存在するのかしないのか」「霊魂と肉体は同じものなのか、別なのか」等を尋ねた人がいるんですが、お釈迦様はその人に『毒矢のたとえ』を用いて、「今為すべきことをしなさい」と諭されたということです。

私も死後より、現世をより良くする事が大事だと思います。きらーん

(もっと詳しく『毒矢のたとえ』を知りたい方はググって下さい)


一時期ですが、私も神道と仏教二つを信じる日本の宗教観に疑問を持っていたんです。ですが言葉や文化・習慣等、神道なり仏教なりの影響を受けてきたものが多く、その二つの宗教を大事にしてきたからこそ今の日本があるんじゃないかと思えるようになりました。


一神教の宗教から見れば、日本の宗教観は“間違い”かもしれませんが、それぞれ違う宗教や宗派が互いに「それもありなんじゃない」と認めてきたからこそ、これまで日本は比較的平和な国でいられたと思います。

基本的に日本人は個より集団を好んでいるとは思いますが、ところどころで「みんな違って、みんないい」という寛容さを発揮するユニークさも持ち合わせていると思うんですよね。にこ。


「違う見方がある。こういう考え方がある。」と英語で発信できるように、頑張って勉強しますがんばる

                                (Mrs. G)



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