そういう人 | ワクワク人生研究所所長 小未来のブログ

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「最近ワクワクしたのいつだっけ…」
そんな人生に一石を投じるべく、
日々、研究活動と思考実験に勤しむ
ワクワク人生研究所所長・兼実験室室長、小未来のブログ

そういう人


20141011





「でさ、

 いつ結婚するの?」



はあ…その質問何回目だよ?


って、

決して口には出さないけど。



「…

 いや、

 そもそも相手がいないっス。」


返す言葉はいつも同じだった。



会社の上司だろうが

元同僚だろうが関係なく


既婚者と飲みに行くと

ほぼ100パーセント、

この質問をされる。



まあ、確かにね。


世間的には

そういう年頃なのかもしれない。



現にここ何年間、


同級生や旧友からの

結婚報告が後を絶えない。


式の席にだって

両手に収まりきれないほど

出席させてもらった。


けど、

正直なことを言うと、


そのどれもが

僕にとっては

“他人ごと”のようだった。



もちろん、

身近な人が幸せになることは

純粋に嬉しいし、


僕自身も

彼らの今後の人生を

何かしらの形で応援したいと思う。



ただ…


その空気感というか雰囲気と言うか…


結婚という言葉を耳にする度に、


何か自分の中の

心の居場所のようなものが

みるみるうちに

失われていくようだった。


何よりも…


結婚そのものが

一体全体どういうものなのか、


今の僕には

全く、想像出来なかった。



「そういう人に出会えば

 じきに分かるさ。」



誰に言われたかは忘れたけど。



そいういう人、



って

一体、誰なんだろう…?







終電までは

まだ時間があった。



かつての僕なら

翌日の始発まで飲み倒すなんてことも

決して珍しくなかった。


あの頃が懐かしかった。


ちょうど一昨年

ひょんなことから体調を崩して以来

あの頃のような無茶苦茶な飲み方は

全くしなくなった。



ただ…



その日は…


帰りたくなかった。



駅前で一人になった僕は、

何をするということもなく、

暫く改札前の柱に寄りかかりながら

ただぼんやりと過ごしていた。



「スミマセン」


ハっと我に帰ると

一人の少年が僕の前に立っていた。


こんな時間にどうしたのだろう?


疑問に思うより先に

少年は手に持ってた鞄から

手帳のようなものを取り出して

その中身を僕に見せた。


写真だった。


その子と同じくらいの

年頃の子供が写った写真。


どこかのスラム街で

撮られたもののようだった。


着ている服も

何かの布きれで出来ていることが

やっとわかるくらい

ボロボロに汚れていた。


似たような写真が何ページか続いた。


やがて写真のページが途絶え

普通の罫線紙が現れた。


そこには

500や1000といった数字と

人名と思わしきアルファベット文字が

何行かにわたって書き込まれていた。


さらに少年は

一枚の封筒を取り出し

その中身を取り出さずに僕に見せた。


千円札が数枚入っていた。



「ああ…」



思わず声が出てしまった。



この外国人風の少年は。


僕に、

募金の協力をお願いしている。